最近は色々な物価が上がり、生活への影響も大きいですよね。そんななか、「キャンプはホテルに泊まるより安上がりで楽しめる!」という声もあれば、「キャンプギアを揃えるのにお金がかかるのでは?」など、キャンプの費用については様々な声があるようです。果たしてキャンプは本当に安いレジャーなのか!?ファイナンシャルプランナー3級の資格を持つ筆者が、具体的な金額をもとに検証します!
「キャンプ」VS「その他のレジャー」:3人家族の1年間にかかる費用が安いのはどっち!?
今回登場するのは、妻と小学3年生の子供の3人家族の「ハピ太郎」さん。
ハピ太郎さん
妻、子供(小学3年生)の3人家族。
ファミリーキャンプを始めたいと思っているが、妻から反対されている。
ファイナンシャルプランナー3級の資格を持ち、資産運用などの解説記事を手がける筆者が、ハピ太郎さんの疑問にお答えします。
チエ(筆者)
ファイナンシャルプランナー3級。資産運用などの解説記事を手がける。
プライベートではキャンプ歴4年、4人家族のファミリーキャンパーでもある。
実は今、家族でキャンプを始めたいと思っているのですが、妻から「お金がかかる」と反対されてしまいまして…。
キャンプって安上がりなイメージがあったのですが、違うのでしょうか?
なるほど。確かに、キャンプはホテル泊などと比べると安上がりという意見もありますね。
いっぽうで、テントなどキャンプ道具をイチから揃えると、費用がかさんでしまうという声も。
分かりました!ではキャンプとその他のレジャーで1年間にかかる費用を比較して、どちらが安く済むのか検証してみましょう!
ありがとうございます!キャンプの方が安く済むことが分かれば、きっと妻も納得してくれるはず…!
3人家族の1年間にかかるレジャー費用は?
ではまずハピ太郎さん、家族のお出かけや旅行など、現状のレジャー費用は1年間にどれくらいかかっているか把握していますか?
えッ…1年間のレジャー費用ですか?う〜んと、どれくらいかかっているんだろう…そういえば全然把握していなかったな…。
しっかり把握できている人は少ないかもしれませんね。
では、いつもどんなところへ家族で遊びに行くことが多いですか?
え〜っと、そうですね…うちの子供は小学生なので、子供と楽しめるレジャーが多いかな。
横浜の家から2時間くらいで行ける場所で…ディズニーランドとか箱根の温泉とか、千葉のマザー牧場とかですね。
なるほど、そうすると大体1回にかかる費用はざっとこれくらいでしょうか。車を利用する場合はガソリン代もかかってきますね。
【例1:ディズニーランド1日利用&周辺ホテル1泊】
- 交通費:3,630円(横浜駅⇔舞浜駅 JR)
- 入場料:24,400円(1デーパスポート:大人9,400円、小人5,600円)
- 食費:15,000円(パーク内で昼食&夕食)
- 宿泊費:30,000円(1泊朝食付き:1人10,000円)
合計:約73,030円
【例2:箱根で1泊温泉旅行】
- 交通費:7,050円(横浜⇔箱根湯本 JR&バス)
- 宿泊費:50,490円(1泊朝夕食付き、大人18,700円・子供13,090円)
- 食費:5,100円(「湯葉丼 直吉」の湯葉丼+湯葉刺しセット 1,700円×3人)
合計:62,640円
【例3:マザー牧場1日利用&パートナーホテル1泊】
- 交通費:4,720円(横浜駅西口IC⇔君津IC ※ETC料金)
- 入場料:3,800円(大人1,500円、小人800円)
- 宿泊費:40,500円(マザー牧場のパートナーホテル1泊朝食付き、大人15,000円・子供10,500円)
- 食費:4,430円(ジンギスカンセット)
合計:53,450円
こうしてみると、意外にお出かけにお金がかかっていたんだな…!
特に宿泊費と食費がどうしてもかさんでしまいますよね。お出かけや旅行の頻度はどのくらいですか?
