公立中学校に通う次女のアタはASD、いわゆる発達障害児。最初はその事実を受け入れられませんでしたが、そのうち、これって普通の子より個性が強すぎるだけなのかも、という心境に。こう言っては不謹慎ですが、障害児を育てるというのは、案外面白いのです。現在、夫は海外に単身赴任中。大学生の長女と私、そしてアタの3人のドタバタライフを書き綴ります。


第39回 意外に知られていない発達障害の真実。「発達障害って治るんですか?」

先日行った美容院で、子どもの学校の話題になって「ウチの子支援級に通ってるんですよ〜」と話した時のこと。ちょっと沈黙してから美容師さんが「あの、伺ってもいいですか?」と遠慮がちに聞いてきました。

お客さんに発達障害らしきお子さんを連れてくる方がいるそうです。髪を切っている最中急に立ち上がって歩き回ってしまうので、何か理由があるならどうにかしてあげられないかなと思ったとのこと。

障害をオープンにしたくない親御さんもいるので、どう声がけしたらいいか難しい。でも、ハサミを使っている時に急に動かれると危ない。その子はしばらくすると席に戻るので、落ち着くのを待って少しずつ切っているそうです。

慣れない場所、次に何が起きるか分からない不安、じっとしてなきゃならない環境などが発達障害の子は苦手です。感覚過敏で、切った髪が顔に付くのが嫌な子や、気になるものを発見すればシャンプー中でも見に行かずにはいられない子もいます。

そういう意味では美容院ってハードル高い!

ショートカットにしてる男の子の親御さんは、対応してくれる美容院を探すのと、慣れるまでが大変だったとよく聞きます。

「座っていられないのは特性もあるし、どんな行動にも本人なりの理由があるんだと思いますよ」と言ったら「じゃあ無理に押さえ付けず、今まで通り様子見ながら切るのが良いんですね」と美容師さん、納得していました。他のお客さんもいるので大変でしょうけど……。

発達障害は心の病気じゃないんです

そこで見出しの質問の答え。

「発達障害は病気じゃないので治りません」

発達障害と精神障害は同じに見られることが多いですが、実は根本的に違います。発達障害は生まれつきの脳の特性。「治療」ではなく「療育」で社会に溶け込めるよう少しずつ訓練していきます。

精神障害は成長してから環境やストレス、体調によって発症する病気です。鬱や統合失調症に代表されるように、薬の服用や環境を変えることで「治療」します。もちろん、発達障害者は2次障害で精神障害を発症することも多いので要注意。鬱気味で病院に行ったら発達障害と診断されたという話も聞きます。

発達障害でも、過度の多動やイライラ、睡眠障害には薬が処方されることもあります。アタがずっとお世話になっている「小児神経科」もまさに、薬を出すか出さないかを決める病院。今のところ薬は飲んでいませんが、将来お世話になる可能性もあるので定期的に診察を受けてます。

同じASDでもアタのように知的遅れが少なくなる場合もあります。脳の処理速度は遅いものの、言葉の理解力は伸びたので指示も通るようになりました。でもASDの特性は変わらずで、発達障害が「治った」わけではありません。

例えば、言葉はわかっても自然なコミュニケーション「何気ない会話」ができないアタ。いちいち考え込んだり、おうむ返しをしてしまうので、相槌を打つ練習をしています。

「うん」「へぇ〜」「なるほど」「すご〜い!」

漫才みたいですけど、本人は真剣(笑)。

「治す」より、そういうのもありだよね、と思ってもらえたら

最近は発達障害の知名度が上がったおかげか「ウチの子ASDです」と言っても、さほど驚いたり気を遣われなくなったように感じます。

それでもまだ、発達障害は親の育て方や環境に原因があるとか、薬で治せると誤解している人も多いです。精神障害を併発している人も多いので、ごっちゃになってるんだと思います。

でも冒頭の美容師さんのように、戸惑いながらも理解したいと思ってくれる人もいるんですよね。嬉しいし、ありがたい。

そういう人や場所が少しずつ増えて、発達障害者が気楽に、自信を持って生きられる世の中になったら良いなぁ、なんて思います。