DeNA1位指名の小園 健太とロッテ1位指名の松川 虎生を擁して今春の甲子園に出場した市立和歌山。夏の大会を終えてレギュラーの大半が抜けたが、投手力の高さを武器に2年連続の甲子園を狙っている。

新エースには最速148キロ右腕の米田

松村祥吾主将

 夏の和歌山大会は決勝で甲子園優勝を果たした智辯和歌山に敗戦。この時のスタメンは全員3年生だった。小園に次ぐ投手として、最速148キロ右腕の米田 天翼(2年)が旧チームから活躍を見せていたが、新チームはスタメン総入れ替えとなった。

「旧チームに関しては個々の能力が凄く高いチームでしたが、このチームは旧チーム以上にチームで戦うぞという気持ちの部分、チーム力で戦うという結束が強いと思います」と新チームについて半田真一監督は話す。まずは野手が総入れ替えになることもあり、守備力を固めることにまずは力を注いだ。

 主将に就任したのは、遊撃手の松村 祥吾(2年)。「派手さは全然なくて、不器用な部分もたくさんありますが、気持ちで凄くチームを引っ張ってくれているので頼もしいです」と半田監督の信頼が厚い選手だ。

「最初の方はプレッシャーがあったり、上手くいかないことがありましたが、練習や試合を重ねていくうちにチームのまとまりが出てきたと思います」と松村は現在のチームに手応えを感じている。前主将の松川からは周りに指示をする力や自ら率先して動くことを学んだそうだ。

 新チームの強みは投手力の高さだ。エースの米田は今年のセンバツで2回戦の明豊戦でも先発して4回1失点と試合を作った実績がある。小園ほどの上背はないが、ストレートの速さやテンポの良さ、制球力の高さは小園と重なる部分がある。

「テンポやマウンド捌き、ピンチでも最少失点で切り抜けるところは小園さんを見習うところです」と1学年上の大エースの背中を見ながら成長を続けてきた。さらに半田監督は、「ストイックな部分や物事にやり切る力は小園より米田の方がある」と米田の内面を評価しており、今後の伸びしろに期待している。来年のドラフト候補にも間違いなく上がってくるだろう。

 大事な試合では米田が投げることが多いが、控え投手のクオリティも高い。淵本 彬仁(2年)は183㎝の長身を活かしたストレートを武器にする本格派右腕。宮本 勇(2年)は左腕から140キロ前後の速球を投げ込み、両者とも他校であればエース格としても十分に通用する投手だ。彼らの成長には小園の存在も大きかったと半田監督は話す。

「小園の取り組んでいることや考え方が米田とか、淵本、宮本には継承されているのかなと思います」

経験不足の野手陣のキーマンは?

大池悠太(左)、寺田椋太郎

 小園の背中を追って2年生が伸びたことにより、投手陣は全国でも十分に戦えるだけのメンバーを揃えている。その一方で、現状の課題は「圧倒的に打力ですね」と半田監督は話す。野手は投手以上に公式戦の経験が不足しており、得点力不足が懸念されていた。

 その中で指揮官が期待しているのが3番の大池 悠太(2年)と5番の寺田 椋太郎(2年)だ。大池はセンバツの1回戦に2番左翼手で出場。ミート力が高い左打者で、「ポイントゲッターになる打者」と半田監督はキーマンに挙げている。寺田は勝負強さが光る右打者。秋の和歌山大会準決勝でも5打数3安打2打点の活躍を見せた。

 その二人の間に挟まれるのが、1年生ながら4番を打つ大江 陸斗。「練習をよくやる子」と半田監督は取り組む姿勢を高く評価している。彼ら3人がクリーンアップとして機能すれば、得点力アップが期待できる。

 和歌山県では新人戦、一次予選、二次予選と秋の公式戦がある。新人戦で4強入りしたチームは一次予選免除で二次予選に進むことができ、それ以外のチームで一次予選を戦い、そこから上位4チームが二次予選に進出。新人戦と一次予選でそれぞれ4強入りした8チームが二次予選を戦うという流れだ。

 市立和歌山は苦戦する試合がありながらも新人戦で4強入りを果たし、二次予選進出を決める。しかし、準決勝では県立和歌山商に2対3で敗れ、3位という結果で新人戦を終えた。

 二次予選の初戦は桐蔭に3対0で勝利。準決勝で再び県立和歌山商と対戦することになった。今年は和歌山県から2校しか近畿大会に進めないため、必ず勝たなければいけない試合だった。

 同じ相手に二度負けるわけにはいかない。取材に訪れた日は準決勝の3日前だったが、練習から非常に声が出ており、熱気を感じさせた。

 試合でも選手たちの集中力の高さが発揮された。3回表に3点、6回表に4点、9回表に5点と随所に集中打が見られ、12対2の完勝。新人戦のリベンジを果たし、近畿大会の出場権を獲得した。さらに決勝でも和歌山東4対2で勝利。秋の和歌山の頂点に立った。

 近畿大会では16日の第1試合に兵庫2位の神戸学院大附との対戦が決まっている。近畿地区のセンバツ出場枠は6。まずは4強までに入って、来春のセンバツ出場を確実にしたいところだ。「センバツでは悔しい思いをしているので、必ずセンバツに出て、その借りを返したいと思います」と甲子園のマウンドを経験している米田は意気込む。2年連続のセンバツ出場を目指す市立和歌山の戦いぶりに注目だ。

(取材:馬場 遼)