仕事の息抜きも兼ねて、2か月に1度くらい泊りがけで旅行に行っているかな。子供も楽しみにしているし、家族で旅行できる今がチャンスかなって。
なるほど。では1回あたり約5万円とすると、5万円×6回で年間30万円くらいですね。
なお[レジャー白書2022](公益財団法人 日本生産性本部)によれば、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の1回あたり費用は25,540円、年間活動平均回数は3.7回となっています。
【1年間の総合計】
5万円(1回あたりの平均レジャー費用)×6回(1年間の平均レジャー回数)
=30万円
ファミリーキャンパーの1年間にかかるキャンプ費用は?
では次に、ファミリーキャンプを始めた場合に1年間にかかるおおよその費用も計算してみましょう!
キャンプにかかる費用は大きく分けて下記の3つです。
【キャンプにかかる費用】
1. キャンプギア費用
2. 基本経費(交通費、キャンプ場利用料、食材費など)
3. それ以外の経費
●1. キャンプギア費用
まず、キャンプに必要な道具をひととおりそろえるのに必要な費用は、だいたいこのくらいです。
【キャンプに必要な道具とその費用】
- テント:コールマン「タフワイドドームⅤ/300 スタートパッケージ」:69,000円
- タープ:コールマン「XPヘキサタープ/MDX」:23,980円
- 焚き火台:ユニフレーム「ファイアグリル」=7,500円
- バーナー:コールマン「パワーハウス LP ツーバーナーストーブII」=16,940円
- 大人チェア:コールマン「リゾートチェア」=3,300円 ×2脚
- 子どもチェア:キャプテンスタッグ「CS ラウンジチェア(ミニ)」=3,300円
- テーブル:コールマン「ナチュラルウッドロールテーブル クラシック(110)」=21,780円
- ランタン(メイン):コールマン「クアッド(TM)マルチパネルランタン」=11,800円
- ランタン(サブ):コールマン「バッテリーガードLED ランタン/600」=4,620円
- 寝袋:モンベル「ダウンファミリーバッグ #1」=18,920円×2個
- マット1:コールマン「キャンパーインフレーターマットハイピーク/ダブル」=24,970円
- マット2:コールマン「キャンパーインフレーターマットハイピーク/シングル」=17,490円
- クッカーセット:ユニフレーム「fan5duo」=15,900円
- クーラーボックス:ロゴス「ハイパー氷点下クーラーXL」=14,800円
- 食器類:ロゴス「箸付きディナーセット4人用」=3,480円
合計280,000円
へえ〜!キャンプするのにも、これだけの道具が必要なんですね!全部自分でそろえると、結構お金もかかるんだなあ。
そうですね。ただ、アウトドアアイテムは耐久性に優れているものが多いので、一度購入してしまえば数年は持ち、長期的にみればコスパは良いと言えそうです。
2年目以降は、基本的にはこれらのギア代はかからずにすみますよ。
キャンプギアって種類がたくさんありますよね。どれを選べば良いか迷ってしまいそう…失敗はしたくないしなあ〜。
最近はキャンプ場に設営済みのテントからBBQ食材まで、キャンプに必要なものが用意されている「手ぶらプラン」のサービスも充実しています。最初のうちはレンタルを利用してみるのもおすすめですよ!
手ぶらでキャンプ!?それは魅力的だな。キャンプへのハードルがグッと下がった気がします!
