第38回 キャリア・パスポートは未来への道標 キャリア教育の現在は?

小中高 成長の道筋をつなぐポートフォリオ

最近、学校教育で導入された、「キャリア・パスポート」を知っていますか?

キャリア・パスポートとは小学生から高校生までのキャリア教育に関わる活動を記録、蓄積し、自らの変化や成長を評価するための記録、ポートフォリオのこと。2020年4月から全国の小中高校に導入されています。

私も小学校5年生と中学2年生の時、職場体験に行った記憶がありますが、最後に感想文を書いたら終わり。そうではなく、小学校から高校までの各経験をつないで成長の道筋を可視化できる教材がキャリア・パスポート、というイメージでしょうか。

自分で考えることが、生きる力の基礎になる

少子高齢化、グローバル化、デジタル社会の推進など、大きな転換期を迎えている日本社会。困難な状況を生き抜く力を育てるために、キャリア教育が必要、と言われています。

客観的に自分自身を分析し、職業、社会と対応させる。「自分の性格だと、こんな職業に就きたい」「個性を生かして、社会の中でどんな役割を果たせるだろう」など、自分と社会の関係を意識した視点を持つことができる、そんな効果があることがわかります。

また、ここで紹介されている北海道羅臼町の「キャリアノート」の取り組みは、縦の時間軸がつながることで、蓄積された情報の有効活用ができることを示しています。同町では,小中高一貫教育研究会を設置。キャリアノートは、町内の全小学校から全中学校へ持ち上がり、羅臼高校に入学した生徒全員が小学校からのキャリアノートを持っている。小中高にわたる記録を振り返り、次年度の取り組みを見通し、それが将来へとつながる。大きな流れです。

現場での指導方法確立が課題

ところで、キャリア教育に関して私の周囲に質問してみると「小学生からキャリア教育? 早いんじゃない?」とか「キャリア・パスポート、って面白そうだけど、結局たまに書き込んでたまに見返すだけ終わりそう」という意見が多数。キャリア・パスポートの存在を知る人はおらず、せっかくのキャリア教育があまり浸透していない感を受けました。これには、教育現場での課題も見え隠れします。

キャリア教育が目的とする、子どもの社会的・職業的自立に必要とされるのが

自分で考えさせる。これこそ、キャリア教育なのかも、と振り返って思います。

読売新聞によれば、コロナ禍で職場見学や職場体験などの行事の中止が相次ぎ、学校でのキャリア教育を困難にしているそうです。ならば、家庭でも実践してみませんか?

例えば、「俺、カナダに留学したい」と言い出した次男に「その前に、英語の勉強をしなさい!」と即答した私。そうではなくて「なんで留学したいの? 何でカナダなの?」と我が子の考えを問うてみる。それがキャリア教育への入り口になるのかもしれませんね。

参照

読売新聞・2020年12月18日

文部科学省・新たな学習指導要領におけるキャリア教育

文部科学省・キャリア・パスポートって何だろう

文部科学省・キャリア発達にかかわる諸能力

国立教育政策研究所・キャリア教育に関する総合的研究

読売新聞・2021年1月7日