2005年夏に甲子園準優勝の実績がある京都外大西。2010年夏以降は甲子園から遠ざかっているが、最近の成績は上向きで、再浮上の機運が高まっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、異例だらけとなった今年の高校野球。京都外大西も多くの学校と同じように活動再開できたのは6月からだった。

コロナ禍で気づけたこと。そして両立を求めた戦い方の難しさ

シートノックの様子

 今年は3年生の選手が15人だったため、夏の独自大会は全員がベンチ入りすることができた。その一方で西村 瑠伊斗(1年)や星野 一平(2年)など力のある下級生も起用し、ブロック決勝まで勝ち進んだ。ベストに近いメンバーで戦えていたように見えたが、実際には難しい戦いを強いられたと上羽功晃監督は振り返る。

 「ベンチに入れたからには3年生を全員使おうと思っていたので、いつもと同じような戦い方はできなかったですね。使うタイミングを計らないといけないですから」

 通常であれば、学年関係なくベストメンバーを組めばいいが、この夏はそうもいかなかった。勝利と3年生全員起用の両立を求めた中で最後の試合まで戦えたことは大きな成果だろう。

 また、コロナ禍で各校が悩まされたのが練習時間の問題だ。活動再開してからも練習時間の短縮を余儀なくされた学校は多く、京都外大西も平日の放課後練習が3時間半から2時間半と1時間程度短くなった。しかし、それがプラスになった面もあったと上羽監督は話す。

 「練習時間を長くしなくてもできるなと思いましたし、時間の使い方はちょっと変わった部分がありましたね。練習時間が短くなった中で無駄な時間をなくす意識が高まったので、そこはよかったと思います。そこは継続していきたいですね」

 今までのように練習できなくなったからこそ、気づくことができた部分はどの学校でもあることだろう。京都外大西にとって、それが時間への意識だった。グラウンド整備や練習の合間では選手たちがテキパキと動いており、意識は十分に浸透しているように感じさせられた。

折れた木製バットを活用した驚きの練習の狙い

短いバットを使いトスバッティングにも取り組む

 練習内容にも目を見張るものがあった。それは短いバットを使って打撃練習を行っていたことである。折れた木製バットを活用し、根っこの部分を持ってバットを操作している。以前はバント練習や片手でのティー打撃で取り入れていたが、この新チームからはフリー打撃でも短いバットを使用することになった。その理由を上羽監督は次のように説明してくれた。

 「ボールを引きつけて、自分のポイントに持ってくる。要はボールを追いかけないことを意識づけさせたいんです。短くバットを持っていると、自分の近くにボールを呼び込もうという意識が持てるので、そこは変わった気がしますね。粘っこいバッティングができるようになったと思います」

 バットが短いと、体の近くまで引き付けなければ、ボールに当てることができない。以前は外に逃げていくスライダーに振らされる主力打者があったそうだが、それも徐々に改善傾向にあるという。

 ちなみに短いバットでフリー打撃をすると、当然だが、普通のバットよりも打球は飛距離が出ない。しかし、ドラフト候補になった山下 航汰(3年)は短いバットでも長打性の当たりを連発していた。

 残念ながらドラフト会議では指名されなかった山下だが、高い打撃技術には定評がある。短いバットで打球を飛ばすコツとして、「体の使い方とバットを通す角度だと思います」と解説してくれた。バットを上から出すのではなく、下からすくい上げて、ボールに乗せるような角度でバットを出せば、遠くに飛ばせるのだという。短いバットは正しい打ち方を身に付けるために役立つアイテムになっている。

(記事=馬場 遼)



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