2018年より中国・広州に駐在していた、6歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続(2021年本帰国)。


中国では、身長による入場区分が当たり前

私は舞台鑑賞が大好きなのですが、出産後は足が遠のいていました。

広州には、娘が3〜5歳の期間滞在。
広州に引っ越ししてすぐ、世界を席巻したアイリッシュ・ダンス「リバーダンス」を観る機会にめぐまれました。実は、2004年に上海でもこの作品を観に行きました。夫もCDを買うくらい好きな舞台なので、これは是非また観に行きたい。

でも! 娘を連れていけない。預けられる実家もなく、知人もいません。しかし、私は発見したのです。公演案内に「身長100cm未満は、入場不可」と書かれていることを。

当時、3歳の娘は身長96cm。厚底靴を履き、髪を盛り盛りに結い上げれば、100cmをクリアできるかもしれない! 娘と一緒に、大人向けの舞台鑑賞デビューしたい!

広州では、子どもを連れて行ける公演が多くて驚きました。しかも、年齢の区切りではなく、身長で入場の可否が判断されるのです。

中国では、鉄道料金も身長で区分されます。120㎝未満は無料、120㎝以上150㎝以下は「子ども料金」です。
幼稚園児でも121㎝なら「子ども料金」、高校生でも149cmならば「子ども料金」となります。

まぁ、年齢という自己申告制よりも、客観的な身長で判断するほうが公平といえば公平ですが……。中華圏はだいたいこんな感じらしいです。

中国は、日本よりも身長を気にする社会です。身長が高いことはそれだけでプラス要素。女性も背が高い方が好まれます。恋愛、就職でも有利です。そのため、子どもに成長ホルモン剤をという広告もちらほら。

確かに、娘の同級生の親達は、両親ともにすらっと背が高いカップルが多かったです。富裕層の集まる英語で教育を行う幼稚園でした。

【参考】
・台湾では、身長90cm以下もしくは110cm以下を「児童」として扱い、子ども料金が適用されます(新幹線等では、別の料金体系も存在します)。
・香港では、95㎝未満だと「子ども料金」となります。

なんとか、劇場に入場。子どもがたくさん。

さて、公演当日。

「もし、100㎝に足りないので入場お断りと言われたらどうしよう?」と、どきどきしながら劇場へ。チケットは親子3人で4万円近くしました。これでだめなら交渉するしかありません。

舞台に関してチケットの相場は日本よりも高いです。これは、購買力のある富裕層や中間層の絶対数が多いからでしょう。

開演前の劇場では、子ども向け公演かと間違えるくらい、子ども達の姿が目につきます。中には、お団子ヘアの、バレエ教室帰りの女の子の姿も。入口を足早に通り抜けて、無事入場。どう見てもうちの子が一番小さいですが、なんとか切り抜けました。

ホール内はもちろん飲食禁止です。ホールに入る各扉前には棚があり、その上に食べかけのおやつやジュース類が大量に置かれていました。
「飲食物はここに置いてください」と指示があり、皆それを守っています。どうやら、幕間にロビーに出て、自分の飲食物を飲み食いするシステムのようです。これは2018年の経験なので、コロナ後は異なると思います。

2004年に上海で「リバーダンス」を観た時は、パフォーマンス中もしゃべる人、飲食する人、写真やビデオを撮る人、うろうろする人等がいて、会場全体がざわざわしていました。

その記憶からすると、2018年の広州はマナーが徹底されてきたという印象を受けました。

衝撃! ずっとスマホで、舞台を録画し続ける観客

いよいよ開演。

小さめの劇場なので、ダンサーの表情がよく見えます。娘も、真剣に見ています。
前の方の一番価格が高い席にも、子ども達がたくさん座っています。皆、おとなしく静かに鑑賞しています。しっかり教育されていてさすがだなぁ、と感心しました。

が、頭上にスマホを構えたままの大人が数人! 堂々と録画している!?

しかも、最初から最後まで長時間録画しています。劇場の係の人も気づいているのに、注意しません。
舞台を観るにも邪魔だし、著作権の観点からも違法では? これには、興ざめしました。

中国の闇営業の違法DVD屋などでは、映画館の上映風景をそのまま録画した作品(?)が売られていましたが、同じ発想なのでしょうか。

幕間のロビーでは、この公演のDVDが1000円程度で販売されています。購入者には、出演者がサインを入れてくれるので、私も15分くらい並んで買いました。

高額のチケットが買える人達が観に来ているわけで、しかも公演DVDは1000円で買えるのに、なぜ長時間録画するのか? それを当然のごとく周囲が受け入れる……。私には理解できませんでした。そういう文化なのでしょうか?

この記事を書きながら、知り合いの中国人にこの件について質問しました。

答えは

「劇場スタッフが制止しないのなら、撮影はOKなのでは? 私が芝居を観にいった時は、録画OKだったよ。公式にはNGでも、実際に現地での指示がそんなに厳しくないなら、撮る人は撮るよね。録画絶対NGの公演はあるけど、基準はばらばらだと思う」とのこと。

概して、録画には寛容らしいです。

リバーダンスの幕間。職員がいるのに、公演中の撮影・録画は見て見ぬふり。

中国語ミュージカル「不思議の国のアリス」に号泣

2019年には、ファミリー向け「不思議の国のアリス」音楽劇を家族で観に行きました。全編中国語だったので、必死で聴き、訳して娘に伝えました。

アリスのお父さんが、「かわいいアリス、どこに行ってしまったんだ? 私はもう20年も待っている、もう死んでしまうよ、最後に一度会いたいよ」というところで、私、大号泣。

ん? そもそも、こんなストーリーでしたっけ? まるで浦島太郎のようです。

という疑問はさておき、なかなか楽しめました。中国語学習をがんばっていた時期であり、かつ子ども向けの比較的簡単な中国語とストーリーだったので、不思議と理解でました。でも、よくある「とんち」や「だじゃれ」クイズはまったく分からず、娘ときょとんとしました。

劇場の周囲では、大量の物売りが偽物のおもちゃや光るおもちゃを売りつけてきます。もちろん、アリスや主催者とは何の関係もありません。ダフ屋も多かったです。劇場を出ると、一気に現実に引き戻されます。

中国にはブロードウェイミュージカルや本場のオーケストラ、バレエなどもよく来ました。東野圭吾「白夜行」の演劇、「オペラ座の怪人」フラメンコ劇など少し変わったものも。

舞台鑑賞は、客席も一体となっての楽しむもの。せっかく良い作品が来るのだから、マナーや、他の観客への配慮がもう少しあればいのになぁ、と思います。

写真・文:岡本聡子

(今回の記事は、2019年末までの経験をもとにしています)