今年は夏の甲子園で4強入りを占めるなど、近畿勢の活躍が目立った今年の高校野球。特に話題が豊富だったのが和歌山県だ。今回は近畿地区の中でも和歌山県の話題に絞って三大ニュースを紹介していきたい。

智辯和歌山が夏の甲子園優勝

21年ぶり3度目の夏甲子園優勝を果たした智辯和歌山ナイン 写真:日刊スポーツ/アフロ

 夏の甲子園で21年ぶり3度目の優勝を飾った智辯和歌山。雨天中止が続いたことによる過密日程や、初戦が不戦勝といった難しい戦いの中でも強さを見せつけた。

 優勝に最も貢献したと言えるのがエースの中西 聖輝投手(3年)だろう。準決勝の近江戦で1失点完投勝利を飾ると、決勝の智辯学園戦でも4回途中からリリーフ。強打のチームを相手に6回無失点の好投を見せ、胴上げ投手となった。

 打線では1番の宮坂 厚希外野手(3年)が打率.500、2番の大仲 勝海内野手(3年)が打率.588とハイアベレージをマーク。上位打線が高い出塁率を誇ることで、打線に繋がりをもたらした。

 4試合で28得点7失点と圧倒的な強さで勝ち上がった智辯和歌山だが、昨秋の近畿大会は準々決勝で敗退。あと一歩のところでセンバツ出場を逃していた。

 彼らの前に立ちはだかったのが、市立和歌山の小園 健太投手(3年・DeNA1位)と松川 虎生捕手(3年・ロッテ1位)の黄金バッテリーだ。後にドラフト1位指名を勝ちとる二人を擁する市立和歌山相手に秋は新人戦、県大会、近畿大会と3連敗を喫していた。

 それでも春の県大会決勝では7対1と完勝すると、夏の決勝でも6回以降に4点を集めて4対1で勝利。ライバルにリベンジを果たし、甲子園への切符を掴み取った。

 一冬越えてからの成長ぶりは目を見張るものがあった。その背景には強力なライバルの存在があったことは言うまでもないだろう。日本屈指のバッテリーを攻略したチームが日本一になるのは必然だったかもしれない。

和歌山東が近畿大会準優勝の大躍進

最後の打者を打ち取り、喜ぶ麻田一誠(和歌山東)*秋季近畿大会京都国際戦

 夏の甲子園で優勝した智辯和歌山だが、秋は県大会の準決勝で敗退。近畿大会の出場を逃し、来春の甲子園出場は絶望的となった。

 その智辯和歌山を下して近畿大会に出場したのが和歌山東。近畿大会でも快進撃を続けて準優勝に輝き、春夏通じて初の甲子園出場を確実にした。

 和歌山東は2010年に軟式野球部から硬式野球部に移行。それと同時に県立和歌山商を2007年春の甲子園に導いた米田寿秀監督が就任して、着実に力を付けてきた。

 2019年には東北福祉大に進んだ津森 宥紀投手がソフトバンクからドラフト3位指名され、同校から初のプロ野球選手が誕生。少しずつ実績を積み重ね、創部12年目にしてついに大きな結果を残した。

 今年のチームは例年と比べて個々の能力が高いわけではなかったが、チームスローガンである「魂の野球」を体現したまとまりのあるチームを作り上げてきた。

 智辯和歌山戦は前半のリードを3投手の継投で守り抜き、5対4で勝利。近畿大会では1回戦で滋賀1位の八幡商を下すと、準々決勝では昨秋の近畿大会1回戦で敗れた京都国際に3対2で競り勝ってリベンジした。

 長打力とガッツのあるプレーが持ち味の主将で4番の此上 平羅内野手(2年)とサイドスローからツーシームを武器とするエースの麻田 一誠投手(2年)がチームの中心選手。センバツの目標はベスト8入りだが、どんな戦いを見せてくれるだろうか。

市立和歌山バッテリーが揃ってドラ1に

指名に喜ぶ小園健太と松川虎生(市立和歌山)

 10月11日のドラフト会議で市立和歌山の小園 健太投手がDeNAに松川 虎生捕手がロッテにそれぞれ1位指名された。公立高校からドラフト1位が複数出るのは箕島の嶋田 章弘投手(元阪神など)、杉本 正志投手(元広島など)以来37年ぶり2回目の出来事。バッテリーに限れば史上初の快挙だ。

 二人は中学時代から貝塚ヤングでバッテリーを組み、3年生の時には全国制覇を経験。鳴り物入りで入学した市立和歌山でも1年春からメンバー入りを果たし、中心選手として活躍してきた。

 2年秋には近畿大会4強入りを果たし、翌春のセンバツに出場。2回戦で敗れたが、小園は1回戦の県立岐阜商戦で完封、松川も2試合で7打数4安打1打点と力を発揮した。

 夏は県大会決勝で智辯和歌山に敗れて甲子園出場とはならなかった。それでも実力の高さを十分に発揮した二人はドラフト1位指名という栄誉を勝ち取ることができた。

 小園は三浦大輔監督が現役時代につけていた背番号18を背負うことが決まっており、球団からの期待の高さを感じさせる。プレッシャーもあるだろうが、それを打ち破るような活躍を見せてほしい。

 松川も打てる捕手として将来性を期待されている。ゆくゆくは二人が侍ジャパンでバッテリーを組む日が見られるかもしれない。

(記事:馬場 遼)