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 千葉独自大会は木更津総合の2年ぶりの優勝で終わった。木更津総合の総括に続いて、次はベスト4に入った専大松戸、八千代松陰、市立船橋だ。

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篠木健太郎が期待通り主将・エース・主軸打者として躍動。2年ぶりの優勝を果たした木更津総合を徹底総括

各チームを振り返る

西村卓真

 「甲子園が中止になって、お前達の野球の熱はそんなものか」
 専大松戸の主将・吉村 京之助は自粛明けの6月上旬、コーチからそう指摘されたことを思い出す。甲子園中止後、さすがにモチベーションが下がった。そこを指導者陣は見逃さなかった。

 独自大会が開催される千葉大会へ向けてどんなモチベーションで臨めばいいのか、森岡健太郎部長、コーチ陣と1時間半話し合った。そこで出た結論が「3年生18人で戦う」ことだ。

 吉村は言う。
 「3年生18人が全員入って戦う事ができる最後の大会。そこをモチベーションにして戦おうと決めました」

 そこからチームをまとまっていた。そして夏初戦となった8月5日の国府台戦では3年生全員が出場した。持丸監督は初戦を終えて、「とても緊張していましたね。バッターボックス、守りに入っても、彼らの緊張感が見えますよね。そういう緊張感が良い方向性に働いてくれればと思います」

 その言葉通り、一戦勝ち進むごとに内容が良化した。まず投手では左腕エース・西村 卓真が大きく成長。130キロ後半の速球、切れのあるスライダーのバラツキがなくなり、大会通じて、わずか2失点。県内屈指の左腕へ成長。

 また角度のある130キロ前後の速球を投げ込む右腕・杉嶋 健吾、135キロ近い速球を投げ込む平田 健眞、横山 陸人(千葉ロッテ)を思い出させるような2年サイドハンド・深沢 鳳介と能力が高い投手が力投を見せた。

 また打線は「上位、下位も長打力のある選手がいるので、打順は関係ないです」とレギュラー選手が語るように、先発投手によって左打者を上位に並べたり、右打者を上位に並べるなど、柔軟な打撃構成を行った。

 その中でも昨年まで主軸だった中村真也は積極性を買われ、1番へ。そして2番に主将・吉村が入り、彼らが突破口を切り開く。中村はフルスイングだけではなく、相手の投手タイプによってバスター打法により振り幅を小さくし、コンタクト力を高める打撃で、打率.321を記録。吉村は予選トーナメントで15打数7安打1本塁打と大当たり。後続の打者に勢いをもたらした。

 中軸では俊足強肩巧打のセンター・菊地 優吾は23打数10安打9打点と大当たり。打力も高い平田は打率.474、決勝戦で篠木 健太郎からソロ本塁打を放った高校通算20本塁打のスラッガー・松濤 友朗は打率.444、2本塁打と中心打者として活躍するなど打線の破壊力は県内トップクラスだった。

 2年生スラッガー・吉岡 道泰を外してこの破壊力なのだから、3年生達は意地を見せたといっていいだろう。この戦いを見た2年右腕・深沢、準決勝でスタメン出場した石井 詠己やベンチを外れた吉岡。また今年も優秀な1年生が入ったと聞くだけに秋以降、どんな戦いを見せるか楽しみだ。


永戸 涼世

 木更津総合と死闘を演じた八千代松陰はオール3年生で臨んだ。3年生だけではどうしても新チームの始動は遅れる。それでも3年生のサポートに買って出た1,2年生のためにも八千代松陰の主将・永戸 涼世はチームをまとめあげた。

 八千代松陰が一気にクローズアップされたのは今大会の優勝候補・中央学院に逆転サヨナラ勝ちを収めてから勢いに乗り、そして準々決勝の千葉黎明戦では7番・西澤 慶悟が逆転サヨナラ満塁本塁打、準決勝の木更津総合戦でも延長11回の熱戦を演じ、まさに今大会の台風の目となった。

 打線を牽引した主将・永見は打率.542の高打率を記録。右投手、左投手関係なくヒットを打てる対応力の高さ、好投手の変化球も見極め、ボール球にしてしまう選球眼の良さが光った。また軽快な遊撃守備も魅力だった。

 他にも打率.478の春日 慶章など高打率の打者が並び、意外性を持ち合わせた強打者・強打者・西澤など対戦してみて怖い打者が並んだ。投手陣では140キロ右腕の樋熊 歓大は防御率2.39と安定した数字を残した。

 樋熊の気迫あふれる投球は八千代松陰ナインを乗せた。木更津総合戦の試合後、号泣していた樋熊だったが、永見は「木更津総合戦の負けは樋熊の責任ではなく、打線が勝ち越し点を上げられず、樋熊にプレッシャーを背負うような感じになってしまい申し訳なかったです」とかばった。

 エネルギッシュなプレイヤーがそろった八千代松陰。この3年生のマインドは下級生にも引き継がれ、またしぶといチームを作り上げることだろう。


高田海斗

 市立船橋の戦いぶりも素晴らしかった。東葉、東京学館船橋、習志野、千葉学芸と投手力が高いチームを次々と撃破。なかでも習志野戦ではこれまで活躍してきた技巧派左腕・山内 翔太を攻略し、5回コールド勝ちした一戦は大きなインパクトを与えた。

 そんな市立船橋打線はとびぬけた選手はいないが、3番・高田海斗を中心に対応力が高い打者がそろい、犠打、バスターなど細かい攻撃がしっかりとでできるチーム出勝負所の守りも素晴らしかった。きめ細かい打撃、走塁、守備は甲子園でも十分に戦えるチームだった。練習の中でも勝負所でも打てる練習を日々、繰り返してきた。

 投手陣では計9投手が登板。技巧派左腕・髙山 航希、技巧派右腕・亀田 幸汰、右サイドの中村 海翔など130キロ超えの投手が多く、正捕手・櫻内俊太は「リードはすべて捕手が責任を持つ。投手は余計なことを考えさせず、腕だけしっかり振らせる」ことを意識したおかげで多くの投手が持ち味を発揮し、好投を演出した。

 ただ専大松戸戦の6回表のビッグイニングだけが痛かった。市立船橋は仕掛けたり、相手のスキをついて畳みかける攻撃は非常にうまい。劣勢になったとき、どう対処ができるか。そこを乗り越えることが、2007年夏以来の甲子園出場のカギとなる。

(記事=河嶋 宗一)

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