2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第36回では一昨年の明治神宮大会王者・明徳義塾(高知)の「今」を取材。不変と可変の組み合わせの中で、再び前を向く四国高校野球盟主を指導者たちの声を通じ伝えていきます。

2季連続甲子園逃した盟主の「大改革」

バッティング練習に打ち込む明徳義塾の選手たち

 2月25日(月)夕刻。「明徳野球道場」の門を入ると、高知県須崎市・横浪半島の山々に打球音と声が響き渡ってきました。これが2002年夏の甲子園優勝、岸 潤一郎(徳島インディゴソックス)が投打に活躍した2014年・長崎がんばらんば国体。剛腕スリークォーター・市川 悠太(東京ヤクルトスワローズ)らを擁し、2度目の頂点に立った2017年の明治神宮大会をはじめ、四国の盟主を長らく保っている明徳義塾の日常風景です。

 ただ、今の彼らには大きなものが欠けています。それは「甲子園出場」の5文字。昨夏の高知大会は決勝戦で市川が高知商打線の前に力尽き、昨秋は四国大会準々決勝で前日に聖カタリナ学園(愛媛)を2安打完封した服部 遼馬(2年・175センチ72キロ・左投左打・明徳義塾中出身)が後半、高松商打線に捕まり2対4で惜敗。結果、今年のセンバツは補欠校2位に留まり、彼らは2009年夏・2010年春以来となる、2季連続甲子園のない我慢の冬を過ごしてきました。

 「この冬は、ずっと身体づくりだった。2月上旬に2年生は修学旅行を兼ねて広島県呉市で練習したけど、そこからハーフバッティングを始めて、今は部員全員がノックを受けて、全員がバッティング練習をしているし、ポジションもいろいろなところをやっとる。みんなにチャンスを与えてあげんといかんからな」

 そうセンバツ出場が叶わなかった際の練習内容を語るのは皆さんご存知の馬淵 史郎監督です。ただ、ふと目を三塁側ベンチ前にやると、今までと違ったものが目に飛び込んできました。明らかに新調されたウエイト器具を使いながらトレーニングに取り組む選手たち。行っていること自体は冬場の通常風景ですが、ならばわざわざ器具を新調する必要はないはずです。これは「大改革の予兆ではないか?」さっそく、川崎 新也コーチに理由を聴いてみると……。

不変と可変組み合わせ「逆襲の夏」へ

ウエートトレーニングでしっかり身体を鍛える!

 「今年からウエイトトレーニングは通年で行うことになりました。甲子園に行っても前橋育英や日大三の選手は大きいし、打撃でもスイングスピードを付けるには筋力が必要ですし、守備でも体幹を鍛えれば『あと一歩』が粘れる。実際、みんな下半身も大きくなってきました」

 その成果か。2月11日に開催された「高知県高等学校野球駅伝大会」では久々の2位入賞を果たした明徳義塾。さらに、練習を見ても成長著しい選手が何人も見られました。

 その中でも2人あげるとすれば投手では山田 圭祐(2年・右投右打・183センチ75キロ・藤井寺ボーイズ<大阪>出身)。秋までは右腕エースの期待を担いながらケガ続きでしたが、今はケガも癒え、下半身も安定し、ブルペンでは安定した制球と強いボールを披露。「昨秋から体重4キロ増となった服部と2人で競争して伸びてほしい」と佐藤 洋部長も期待をかけます。

 野手では以前、この「四国発」でも取り上げ「真面目でよく努力している」と、内村 英二郎コーチら首脳陣が軒並み高評価する宮嶋 佑弥(みやじま・ゆうや、2年・一塁手・右投右打・185センチ70キロ・ 明徳義塾中出身)。かねてから定評のあった守備に加え、打撃練習ではさく越え含む長打を連発していました。

 もちろん、その先にあるのは甲子園での躍動。「僕らはチャレンジャー。緻密な明徳義塾の野球で勝ちたい」(内村コーチ)不変の部分と「春の大会は全試合継投で行って夏の試金石にしたいし、これからは複数投手を育てていこうと思っている」(馬淵監督)可変の部分を組み合わせ、明徳義塾は夏の逆襲へと爪を研いでいきます。

(文・寺下 友徳)