花巻東出身のエンゼルス大谷 翔平のMLBア・リーグ満票MVPで沸く中、20日8時半より花巻東(東北・岩手)が明治神宮大会初戦に臨む。打線の中心を担うのが高校通算47本塁打の佐々木 麟太郎内野手(1年)。183センチ117キロの規格外の体型に加え、高レベルの打撃技術が注目されているが、その凄さや課題について考えていきたい。

公式戦10本塁打はやはりすごい!

佐々木 麟太郎(花巻東)

 佐々木の話題では必ず「練習試合を含んだ高校通算本塁打は意味があるの?」という声が挙がる。現在、プロで活躍するスラッガーは、高校時代あまり多くなくても、プロの世界で数多くの本塁打を量産している選手は多くいる。世代トップの本塁打数を打っているのに、活躍できていない選手もいる。

 ただ、高校通算73本塁打の巨人・岡本 和真内野手(智辯学園)が、巨人の歴代4番に負けないスラッガーへ成長しているのを見ると、高校通算本塁打、体格の凄さはプロでもスラッガーへ化けるひとつの要素として捉えるべきだと思える。

 佐々木はこれまで10本の公式戦本塁打をマークしている。

1年春 4本
1年夏 2本
1年秋 4本

 高卒からプロ野球のドラフトで指名されるスラッガーや、強豪大学に進学するスラッガータイプは、公式戦で10本〜15本前後打っていることが多いが、佐々木はこれを1シーズンで打ってしまうのだから恐ろしい。

 佐々木の打撃フォームには惚れ惚れする。メジャー通算762本塁打を誇るバリー・ボンズを参考にしているだけあって、重心を低く構え、体全体をしなやかに使えている。動作をしっかりと見られるトレーナーからも佐々木を絶賛する発信が多く、遠くへ飛ばす技術はこれ以上ないものを持っているのだろう。

東北大会を見て感じた課題

佐々木 麟太郎(花巻東)

 佐々木は「死角なし」かといえばそうでもない。東北大会の仙台育英戦、八戸工大一戦を見て感じたのは、変化球の対応には優れているが速球の対応はちょっと苦手にしているように見えた。両チームともインハイの速球を投げ込んでいたが、仙台育英戦では振り遅れのファウルが多く、八戸工大一戦でも速球に対して振り遅れの打球が多かった。佐々木はヘッドを投手方向に向けてトップを形成するが、そういう選手は得てしてタイミングがうまく取れないと振り遅れしやすい傾向がある。

 東北大会の投手を見ると、関東大会、近畿大会の投手と比べると若干落ちるようだ。佐々木の才能は素晴らしいが、レベルの高い舞台で結果を残すには課題はある。

 佐々木については10月頃から、「今のドラフトでも上位に入る」という声が多かったが、その通りだと思う。体格、飛ばす才能、広角へ飛ばすために作られた打撃フォーム。そのレベルが高校3年生と比べても突き抜けていた。あとはレベルが高い投手と対戦して、その対応力を高めることだった。

 だからこそ、佐々木にとって神宮大会、甲子園など全国舞台を踏むことは、貴重な経験となる。どんな結果になっても課題や収穫が見つかり「完全無敵の佐々木麟太郎」になるために必要なプロセスなのだ。

 今回、開幕戦で対決する國學院久我山(東京)には突出した投手はいないが、相手へプレッシャーをかけるのが非常に上手いチーム。果たして佐々木は前評判通りの実力を発揮できるのか?

(記事:河嶋 宗一)