兵庫を制した神戸国際大附やベスト8まで勝ち上がった神戸弘陵。さらに滝川第二に、近畿大会出場の長田など激戦区・兵庫県の中でも実力校が多く出揃う神戸地区。この地区で研鑽を重ねているのが神戸甲北だ。

 この秋は初戦で滝川第二の前に敗れ、敗者復活戦に回った。初戦の伊川谷に勝利するなど、順調に勝ち進んだが。3回戦の須磨友が丘のまえに5対8で敗戦。県大会まであと少し届かなかった。

得点を奪うために果敢に足で攻める

走塁練習の様子

 取材で訪れた際はグラウンドで走塁練習が行われていた。見てみると、3か所に分かれて、効率よく練習が進んでいた。
 「ランナーをとにかく前に進められれば得点する確率は高まる。だからこちらから仕掛けて相手のミスを誘って、得点できる可能性を高めたいんです」

 チームを指揮する大崎監督が考える今年の戦い方だ。旧チームと比較すると、力は劣るものの、選手間の繋ぎに対する意識の高さを感じ取っていた。だからこそ、粘りのバッティングの意識を選手それぞれに浸透させつつ、打撃練習ではバスターやエンドランといった細かな技術も高めてきた。

 こうして打撃を強化すると同時に、守備に対する考え方や見方も養おうと大崎監督は考えた。
 「完全に伝わっているかどうかわかりませんが、試合を想定して泥臭くもやろうとしているのがわかります」

 ただ田中詩音主将が「今年のチームはあまり打力がないと言われています」と語るように、純粋な打力だけでは練習試合でも勝つことが出来なかった。その経験を経たことで、走塁を絡めた攻撃が必要だと認識したのだ。
 「足が速い選手がそろっているわけではないですが、エンドランやセーフティーを駆使した攻撃をすれば、ピッチャーのボールも浮いてくると思うんです。そうすればヒットにできる確率が上がると思うんです」

 走塁練習ではベースを踏む位置をどうするか。走路に関しても、どれだけ小さく膨らみ、真っすぐ次の塁に向かって走れるか。そうしたところ大事にして走塁を磨き上げ、動くことでチャンスを広げられるようにしている。

県大会へ実戦を通じて経験値を増やしていく

田中詩音主将(神戸甲北)

 今年は新型コロナウイルスの蔓延により、1年生13人の合流は6月末。体力も筋力も不足し、気は遣っていたが、足腰をはじめ痛める新入生が続出。夏休みの期間を使って体力をつけていき、自信を深めてきた。

 だが2年生7人も課題があった。今回の事態を受けて、11月末から6月後半まで対外試合をできなかった。そして練習試合解禁となっても、3年生中心となったため、夏の大会が終わるまで実戦を積むことができなかった。

 チームをまとめる田中主将も「3年生が16人いたので、スタメンだけでなくベンチ入りもなかなかできずに実戦経験少ない中で、よくできていると思います」と経験の浅さを感じながらも、チームの力を感じ取っている。そんな田中主将は1年生から公式戦を経験していることを活かし、チームメイトに声掛けをするなど、実戦経験が少ないチームを引っ張っている。

 また大崎監督は、実戦経験が少ない分、選手たちの意識の高さに気が付く。
 「本人たちもオープン戦に飢えているところがあったので、何とかしてやろうとしていることは伝わってきます。例年以上に意識を高くもってやれていると思います」

 実際に練習中にも、タイムを伝えることで選手たちに実戦意識を持たせている。こうして秋に向けて準備をし、キャッチャーも務める田中主将が攻守のキーマンに神戸予選に挑んだ。

 だが初戦の滝川第二には0対8で完封負け。敗者復活戦に回割ると、初戦・伊川谷には11対5で勝利し、続く兵庫工には6対5と接戦を演じてサヨナラ勝ちを収めた。県大会へ一歩ずつ前進してきたが、3回戦・須磨友が丘の前には5対8。県大会への道は閉ざされた。

 春は再び予選から県大会を目指すことになる神戸甲北。この秋はミス恐れず、足で仕掛ける野球で挑んだが、大崎監督の目指す野球はシンプルだった。
 「まずは無駄な失点をしないこと。攻撃陣は打つこと以外でも得点できるようにする。辛抱強く戦っていく中で9回、延長、タイブレークが終わって気がついたら勝っているような野球が出来ればと思っています」

 「練習の取り組み方や意識に変化が出てきました」と少しずつチームが成長してきたことを感じている田中主将。失敗を恐れずに仕掛けていき経験を積み上げていき、チーム力を高めた先に県大会の舞台があることを信じて、神戸甲北は練習を重ねる。

(記事=編集部)


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