福岡大大濠の新チームに密着

福岡県チャンピオンを目指し練習に励む福岡大大濠ナイン

 これまで計7度の甲子園出場の実績があり、2017年に出場した選抜甲子園ではベスト8進出を果たした福岡大大濠。当時の中心選手だった三浦 銀二投手(法政大)、古賀 悠斗選手(中央大)などは大学野球でも活躍を見せており、今年もドラフト上位候補の山下舜平大投手を擁するなど、近年はレベルの高い選手を輩出し続けている。

 この夏の福岡地区高等学校野球大会は、決勝で惜しくも福岡に延長の末敗れたが、新チームは甲子園に向けて気持ちを新たにスタートした。チームの現在地に迫った。

主力の3年生が抜けてゼロからのチーム作り

山下舜平大(取材日の数日前に合同練習会を終え、グラウンドにて調整を行なっていた)

 大石 達也氏(元西武投手)や川原 弘之投手(福岡ソフトバンク)、濱地 真澄投手(阪神)など、これまで10名のプロ野球選手を輩出している福岡大大濠。

 この夏を戦った3年生にもドラフト上位候補の山下 舜平大投手や山城 航太郎選手、深浦 幹也選手など、潜在能力の高い選手が揃っていたが、レギュラーの大半が3年生だったため、新チームは経験のある選手が少ない中でスタートした。

 「主力だった3年生が抜けたのでゼロからのチーム作りになります。その中でまずは守ることから始めようと選手たちには話して、守備力に重きを置いてスタートしています」(八木啓伸監督)

 だが、チームに焦りや悲壮感がある訳では無い。選手たちからは自分たちの実力を把握した上で、前向きにチーム力を上げていこうとする意思が感じられる。

 八木監督は、例え個々の力が相手よりも劣っていたとしても、チーム全員の力で粘り強い野球をしていこうと呼びかけたことを明かす。

 「個々で見れば(前チームより)劣っている面もあるかもしれません。ですがお互いの力を絡め合い、チーム一丸で納豆のように粘りの野球をやりたいなと1、2年生には話をしました」

 八木監督の呼びかけを受け、主将の川上 陸斗もチームが一丸になれるような意識を大切にしていると語る。特に内野手には、チームに合流して時間の経っていない1年生の選手が多い。コミュニケーションの機会を多く作り、八木監督の目指す「納豆のように粘りの野球」を体現するべく必死だ。

 「去年の中心選手がいなくなり経験不足だと思うので、そこをどう補うか考えながらやっています。まだできていませんが、徹底事項は試合の前に確認して最低限そこはやっていこうと言いながらやっています」

バッテリーを中心に戦い福岡県のチャンピオンに

投手陣の柱・毛利海大

 練習の中で印象的だったのは、ミスに対して選手間で叱咤し合っている点だ。特に内野ノックは非常に高い熱量で行われており、指導者が指摘せずとも質の高い練習が行われている。

 この点について、ドラフト候補である山下 舜平大投手に伺うと、ノックは特に力を入れてる練習であることを明かし、普段の練習の中からもチーム一丸の意識が感じられる。

 「自分の場合は、投手のフィールディングに入る時に感じますが、特に内野手は言うべきことをしっかりと言い合える雰囲気があります。なので、とても引き締まった練習ができているなと思います」

 そんな福岡大大濠の新チームは、バッテリーを中心に守備を土台に試合を作っていくチームを目指す。

 まず投手では、左腕の毛利 海大が軸になる。小学生時にはソフトバンクホークスジュニア、鷹羽ボーイズ時代には世界少年野球大会日本代表(ボーイズ日本代表)に選出された経験豊富な左腕で、130キロ後半の伸びのある直球と制球力の高さが光る。

 また、主将で捕手の川上 陸斗も攻守で中心となるべき存在だ。シュアな打撃に、冷静な判断能力にも長け、チームの状況によっては外野を守ることもあるなど、ユーティリティ性も持つ。まさにチームの要となる選手だ。

 八木監督はこの二人を中心に、まずは秋季福岡県大会での優勝を目指し、そしてその先の選抜甲子園を目指して戦いたいと意気込みを語る。

 「目標はもちろん、福岡県でチャンピオンになることです。大会で勝てるようになるために、一戦一戦自分たちの力を発揮できるようにしていこうと選手たちには呼びかけています」

 また福岡大大濠にとって、近年は夏の福岡大会を突破できていない点も大きいな壁となっている。2017年は三浦銀二投手、古賀悠斗選手のバッテリーを擁しながらも決勝で東筑に敗れ、また2018年も準決勝で沖学園に敗戦。昨年も星子 海勢や星野 恒太朗といった好選手を擁しながらも、準決勝で敗れた。

 八木監督は、夏の壁を突破できていない状況についても悔しい思いを吐露し、来年の夏に向けても強い思いを口にする。

 「夏に関しては、平成元年から突破できていません。夏の壁を超えることができるように一年かけて取り組んでいますが、突き抜けることができるようにもがいている状況です。来年こそ、何とか突破して行きたいなと思っています」

 そしてチームは現在、秋季福岡県大会で決勝戦まで駒を進め、秋の福岡大会制覇まであと1勝としている。 相手は九州国際大付と県内屈指の実力校だが、その中でどんな戦いを見せるのか注目だ。

(記事=栗崎 祐太朗)



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