この連載では、台湾で子育て中の日本人ママ3名に行ったインタビューをお伝えします。

今回は、東京都出身の32歳、台湾人の旦那様ともうすぐ1歳の息子さんと台南市に暮らすmayuさんにインタビュー。結婚後に現地就職、そして出産を経験したパワフルな女性です。移住前の台湾とのつながりや出産エピソード、育児休暇などについて伺いました。

「いいイメージがなかった」mayuさんと台湾のつながり

台湾人の阿嬤(おばあちゃん)とお兄ちゃん、従兄弟と(赤い服を着ているのがmayuさん)

ーmayuさんが台湾へ移住した経緯を教えてください。

仕事を辞めて、台湾へ留学したのがきっかけです。そのときに知り合った今の旦那さんと結婚し、本格的に台湾へ移住することになりました。母が台湾人で、私自身、台湾で生まれたので、幼い頃は日本と台湾をよく行き来していました。

ー幼いときの台湾のイメージはどうでしたか?

当時は、日本と環境が違いすぎたり、今ではおいしいと思える台湾料理が口に合わなかったりしてあまりよいイメージはありませんでした。マクドナルドばかり食べて気持ち悪くなっていたこともあります(笑)。

ー大人になって、自分で台湾に来たり住んだりして、イメージは変わりましたか?

移住前になるんですが、台湾にいたおばあちゃんのお葬式に出席したのを機にイメージが変わりましたね。私のお母さんがそれまで見たことがないくらい、死んでしまうんじゃないかというくらいに号泣していて。それがすごく衝撃的だったんです。

そこで、なんとなく台湾が暖かい場所のように感じられて。「母が育った台湾や台湾人ってどんな人たちなんだろう?」ということに興味を持つようになり、留学を決意し、今に至ります。

「次も台湾で産みたい」と思った初めての出産

陣痛室(待産室)で待機中のmayuさん

ー初めての出産を台湾でされました。どんな感じでしたか?

計画で無痛分娩を選択しました。息子が37週のときすでに3,300gあって「下から産みたいなら計画無痛分娩がいい」とお医者さんにすすめられたのが理由です。息子の頭が大きかったんですよね。

結局は陣痛が弱くて息子が降りて来られず、麻酔を抜いて陣痛を感じながらの出産になりましたが。

ー出産や妊婦検診を通して、日本と台湾の違いや驚いたことはありましたか?

台湾の妊婦検診には、どの家庭も、ほぼ必ず旦那さんがついて来ている気がします。私の場合は、中国語の医学用語がわからないかもしれないと思い、ついてきてほしかったのですが、周りを見渡すと夫婦で来ている人がほとんどでした。

日本とは違って、たとえ健診だけであっても、夫婦で行くものというふうに考えている感じがします。一度、緊急だったのでひとりで病院に行ったのですが、看護師さんから「どうしてひとりなの?」と怪訝な顔をされたのを覚えています。出産も、立ち会い出産がほとんどだそうです。

mayuさんが滞在した月子中心のお部屋。豪華!

ー台湾では月子中心(ユエズゾンシン)という産後ケアセンターがありますが、利用しましたか?

はい、しました。授乳する時間以外は赤ちゃんを預かってくれるので母体の回復にもいいですし、旦那さんも泊まれます。ごはんは月子の漢方を使った特別なごはんが出ますが、Uberやfoodpandaなどのデリバリーも可能です。

ただ、次回もし出産するなら月子は利用しないかなというふうに考えています。病院併設のベビールームに赤ちゃんだけ預けるという選択肢があったり、月子によりますが1泊約5000元〜(約20,000円〜)と費用が高かったので。上に子供がいる家庭では、月子に入らない場合も多いそうです。

台湾人の友達の中にも、出産後は1週間だけ月子に入り、あとは自分のお母さんに月嫂(ユエサオ:産婦と新生児専門の家政婦さん)のようなサポートをしてもらって過ごすという人もいました。

ー日本に比べると、出産の方法や産後ケアなども選択肢がある感じがしますね。

そうですね。実は日本で里帰り出産も考えていたのですが、スケジュールや金額の面で諦めました。結果、台湾での検診や出産を経験することができてよかったと思っています。

一度経験できて流れもつかんでいますし、何より保険が適用されるので、もし次出産する場合も「台湾で産みたいな」と思うようになりました。

「実は自分で育てたいママも多い」台湾の育児休暇事情

生まれたばかりの息子さんにミルクをあげる旦那様

ー2020年に出産後、2021年4月まで育児休暇を取られていました。育児休暇は取得しやすかったですか?

4人の子供がいる直属の上司が育休を取っていなかったので難しい雰囲気もありましたが、結果としては取ることができました。世界的にコロナが流行し始めた頃なので、スムーズに休暇に入ることができたと思います。

ただ、台湾では産休や育休を取った後にそのまま辞めてしまう女性が多いらしく、上司からは「あなたにはそうしてほしくない」と伝えられました。

「そんなことってあるのかな?」と半信半疑だったのですが、実は、同じ時期に産休と育休を取った同僚が、休暇に入る前にすでに退社することを決めていたんです。共働きが主流で、バリバリ働いて「仕事命!」に見える台湾人女性も、子供が小さいうちは自分で子育てしたいのではと感じました。

ーmayuさんも「子供が小さいうちは自分で育てたい」と退職を考えられたりはしなかったんですか?

あります。でも、再就職のことを考えるとできないと思いました。中国語がペラペラの友達も、子供がいるというだけで仕事がなかなか見つからなかったようで。現在はパートとして働いています。台湾人であるなら、選択肢の幅があると思いますが。

実際、今の職を手に入れるまでも大変でした。飲食店の求人はありましたが、結婚1年目ということもあり、「夜間に働くのはちょっと……」と考えていて。そうなるとなかなかなかったですね。

日本移住も視野に。これからのこと

ー最後に、mayuさんがこれからしたいこと、将来の夢などがあれば教えてください。

近い将来、家族で日本に住むことを計画しています。台湾なら、年齢を重ねても仕事探しや新しい生活を始めるハードルがそこまで高くないと感じますが、日本では、ある程度若いうちじゃないと、仕事を見つけるのが難しいと思います。私も旦那さんもまだ若いうちに、一度家族で住んでみたいです。

あとは、育児休暇中に本業とは別の、韓国子供服の買い付けと販売を始めました。大学時代は子供服のブランド企画を学び、アパレルで働いたので、そのノウハウを活かして展開していければと思っています。

ある程度軌道に乗せることができれば、自分でデザインしたものを商品化することができるので、ちょっと大きな夢ですが、ゆくゆくは実現したいです。