今週末の10月30日から、今年は愛知県主管で岡崎市民球場をメインとして開催される第74回秋季東海地区大会。来春のセンバツ出場校選出への重要な要素となる大会でもある。まずは、決勝進出でセンバツ当確を勝ち取りたいところである。

 今年は、2回戦が2日間に分かれて、やや変則日程となる。そのこともいくらか影響を与えてくるかもしれない。その大会を展望してみた。

V候補筆頭は享栄、至学館もあなどれない


享栄・藤本 逸希

 愛知県1位校として出場する享栄が、2000年春以来のセンバツ出場を目指しての戦いとなる。エース左腕藤本 逸希が安定しており、制球もいいが、スッと曲がってくるタテのスライダーは秋の新チームの打線ではそうは打ち崩せないだろう。実際、レベルの高い愛知県大会でもほとんど打ち崩されることはないままで、安定した戦いぶりだった。また、攻撃力もソツがなく、今大会優勝候補筆頭といっていいであろう。この夏もチーム力は充実していて、愛知大会決勝まで進出したが、愛工大名電に敗れて甲子園を逃している。その悔しさもバネになっている。

 中京大中京から異動して3年目となる大藤 敏行監督は、「一度閉じられた扉を開けるのは、大変な作業」と言っているが、この夏に開け損なった重い扉を、この秋こそこじ開けていきたいという思いである。また、打線も1番西田 翔哉が核となりながら、ソツなく点を獲っていく野球が徹底している。愛知県大会では、準々決勝では中京大中京に苦しみながら競り合って勝ったものの、それ以外の試合は決勝で至学館に大勝したことも含め、ほぼ会心の試合で快勝してきたといっていいであろう。

 その享栄を追う存在としては、決勝こそコールドで大敗してしまったものの、愛知県2位の至学館も注目だ。勝負強さと打線の強力さ、さらには何を仕掛けてくるのかわからないというトリッキーなスタイルで、相手校にとっては嫌な存在であろう。ことに、準決勝では勢いのある星城に9回までリードされていながら、一気に逆転サヨナラで勝利をものにしている。こうした勝負強さ、「負けていても9回に何かを起こす至学館」という野球スタイルは、すっかり定着してきており、相手にとってのプレッシャーにもなっていくであろう。組み合わせから、愛知県勢同士の決勝もないとは言えない。

日大三島、静岡、中京も十分チャンスある

中京・瀬戸 亮太

 静岡県大会を制した日大三島も侮れない存在になりそうだ。報徳学園で全国制覇の実績もあり、U−18日本代表の指揮官を務めたこともある永田 裕治監督が就任して、初めての東海地区大会である。どのような戦いを仕掛けてくるのか興味深いところだ。その日大三島にぶつかるのが、三重県2位校の津商と愛知県3位校の春日丘だ。どちらも、近年躍進著しいが、春日丘は、何度も東海大会で悔しい思いもしている。何とかあと一つの階段を上っていきたいという思いは強いであろう。

 享栄に挑むのは大垣日大と静岡の勝者だ。この山の勝者が一つのカギとなりそうだ。大垣日大は、岐阜県大会準決勝で、県内1の力があると言われていた県立岐阜商に競り勝てたことで自信も得ている。超ベテランの阪口 慶三監督はエース五島 幹士君に対しての信頼も高い。

 静岡は、経験のある鈴木 脩矢と躍進著しい吉田 優飛の両投手がどういう投球を示してくるのか。例年ほどの破壊力がない分だけ、しっかりと守って、手堅くいきたいところである。

 至学館と岐阜県3位の岐阜第一の勝者は三重県1位の三重に挑む。岐阜第一は3位決定戦では県立岐阜商と0対0のまま延長に入るという厳しい試合で、延長11回にサヨナラ勝ちして粘り強さを示した。その試合を投げ切った弘川 泰暉の緩急を使い分ける投球にすべてがかかる。三重は、どちらが来ても難敵となろうが、どう受け止めていかれるか。

 岐阜県1位の中京は、エース左腕の瀬戸 亮太が安定している。場合によっては、抑えとしても投入される可能性もあるだけに、わずかでもリードして後半にもっていかれれば中京のペースとなろう。その中京に挑むのは静岡県2位の聖隷クリストファーと三重3位の津田学園の勝者だ。

 総合力では享栄がややリードしているが、秋季大会は試合を重ねながらチームもどんどん成長していく。ことに、県大会の開幕が遅かった岐阜県勢は、大会を通じてチームの伸長度も期待できそうだ。

(記事:手束 仁)