実際にキャンプしてみると、自分のキャンプスタイルが見えてきて、お金の掛けどころを見極めやすくなりますよ。
例えば我が家の場合、寝心地重視でマットにはお金をかけていますが、寒い時期にはキャンプはしないので寝袋は安いもので問題ないです。
自分のキャンプスタイルに合ったギア選びができれば、無用な買い替えも防げるので節約につながります。
[【初心者向け】予算3万・5万・10万で揃えるおすすめファミリーキャンプ道具一式 - ハピキャン|キャンプ・アウトドア情報メディア]
●2. 基本経費
次に交通費やキャンプ場利用料など、1回のキャンプにかかる大体の諸費用はこのくらいです。
例えばお住まいの横浜から、人気のキャンプ場がたくさんある、山梨県の道志村へキャンプに行く場合(片道約2時間・100km)、このくらいかかります。
【キャンプにかかる基本経費】
- 交通費:約4,000円(横浜駅西口IC⇔相模原IC ETC料金:3,780円)
- ガソリン代:1,600円(往復200km×ガソリン単価160円/L×燃費20km/L)
- キャンプ場利用料金:6,000円
- 食材費:6,000円
合計(1回あたり):17,600円
×ファミリーキャンパーの1年間の平均回数6回
※参考:レジャー白書2022ではオートキャンプの年間平均活動回数は6.7回
合計(年間):105,600円
ここはホテルに宿泊したり外食するよりも、比較的安く抑えられそうだな。
そうですね。キャンプ場の利用料は高くても1万円くらいで済む場合が多いですが、場所によっては高速代やガソリン代がかさむこともありますね。
なるべくキャンプ場で自炊することで、食費はホテルなどに宿泊するよりも抑えることができますよ。
通常のレジャーよりも節約できるポイントが、この部分になります!
●3. 意外と知られていない必要経費
このほかにも、意外と知られていない経費があります。
例えば、カセットコンロやバーナーを使うならガス缶代や、焚き火に使う薪代など。
【意外と知られていない必要経費】
- 外食費:1,800円(チェックイン前のランチなど)
- 日帰り温泉:1,600円(大人600円×2、子供400円)
- ガス缶代:900円
- 薪代:700円
合計(1回あたり):5,000円
×ファミリーキャンパーの1年間の平均回数6回
※参考:レジャー白書2022ではオートキャンプの年間平均活動回数は6.7回
合計(年間):30,000円
ここはキャンプのスタイルが費用に反映されるポイントですね。
13時くらいにキャンプ場にチェックインする場合、ランチで外食してからチェックインすることもありますね。
温泉を利用せず、キャンプ場のコインシャワー(5分300円など)で済ませる方もいます。
テントや寝袋をクリーニングに出す場合は、万単位の出費になることも。
チェックイン前のランチは、自宅でおにぎりを作っていったら節約できそうだな。
最近はガス代が高騰していますよね。薪を使った料理にもチャレンジしてみようかな。うまく火起こしできたら奥さんと子供に「パパすごい!」って見直されちゃうかも…!
とっても素敵ですね!キャンプスキルが上がると節約にもつながります。
キャンプに慣れると、設備がシンプルで利用料金が安いキャンプ場でもキャンプができるようになりますよ。
回数を重ねるごとに費用も抑えられるのがキャンプの良いところでもありますね。
ウチは家族みんな温泉大好きだから、近隣の日帰り温泉を利用すれば、シャワーやお風呂が付いていない低価格なキャンプ場でも問題なさそう。
なるほど、キャンプは色々と節約ポイントがあるんですね!
●1年間の総合計
全部の費用を合わせると、初年度の費用合計は41万5,600円、2年目以降は13万5,600円になります!
【1年間の総合計】
- キャンプギア代:280,000円(※初年度のみ)
- 基本経費:105,600円
- 意外と知られていない費用:30,000円
初年度合計(年間):415,600円
2年目以降合計(年間):135,600円
結論:果たしてキャンプは本当に安上がりなレジャーなの!?
いったんキャンプ用品をそろえれば、かなり安く楽しめそうですね。
で、結局のところ、他のレジャーと比較するとどうなんだろう?
ハピ太郎さんがこれまで楽しんでいたレジャーと比較してみましょう!
【キャンプ VS その他レジャーの年間費用(年6回の場合)】
- キャンプ:415,600円(初年度)135,600円(2年目以降)
- その他レジャー:300,000円(毎年)
2年目以降はキャンプの方がかなり安いですね…!
そうなんです!
