第68回沖縄県高校野球秋季大会は、古豪沖縄水産が14年振りの優勝を遂げ幕を閉じた。夏の全国高校野球選手権大会に多くのメンバーが名を連ね、前評判の高かった興南が準優勝。そんな秋の沖縄をもう一度振り返ってみる。

難攻不落の沖水左右両輪
上原一帆(沖縄水産)

 昨年秋のベスト4へと導いた上原一帆を中心に枢軸組である上原大那、川端琉一朗、平安 常人が成長の跡を見せつつそれぞれの役割をこなしていった沖縄水産。中でも大きかったのが上原一帆と國吉吹の絶対的左右両輪の存在だ。
 26イニングを投げて防御率0.35。ゾーンに入ったら誰も打てないと思わせる凄味のあるピッチングを見せる左腕上原一帆。その一方で、悪癖とも言える四球を出しては、カウントを取りに来た球を捉えられ崩れるという不安も併せ持っていた。この大会もその場面が幾度か見られたが、これまでと比べ我慢し投げるサウスポーの姿があった。興南を倒した大きな要因の一つだ。

 準決勝で沖縄尚学を相手にノーヒットノーランをやってのけた右のエース國吉吹。78人の打者と対し、被打率は圧巻の0.05。感情派の上原一帆と違い、ピンチを抑えてもそれまでと同じように笑みを浮かべて淡々と投げる姿が印象的だった。
 その左右両輪で決勝までの6試合で、ともに失点1ずつ。難攻不落のWエースの活躍が光った秋の大会でもあった。

 二人のエースをけん引し正捕手となった金良涼介を始め、堅い守りでホットコーナーを務める瀬長宙に長打力を磨いてきた真栄城徳二郎、三木健正ら4人は、昨秋の準決勝メンバーには名を連ねていなかったものの、夏の大会や新人大会で力をつけてきた。
 その活躍は枢軸組に勝るとも劣らないものだった。昨秋、僅か2安打で完封された興南宮城 大弥に対し、1年後の対戦となった決勝戦では、6回途中まで8安打を浴びせ5得点でKO。2015年からの4年間で3度、夏の甲子園県代表興南の一強時代に待ったをかける野手陣の活躍。OBやファンが待ちに待った「強い沖水」の、見事な復活劇であった。

揺るがない力の興南四天王
興南バッテリー

 準優勝に終わったものの、既に甲子園を2度経験した宮城 大弥を筆頭に、打撃でも勝負強さを発揮する女房役遠矢 大雅。斬り込み隊長の根路銘 太希、鋭く強い打球が魅力の勝連 大稀の二遊間コンビ。去った夏の甲子園を経験したこの興南四天王がチームをけん引しての4年連続決勝進出。これは68回を数える秋の大会で、1968年から71年まで4年連続準優勝した小禄以来史上47年振り2度目のことでもあった。

 準決勝で16個もの三振を奪い圧巻の奪三振ショーを魅せた宮城 大弥。連投となった決勝こそ沖縄水産に足元を掬われたが、奪三振率9.10、防御率0.52と大会ナンバーワン投手、いや、この世代の選手間でナンバーワンの力量を改めて知らしめた大会でもあった。
 ガムシャラに投げていた1年の夏。あの快投を見た関係者は、今の宮城 大弥は物足りなく感じてしまうだろう。だが、大人びたピッチングとギアを上げるときの球威と制球は怪童のまま。欲を言えば、遠矢 大雅とのサイン交換で首を振るなど、もっと自分を出しても良かった。

 チームトップの7得点を挙げた根路銘 太希。6試合中5試合でヒットを放った勝連 大稀。打者としても打率4割、三塁打2本をマークした宮城 大弥。毎試合安打で打率5割の遠矢 大雅。彼ら興南四天王を中心とした打撃陣は、ここ数年では飛び抜けていると言える。5年振りに決勝に進出した2015年から順に興南の平均得点を並べてみる。

2015年準優勝 3.68得点
2016年準優勝 3.91得点
2017年準優勝 4.15得点
2018年準優勝 7.24得点
※9イニング換算

 甲子園春夏連覇のメンバー(2009年の興南は9イニング換算12.15得点)と比べると得点力は遠く及ばないものの、史上初の秋三連覇を達成した2010年のメンバー(5.67得点)よりも上。また1回戦から準々決勝までの連続を含む4試合のコールド勝ちは、2009年の島袋 洋奨らと並ぶものでもあった。その力を、第143回九州地区高校野球大会でも発揮してもらいたいと願う。

それぞれのカラーを出し切った嘉手納と沖縄尚学
水谷留佳(沖縄尚学)

 沖縄水産國吉の前に無安打に終わった沖縄尚学だが、準々決勝までの5試合チーム打率は.367。4回戦と準々決勝で2試合連続3打点をマークした4番水谷留佳、6試合中4試合で複数安打を放った打率5割の吉里和己、打率.389の奥原海斗ら打線と、防御率1.13の仲村渠春悟、同1.35の比嘉大智と投打が試合毎に成長してきての準決勝進出だった。

 準々決勝までのチーム打率が.363。4試合中3試合で二桁安打をマークした嘉手納も、猛打を見せてきた先輩たちに勝るとも劣らない活躍を見せてくれた。チームトップの打率.478を記録した町田宗音。同.381の親泊泰成。同.421の石川銀。この2,3,4番が相手にとって脅威となった。親泊は防御率0.58、石川は奪三振率7.93とマウンドでも躍動。もう一人のキーマンになる平 典士がケガから完全復活するだろう来年は、沖縄水産や興南でも簡単にはいかないチームとなろう。

 3試合25得点でベスト8に入った具志川商を始め試合巧者読谷を1点差で下し波に乗った南風原、2試合連続完封をマークした新里を中心に勝ち上がった宜野湾、具志川、前原、美来工科と実力派を倒した普天間の8強組。沖縄尚学と延長戦を戦った小禄、打線活発だった中部商、沖縄水産を苦しめた北山、嘉手納に敗れたものの新人覇者の浦添工らは、この冬のさらなるアップでより飛躍を望める。首里をサヨナラで下し12年振りの16強入りした北谷の活躍は、同校周辺の町民やOBを喜ばせた。

文=當山 雅通