年始の挨拶動画で明かした2020年の高校生投手で注目したい3投手を中森 俊介(明石商)、高橋 宏斗(中京大中京)、篠木 健太郎(木更津総合)を挙げた。

 3選手の強みをもう一度迫っていきたい。


左から篠木健太郎、高橋宏斗、中森俊介

 中森 俊介(明石商)は、総合力は今年の投手ではナンバーワン。最速151キロの速球、多彩な変化球を自在に投げ分ける投球術は群を抜いている。引き出しの多さは大学生投手と比較しても負けていない。

 ただ気になるのは柔軟性を欠く投球フォームであること。近年のドラ1右腕の映像を見返しながら、比較していったが、可動域が狭い投手だった。故障のリスクもあるが、中森自身も柔軟性を高めることをテーマにした練習に取り組んでいた。体が硬いことは中森にとって「伸びしろ」である。改善が見えてピッチングにも影響すれば、世間をあっと言わせるピッチングを見せたい。

 高橋 宏斗(中京大中京)は明治神宮大会で優勝投手に輝いたように直近の実績では一番。最速148キロのストレートは爆発力があり、キレのあるスライダー、ボールを挟んで、縦に鋭く落ちるツーシームと1つ1つのボールは一級品。最速は中森に劣るが、ミットに突き刺すようなボールは中森にはない強さがある。

 課題は角度のないボールになること。前傾姿勢になりやすい高橋は踏み出す際、軸足にしっかりと体重が乗らず、頭が突っ込んだフォームに陥って角度のないボールになり、145キロ前後の速球を投げ込んでも振り抜かれる打球が多いこと。ストレートが150キロを超える可能性は高いが、同時に引き出しを増やし、隙がない投手を目指してほしい。

 篠木 健太郎(木更津総合)は千葉県大会から常時140キロ〜145キロの快速球を連発していた右の本格派。回転数の高いストレートは爽快さを感じる。

 さらに130キロ近い高速スライダーは空振りを奪えるのも魅力的。

 秋の段階で145キロどころか、140キロを出す投手はあまりいない。秋が終わってみて、改めて篠木は同世代の投手の中では群を抜いたパフォーマンスを示していた。

 篠木が中森と高橋と比べて優れているのは投球フォームの良さである。篠木は上半身、下半身の動きが連動した素晴らしい投球フォーム。篠木は2人に比べても肩、ひじ、下半身の柔軟性が高く、175センチという上背がないところを技術の高さで補っている。

 体重が60キロ台という低体重ながら秀逸な体の使い方で驚異的なボールを投げ込むセンスは山岡 泰輔(オリックス 瀬戸内出身)を彷彿とさせる。

 ただそんな篠木にも課題はもちろんある。まだストレート、スライダー主体のコンビネーションであること。そして、調子の波が激しいことだ。木更津総合の先輩・早川 隆久(早稲田大)は「ボールはいいんですけど、良いときと悪い時の差が激しすぎるんですよ」と課題を話してくれた。
一流投手は調子が悪くてもクオリティが高いピッチングができるかに尽きる。

 そういう壁を乗り越えて甲子園に登場すれば、下半身主導のメカニズム、熱くなりやすい篠木のマインドからして、吉田 輝星(北海道日本ハム 金足農)並みの熱狂ぶりは期待できるのではないだろうか。千葉県には習志野をはじめとしたライバルが多いだけにそれに打ち勝つだけの総合力を身につけられるか。

 この3人に限らず、一気にドラフト上位になる可能性を持った投手は多くいるが、今回は秋の時点で別格のパフォーマンスを示していた投手を上げさせていただいた。ぜひ多くの投手が飛躍を遂げてほしい。

(記事=河嶋 宗一)

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