12年ぶりに発生中の黒潮大蛇行について、海上保安庁は測量船での観測の結果、蛇行は前回並みに拡大していると明らかにした。大蛇行が長期化すると、回遊魚のルートに影響を及ぼし、イワシやさばなどが沿岸に近づけなくなることから、漁業への影響が懸念される。

 海保は11月29日から今月1日にかけて測量船で遠州灘の沖合から伊豆諸島付近にかけて海流を観測。

 その結果、先月3日の観測時に比べて、蛇行している流れの最南端付近は、さらに20キロ南下していた。2004年7月〜翌年8月まで続いた前回の黒潮大蛇行の最南下地点とほぼ同じで、さらに拡大する可能性もある。

 1965年以降、黒潮大蛇行は6回発生しているが、過去のケースでは、海流が南に行けば行くほど、蛇行期間が長期化する傾向にある。1975年8月〜1980年3月にかけて4年8カ月続いたときは、北緯30度まで最南下した。

 今回の観測結果について、東京海洋大学海洋環境科学部門の吉田次郎教授は、「大蛇行が長期化すると、海底から冷たい水の塊が海面に運ばれ、遠州灘や相模湾の沖合漁業に影響を及ぼす懸念がある」と指摘。

 カツオなどの回遊魚は回遊ルートの変更を余儀なくされ、温かな海水を好むイワシやさばは沿岸に近づけなくなるため、漁場の場所を移動させる必要が生じるかもしれないという。

 また、高知大学黒潮圏科学部門の寄高博行教授は「黒潮の大蛇行期間中は、相模湾に黒潮が接近することで、枝分かれした流れが流入して、相模湾内にも強い流れが起きやすくなる」と述べて、長期的な観測の必要性を訴えている。