次女のアタはASD、いわゆる発達障害児。最初はその事実を受け入れられませんでしたが、そのうち、これって普通の子より個性が強すぎるだけなのかも、という心境に。こう言っては不謹慎ですが、障害児を育てるというのは、案外面白いのです。現在、夫は海外に単身赴任中。大学生の長女と私、そしてアタの3人のドタバタライフを書き綴っていきたいと思います。


第30回 障害児に勉強は必要ない? 厳しい現実が見えてくるASDっ子の進路選択

将来の夢は? アタに聞くと、「管理栄養士とクライミングインストラクター!」

ブレませんね。

小さい頃は「いいね!」で良かったんですが、中学生になるとすぐ現実の進路選択に迫られるのが障害児の悲しいところ。姉が大学生活を楽しんでいるのを見ると、定型発達児との差に愕然とします。ゆっくりでいいんだよ〜と育てられたのに、社会に出されるのは早い。矛盾してるなぁ。

でも、アタにはアタの道がある。気持ちを切り替えて、進路について積極的に考え始めました。

発達障害児の中学卒業後の選択肢は?

東京都の場合、手帳を持つ支援級、支援学校の生徒のほとんどは特別支援学校高等部に進み、卒業後は特例子会社(障害者雇用のために企業が作った事務や雑務のアウトソーシング会社)や作業所に勤めます。

特別支援学校でも入学者選考がある就業技術科、職能開発科は大人気。狭き門です。なぜかと言えば。

障害者の法定雇用率が定められ、企業は障害者を雇うか罰金を払わなければならないシステムになりました。企業はどうせなら教育された人が欲しいので、特別支援学校と提携します。ハローワークも企業とのパイプ役をしているので就職率はほぼ100%。

特例子会社に入れば最低賃金は保証されるので、障害者年金と合わせて何とか自立した生活が送れるのでは? 親は思うわけです。

じゃあ、知的障害の軽い子達はというと。

普通高校や通信制高校、チャレンジスクール、エンカレッジスクールなどに進学し、卒業後は大学や専門学校に進むか就職するか色々です。ただし、就労支援は手厚くないので苦労すると聞いています。

因みに、特別支援学校を卒業しても高卒資格は得られません。(※「特別支援学校高等部卒業」資格で大学受験はできます) 要するに、特別支援学校高等部=就職。

それ以外の道を進むなら、定型発達の子と同じ立ち位置で頑張れ! ってことですね。うーん、これは厳しい……。何しろ小学校6年間、アタはほぼ通信教材で独学なんですから、既に不利。

ふと、ある支援級の先生の言葉を思い出しました。

「計算なんて計算機使えればいいんですよ。大人になったら我々だってそうでしょ?」 それはごもっともなんですが、なぜそうなるかを知るのが学びなんじゃないの?

障害児に勉強は不要、と言われたようでちょっとショックでした。

障害児の進む道。どういうルートで「自立」を目指すかは人それぞれ

アタにはどんな道があるんだろう?

ネットには厳しい意見が多く却って不安に。環境や特性など、結局ケースバイケースなんだと思います。中学校の先生は「就労は自立の手段。勉強は趣味で続ければいい」と言い切ります。

「学校は、最終目的が『自立』なので、最も安全な道しか勧めることができません。だからそういう結論になってしまうんです。ジレンマですが」

ただし、そうやってマッチングしても辞めてしまう子も多く、手厚く時間をかけてきた分再就職が難しいというデメリットもあるそうです。アタは暗記は得意ですが、応用問題や作文は苦手。そしてとにかく時間がかかる。知りたいことを知ろうとする知識欲の強さはオタク級なので、研究職とかには向いてるかもしれません。PC操作も好きなので、在宅ワークならいける?

でも、コミュニケーションが苦手なアタが、定型発達の子と同じ条件で見られた時、企業に受け入れてもらえるか? 現在の姿を見る限り、答えは限りなくNOです。ああ、堂々巡り……。

これからどう伸びるか見極めたい時期に、先に進路を決めるって難しい。長女にしても、中1段階で今の姿は全く予想できませんでしたし(笑)。

ウチの場合、転居も予定してるので学校選びは更に難航しそうです。中学卒業まであと2年。アタの成長を見守りながら、時間の許す限りじっくり考えるしかないかな。

頭を抱える私の横で、遅ればせながらハマった「ハリーポッター」を夢中で読むアタ。あのアタが分厚いファンタジーを読むなんて、5年前には想像すらできませんでした。ただし、

「どこが面白かった?」

「……分からない」

なるほど。

読書感想文が自由に書けるようになった時、アタの世界はまた大きく広がるのかもしれません。あと2年あれば可能じゃない?

なんて思ってしまう親バカなのでした。