指名を受けた6選手(左上から星野真生、鵜飼 航丞、石森 大誠、味谷 大誠、ブライト 健太、福元悠真)

 ドラフト会議は前、本番中、後も楽しめるイベントだ。今回はドラフト総括を行っていきたい。こうした総括は指名順番、戦力外リスト、リターンが大きいか、否かを考えて行うべきと考える。今回指名された選手たちのポテンシャルを考えながら検証をしていきたい。今回は野手5名を指名した中日ドラゴンズだ。このドラフトの最適解とは。

野手ドラフトになった背景を考える

 中日の外野手を成績を調べると、頭を抱えたくなる。
「来年、どうやって戦うんだ…」と。今回、痛かったのは97試合出場で、外野手としての出場は大島洋平(134試合)に次ぐ、86試合出場の武田 健吾(自由ケ丘出身)の戦力外。また、38試合出場の井領 雅貴(桐蔭学園出身)も戦力外となった。

 現在、岡林 勇希(菰野出身)が10月7日の試合からスタメン出場が続いており、髙松 渡(滝川第二出身)と俊足系の左打者が多いが、右打ちの若手外野手が少ない。根尾 昂(大阪桐蔭出身)の伸び悩みが続いており、ウエスタン・リーグでは右打者の伊藤 康祐(中京大中京出身)は打率.278を残すが、長打は期待できない。実績のある平田 良介(大阪桐蔭出身)は復帰の目処が立っていない。

 このような状況を脱するには、ポテンシャルの高い外野手を獲得して競争を促し、勝ち抜いた選手を起用し続けるしかない。

 今回、偏った指名という意見が聞かれる。今回、豊作のポジションを整理したいのだが、

・高校生右腕(BIG3を中心に)
・大学・社会人の左腕

ここまではマスコミのドラフト特集でご存知だと思う。ただ水面下で評価が上がっていたのが、

・右打ちの大型外野手

 だったのだ。三島南の前田 銀治に11球団の調査書が届いていることを稲木監督から聞いたのは驚きだったが、色々な野球関係者に話を聞くと、右打ちの大型外野手は候補が少なく、需要が高まっていた。

 大学野手BIG3で、正木 智也、ブライト 健太、鵜飼という評判も聞いたが、今年ほど右打ち外野手がトレンドになる年もいない。そのため、野手ドラフトをやるならば今年しかなかったのだ。

 高校生投手を軽視しているわけではなく、大阪桐蔭との練習試合で登板した森木に対し、米村 明アマスカウトチーフは「今日は全国レベルの相手と対戦していい勉強になったと思うし、5回に来ても147キロが出ているしスタミナも問題ない。小園(健太・市立和歌山3年)くんと森木くんは高校生投手の中でも群を抜いていると思う」とコメントしているように、高校生投手トップは視察しつつも、最後まで大学生野手か、高校生投手なのかと、優先度の観点から議論した結果、野手だったという結論なのだろう。

 前置きが長くなったが、今回の総括としたい。

指名選手を総括!

 ブライト 健太(上武大)は今年の大学選手権でブレイクした大型スラッガー。春季リーグで50打数19安打、3本塁打、12打点の活躍で、さらに大学選手権では隅田 知一郎から本塁打を放った。体の構造、スイング軌道をしっかりと研究して、間のとり方もうまくなったことが打撃開花につながった。練習中でも試行錯誤をしながら自分の理想につなげようとする姿勢がよい。非常に真面目で、気遣いもできる好青年だ。

 しかし、まだ1シーズンしか確固たる成績を残していないのを見ると、中日側は1年目から活躍すると考えていないだろう。

 即戦力ということを考えれば、独自の技術を貫き、良い意味で図太さを持った正木が一番だと思うが、ブライトの場合、1年目というより、時間をかければ、同世代の中では一番、リターンが大きい素材だと評価しているのだろう。

