第52回明治神宮大会高校の部では、花巻東(岩手)の佐々木 麟太郎内野手ら、スーパー1年生野手の活躍で沸いた。その舞台には届かなかったが、全国には地方大会で高いパフォーマンスを発揮した選手や、世代のトップクラスになる可能性を秘めた野手が多くいる。今回はそんな1年生たちを紹介したい。

関東地区はサヨナラ弾男、打率7割遊撃手など人材豊富

高橋 海翔(山梨学院)

 関東大会準優勝の山梨学院(山梨)の1年生野手の充実ぶりが素晴らしい。4番を打つ高橋 海翔内野手は世田谷西シニア時代から評判の右スラッガーで、関東大会で18打数10安打を記録。恵まれた体格からのレベルスイングで、広角に強い打球を飛ばす。対応力も高く、来春以降、さらに注目を浴びる強打者となりそうだ。

 遊撃手として抜群のフィールディングを誇る進藤 天内野手も、関東大会で次々と好守備を披露した。コンタクト力が高い打撃も披露し、注目に値する選手だ。また関東大会でも活躍を見せた大型捕手・佐仲 大輝も読みが鋭く、パンチ力のある打撃に加え、確実性の高いスローイングが武器。名将・吉田監督も評価するリードセンスも見逃せない。

 ベスト4入りの木更津総合(千葉)にも楽しみな1年生野手がいる。水野 岳斗外野手は1年夏から活躍し、秋から4番を打つまでに成長した。秋季大会の一次予選・千葉黎明との一戦で、好投手・伊東 賢生から左中間へ2本の二塁打を放つ姿を見て、惹かれた選手だ。関東大会準々決勝の東海大相模(神奈川)戦では適時打を放つなど、広角に長打も打てる。左の大型打者として、3年生までどれだけ本塁打を重ねることができるか注目したい。

 関東大会ベスト8で敗れたが、東海大相模の百崎 蒼生内野手は、関東大会2試合で9打数7安打、打率.778の大活躍。神奈川大会と比べても打撃フォームが良くなり、足を使って軽快に打球を捌く守備も光るものがあった。熊本泗水ボーイズ時代の取材では、攻守でポテンシャルが高いプレーを披露してくれた。これからの成長がとても楽しみだ。

 秋の公式戦までは代打中心の起用だったが、武蔵狭山ボーイズから騒がれた山内 教輔外野手も楽しみな左打者だ。初球から果敢に振ることができて、何より下半身の使い方、無駄のないスイング軌道には非凡なものがある。ポテンシャルが最大限に引き出されると、神宮大会でファンを沸かせた佐々木麟太郎ら左打者に負けないパフォーマンスを十分に期待できる。

 関東大会で初戦敗退した土浦日大(茨城)からは、1番・太刀川 幸輝外野手と、クリーンナップを打つ香取 蒼太内野手にも注目だ。太刀川はチーム一のコンタクト力の高さを持ち、茨城県大会では大当たりした。香取も期待のスラッガーで、関東大会初戦の桐生第一(群馬)戦で適時二塁打を放った。練習取材でも、太刀川がほぼ芯で捉える打球を放つなど、このコンタクト力の高さは来年のドラフト候補として期待されている吉次 悠真外野手(2年)より優れていた。香取も遠くへ飛ばしており、来年以降、本塁打量産が期待できる。


緒方 漣(横浜)

 関東地区では、夏に活躍した選手も多い。

 横浜(神奈川)の緒方 漣内野手は、オセアンヤング時代から、中学生離れの守備を披露し、打撃でもコンタクト力の高い打撃を見せていた。1年春からベンチ入りし、高打率を記録し、夏の甲子園へ。広島新庄(広島)戦では史上初の1年生逆転サヨナラホームランの快挙を成し遂げた。秋の大会を一通り見てきて、これほど技術的な完成度、勝負強さを兼ね備えた遊撃手は2年生を含めてもいなかったといえる。スケールアップすれば、横浜高校では珍しい遊撃手タイプから高卒プロを狙えるかもしれない。

 横浜ではその他、元巨人、西武の投手だった小野 剛さんの長男、小野 勝利内野手も中学時代から騒がれたスラッガーで、今後、練習試合で打席に立つ機会が増えれば、佐々木 麟太郎のようなペースで本塁打を重ねる可能性がある。東京城南ボーイズ時代から投打で大きな可能性を示した山﨑 隆之介も注目したい。

まだ全国にも楽しみな逸材が

 近畿地区・近江(滋賀)の横田 悟内野手は1年夏から甲子園を経験。センスの高さを感じさせる守備は目を惹くものがあり、投手も務める。小竹 雅斗(しのう・まさと)外野手も守備範囲の広い外野守備、巧打が持ち味の逸材だ。

 九州では甲子園デビューを果たした西日本短大附(福岡)・江口 翔人も1年生離れした守備力とバットコントロールが持ち味の二塁手だ。九州大会初戦で敗れたが、鹿児島城西(鹿児島)に楽しみな1年生がいる。クリーンナップを打つ明瀬 諒介内野手は九州王者・九州国際大付(福岡)との打撃戦で豪快な本塁打を放った。他にも黒川 虎大郎捕手などベンチ入りしている1年生が多く、最終学年になった時にどんなチームになるのか楽しみだ。

 今回、新チームの取材も兼ねて、1年生野手の特徴について伺うと、総じて監督や、コーチが共通して語っていたのが、体格がよく、ポテンシャルが高く、将来スラッガータイプへ化ける可能性を持った選手が多いこと。ただ、コロナ禍で練習、実戦不足でサインプレー、チームプレーが追いついていないので、まだ秋の大会ではベンチ外だったチームも多いようだ。

 大会後の練習試合ではメインの練習試合で1年生が多く出場。あるいはひと冬越えてくれば、今の1年生が来春の公式戦で活躍する可能性も高いと見ているチームもある。

 次回は1年生投手を紹介したい。

(記事:河嶋 宗一)