キャンプを毎年続けていくと、さらにトータルで費用の差が出てきますよ。
【キャンプ VS その他レジャーのトータル費用(年6回の場合)】
-
【1年目】
- キャンプ:41.56万円
- その他レジャー:30万円
-
【2年目】
- キャンプ:55.12万円
- その他レジャー:60万円
-
【3年目】
- キャンプ:68.68万円
- その他レジャー:90万円
-
【4年目】
- キャンプ:82.24万円
- その他レジャー:120万円
-
【5年目】
- キャンプ:95.80万円
- その他レジャー:150万円
トータル費用で見ると、2年目からもうキャンプの方が安くなるんですね!
これから子供が成長すると教育費もかさんでくるから、コスパの良いキャンプは助かるなあ!
長く続けるほど「キャンプは安上がりなレジャー」といえそうですね!
【結論】
長く続けていけば、キャンプは安上がりなレジャー!
おまけ:キャンプ費用の節約術を伝授!「あるものを活用する」工夫も楽しみ方のひとつ
長期的にみればキャンプは安上がりなレジャーだということが分かったので、妻を説得できそうです!
さらに費用を節約できるポイントなどあれば、ぜひ知りたいな!
工夫次第で楽しみ方が広がるキャンプは、節約の方法もたくさんあるんですよ!
キャンプギア代、経費と、それぞれ見ていきましょう。
【キャンプの節約ポイント(キャンプギア代編)】
- 最初は「手ぶらセット」などレンタルで試してみる
- すでに持っている日用品を活用する(食器、カセットコンロ、折り畳みテーブルなど)
- ブルーシートをタープ代わりにする
初めからキャンプ専用品を全てそろえる必要はありません。最初は家にあるものを持参しての日帰りデイキャンプでも十分。
私は今でも、毎日使っている枕をキャンプに持って行っています。
「キャンプ用に新しく買わなきゃ」っていう思い込みがあったので、まずは固定観念をなくして、使えそうなものはフル活用してみます!
私は家で使うものを買うときも「キャンプでも使えそうか」を重視しています。キャンプ中心の生活になると、どんどん兼用化が進みます!
【キャンプの節約ポイント(経費編)】
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キャンプ場代の節約
- フリーサイトや無料キャンプ場も活用する
- 平日やオフシーズンなど安い料金の日を狙う
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交通費の節約
- ガソリン代・交通費を抑えられる近場に行く
- ETC割引を活用する
- 早めに出発して下道で行く
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食材費の節約
- キャンプ場近くの直売所で食材を調達する
- お酒は割りモノがオススメ(ゴミも減らせます)
- 移動中の軽食を持参する(おにぎり、サンドイッチなど)
- 家にある余った食材を持って行く
- 海や川で釣りをして食材にする
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その他
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キャンプ場付近の小枝を拾って薪に、松ぼっくりを着火剤にする
(※キャンプ場によっては禁止されている場合もあるので、事前にご確認ください)
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キャンプ場付近の小枝を拾って薪に、松ぼっくりを着火剤にする
テントを張れる場所が決まっている「区画サイト」よりも、場所が決まっていない「フリーサイト」の方が安いことが多いです。
また平日や寒い時期などのオフシーズンはキャンプ場の料金が安い場合も。小学校からの下校を待って、金曜日の夕方からキャンプに行くという手もありますよ。
寒い時期のキャンプ場は安いんですね!空いていそうだしゆっくり楽しめそう。キャンプギアを選ぶときは防寒対策もチェックしてみます!
食材も節約ポイントがいっぱい。家の冷蔵庫に余った肉や野菜があれば、とりあえず持って行って焼いて食べちゃいましょう!調味料に漬けておけば移動中に味がしみて一石二鳥。
また自然豊かなキャンプ場の近くには、地元の野菜などが安く買える直売所が多いので、ぜひ活用してみてくださいね。
キャンプ上手は節約上手ですね!
なんだかワクワクしてきたぞ…!次の休日はさっそくキャンプに行ってみます!
よし、まずはハピキャンの記事を読んで必要な道具選びから始めるぞ〜!