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「智辯和歌山撃破の要因となったピッチトンネル理論」世代No.1右腕候補・小園健太(市立和歌山)の進化【前編】
フォーム、変化球の感覚を自ら解説!小園健太(市立和歌山)の投球術に対する考えとは?【後編】

敵将も評価するピッチングスタイル

市立和歌山・小園健太

 好投手がひしめく近畿地区で一番の実力者と言われているのが市立和歌山の小園 健太(2年)だ。最速152キロの本格派右腕で、今年のドラフト1位候補にも挙げられている。

 大阪府貝塚市出身の小園は小学1年生の時にR.I.C.Aで軟式野球を始め、5年生から投手となった。中学では貝塚ヤングに所属。3年生の時にはヤングリーグ選手権大会でエースとしてチームを優勝に導いた。

 当時からバッテリーを組んでいた同級生の松川 虎生(2年)に誘われる形で市立和歌山に入学。1年春からベンチ入りし、重要な場面でマウンドを任されてきた。

 高校に入ってすぐ向上したのが球速だ。中学時代の球速は132キロだったが、ウエイトトレーニングに取り組んだことで夏には144キロを記録するようになった。その後、フォーム改善にも成功し、昨年2月に147キロ、夏に152キロと順調に数字を伸ばしている。

 こうして見ると球速に目が行きがちだが、小園の投球を支えているのがカットボールやツーシームといった曲がりの小さい変化球だ。ストレートのタイミングでスイングした打者がカットボールで空振りさせられる場面が夏以降は多く見られた。昨年から何度も小園と対峙している智辯和歌山の中谷 仁監督は近畿大会準々決勝後に小園の投球についてこう語っている。

 「高校生だと曲がりが大きい変化球やスピードに興味が向きがちなんですけど、(曲がりの)小さな変化球のキレが素晴らしい。バッターは真っすぐに見えているんでしょうね。ことごとく打ってほしいバッターが内野ゴロに打ち取られたり、ファールフライに打ち取られました」

奥川恭伸並みの活躍を甲子園で見せられるか

市立和歌山・小園健太

 秋の近畿大会では3試合に登板し、22回1失点という圧倒的な数字を残している。今では150キロを投げる高校生が珍しくない中でこれだけの結果を残せるのは変化球の精度や制球力が高いことの証だ。近畿の高校生の中で最も攻略が難しい投手であることは間違いない。

 また、小園が強みとしているのがテンポの良さだ。四死球が少なく、ストライク先行で球数を少なく抑える投球ができている。小園が投げる試合は試合時間も短く、近畿大会では1回戦の東播磨戦が1時間50分、準々決勝の智辯和歌山戦が1時間40分と非常にスムーズな試合だった。

 これに関しては貝塚ヤング時代からバッテリーを組む松川の存在も大きいだろう。長くバッテリーを組んでいるだけあって、二人の呼吸はバッチリ。サインに首を振る場面もほとんどなく、互いへの信頼度の高さを感じさせる。

 バッテリーがしっかりと試合を作ることで、近畿大会の市立和歌山は3試合で1失策と守備が非常に安定していた。ただ相手を抑えるだけでなく、守備にいい流れを呼び込めるのも小園の長所だろう。自滅しにくいという点で相手にとってはかなり厄介な存在だ。

 市立和歌山は近畿大会で4強入りしており、来春のセンバツ出場が確実視されている。まだ柔軟性などに課題を残しているが、秋より成長した姿を見せることができれば、昨年の奥川 恭伸(星稜→ヤクルト)並みの活躍も十分に可能だろう。初めての甲子園でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ。

(記事:馬場 遼)


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