 理想的な成長パターンは、同世代と競いながら経験値を積み、「プロでも活躍できる」という確固たる自信を掴み、3、4年目に大ブレイクを狙う選手になるのではないだろうか。

 2位の鵜飼 航丞(駒澤大)は東都通算8本塁打と、本塁打になった時の飛距離はとてつもないものがある。ただ打率が2割台で、あくまで1試合見た限りでは、変化球の対応に結構脆さを感じた。うまくいけば、福田 永将(横浜出身)のような選手に育つ可能性がある。

 こういう選手を全体15番目にしたのは勇気がいると思った。その時は正木が残っていたので、この選択が数年後、どう結果に出るか注目したい。一番の願いは双方が結果を残すことだ。

 3位の石森 大誠(火の国サラマンダーズ)は、36.1回を投げ、63奪三振と驚異的な奪三振ペースを叩き出した速球派左腕。上半身を鋭く腕を振って角度のある150キロ前後の直球と、落差が鋭い変化球を投げる。この手のタイプは中日はしっかりと育てているので、投手陣の一角に間違いなく入りそうだ。

 4位の味谷 大誠(花咲徳栄)は、指名順番としては39番目。まだ津出身の前川 右京(智辯学園)、田村 俊介(愛工大名電)が残っていた。それでも味谷を真っ先に指名した。味谷は2人に負けないコンタクト力があり、脚力も高く、なんといってもスローイングタイム1.8秒〜1.9秒を計測する強肩で、捕手時の動きを見るとフットワークが軽快で、野球選手としての能力が高い。

 とにかく自主練習を目一杯を行う選手で、今年6月の取材でも黙々と木製バットで快音を響かせていた。現在の中日は捕手が過剰気味なので、味谷の良さを活かすためにはコンバート必至だろう。どういう活かし方をするのか注目していきたい。今季引退した藤井淳志のような野手になってほしいと思っている。

 5位の星野 真生(豊橋中央)は、楽しみな遊撃手。スイング軌道が良く、まず木製バットの対応が第一となるが、慣れれば本塁打量産を期待できる。地元で技術的に優れたポテンシャルの高い選手は貴重だろう。

 6位の福元 悠真(大商大)は今季2本塁打を放ち、パワーは大学生でもトップクラスで、広角に打ち分ける打撃が持ち味。スラッガーの鵜飼やブライトと比べられそうだが、福元は本塁打よりも打点を目指し、貢献度の高い打撃を貫いてほしい。それが生き残る道ではないだろうか。

 今回の戦力層を考えると今回のドラフトは致し方ない面もあった。こうなったのもこれまでの起用など、戦力外リストを見て、緊急性が高まったのだろう。投手は1人しかいないため物足りなさはあるが、これは現有戦力に期待を込めているのだろう。トレード、戦力外の補強、外国人補強を含めてどう行っていくか注目をしていきたい。

中日ドラフト総括 75点

(記事:河嶋 宗一)

中日ドラゴンズ過去指名者一覧 1位 ブライト 健太 上武大 外野手

打力の光るスラッガー


2位 鵜飼 航丞 駒沢大 外野手

春は3本塁打10打点の活躍。ここ一番の活躍が光る勝負強さが持ち味。


3位 石森 大誠 火の国サラマンダーズ 投手

2年目で才能開花。最速155キロの速球を武器に三振を量産する。


4位 味谷 大誠 花咲徳栄 捕手

秋から急激に成長を見せた好捕手で、スローイングタイム1.8秒台を叩き出す強肩で、シャープなスイングで長打を量産。さらにベースランニングも軽快で、走攻守三拍子揃ったプレーヤーだ。


5位 星野 真生 豊橋中央 内野手

高校通算25本塁打を記録する強打のショート


6位 福元 悠真 大阪商業大 外野手

智辯学園では2年春に4番打者として甲子園出場に貢献。大商大でも持ち前の長打力を武器に中心打者として活躍を見せている。