昨年10月、部員の不祥事により開催中だった秋季リーグ戦を辞退し、その後3か月間の対外試合禁止処分となった東海大学。
 選手たちは先の見えない中で自粛期間を過ごし、また活動再開後も新体制の中でゼロからのスタートとなったが、それでも「縦縞のプライド」を取り戻すべく、必死の思いで練習を重ね、そして春季リーグ戦を戦い抜いた。

 結果は惜しくも3チームによる優勝決定戦の末、復活のリーグ制覇は逃したが、選手たちの粘り強い戦いぶりは再起を予感させるものがあった。今回は門馬大主将(東海大相模出身)に、いかにしてどん底から戦う土俵に這い上がり、また秋季リーグ戦に向けた取り組みも語っていただいた。

野球ができる日が必ずまた来るから

東海大学の門馬大主将(東海大相模出身)

 昨年11月、チームは活動自粛となり、先が見えない状態の中で、門馬選手は安藤強前監督に主将への就任を打診された。主将就任はこれまでの野球人生でも経験が無く、チームの士気も最悪の状態。それでも門馬選手は、再起に向けて覚悟を持って主将になることを決断したと振り返る。

 「僕自身、今までの野球人生の中でキャプテンをやったことがなかく、また活動できないこともあり、本当に正解が分からない中でのスタートでした。
 でも自分にできることは何かなと思った時に、やっぱりチームのことを考えて動くこと、先が見えない中でも、あると信じて取り組むことをみんなに話しながらやってきました」

 主将に就任して、まず門馬主将が取り組んだことは、日常生活や寮内の環境整備。寮内の掃除やルールの再考、起床や就寝といった規則正しい生活も呼びかけ、自主練習すらできない状況の中でも、チームの規律を保ち続けた。

 「第一歩として、まず始めたのが掃除です。練習ができなかったので、本当に腐りそうになることももちろんあったのですが、野球ができる日が必ずまた来るからと、僕だけで無くチーム全体で声を掛け合ってきました」

 もちろん初めはチームの士気は最悪の状態だったが、自主練習再開に新監督の就任、本格的な活動再開と、一歩ずつ再建への歩みを進める中で、選手たちのモチベーションも徐々に向上。
 また新監督に就任した井尻陽久監督の教えも、門馬主将にとって非常に大きかったと振り返える。

選手、企業人として実績を残した新監督

春季リーグ戦での東海大・門馬主将

 「井尻監督には、まず心身健康でありなさいと言われ、そういった部分がしっかりしてないと野球にも繋がらないと。井尻監督はよく、大学を卒業後には社会人として働いていくんだぞ、野球終わった後の方が長いんだぞと話をされます。技術よりも、本当に人間的な部分での指導をしてくださります」

 井尻監督は、東海大相模時代は主将だった3年夏にの全国制覇を達成し、東海大でも遊撃手として活躍。社会人野球・日本生命では選手、監督として都市対抗優勝を経験し、社業に専念した後も支社長を務めるなど、選手としても企業人としても実績を残した。
 経験豊富な監督の下で、チームは少しずつ再建への歩みを進めた。

 そんな中で迎えた春季リーグ戦は、序盤に3連敗を喫するなど、苦しい戦いとなったが、4年生を中心に粘り強い戦いでその後持ち直す。結果は惜しくも3チームによる優勝決定戦の末、復活のリーグ制覇は逃したが、選手たちの粘り強い戦いぶりは再起を予感させるものがあった。

 「縦縞のプライド」復活へ。
 9月11日に開幕した秋季リーグ戦では、門馬主将は「縦縞のプライド」復活へ強い思いを口にする。

 「やっぱり東海大学といえば縦縞だと思いますし、そこに選手一人一人プライドを持って、誇りを持って戦っています。今は王者ではないですが、秋は王者を取り戻すために、挑戦者の気持ちを持って相手にぶつかっていきたいと思います」

 春に投手部門のベストナインを獲得した斎藤 礼二投手(東海大相模出身)や、春に捕手部門ベストナインを亀田 啓太選手(東海大甲府出身)、また一塁手部門ベストナインの小玉 佳吾選手など、能力の高い選手は依然として多く在籍し、また東海大市原望洋時代に日本代表を経験した鯨井 祥敬選手や、東海大相模で活躍した小松 勇輝選手など実績のある選手もいる。

 「縦縞のプライド」復活なるか。
 秋季リーグ戦の戦いから目が離せない。

(記事=栗崎 祐太朗)