コロナ禍2年目の2021年も間もなく終わる。1年間、大なり小なりコロナ禍の影響があった中、春、NHK旗、夏、秋と全ての県大会が予定通り実施できた。コロナ感染による出場辞退チームもなく、通常に近い1年になれたことがまずは一安心といえる。そんな中で鹿児島高校野球界の3大ニュースを選んでみた。

第3位 秋の地区大会がコロナ禍で中止

 春以降の県大会は予定通り開催された中、8月末に開催される地区大会が、コロナ禍によるまん延防止等重点措置、鹿児島県独自の緊急事態宣言が出されていた影響で中止となった。

例年、鹿児島市の上位3校、各地区の優勝校(※大島地区と熊毛地区は隔年交代)が秋の県大会のシード校となるが、地区大会がなかったため秋はノーシード、フリー抽選で組み合わせが決まった。このため鹿屋中央と鹿児島実、れいめいと樟南が2回戦で当たり、この勝者の鹿屋中央と樟南が3回戦で対戦するという超激戦パートもあった。

どのチームも夏休み以降、練習試合、遠征などで実戦経験が積めず、「秋の県大会が新チーム初めての対外試合」というチームも少なくなかった。どのチームも実戦経験不足の中で、手探りでチーム作りをしながら公式戦を進めていくという、誰もが経験したことのない秋の大会となった。

第2位 樟南、5年ぶり夏の甲子園へ

5年ぶりに夏の鹿児島を制した樟南

 2年ぶりに開催された第103回全国高校野球選手権鹿児島県大会は63チーム71校が出場。7月3日から26日まで熱戦を繰り広げ、樟南が5年ぶりに頂点に立った。

この1年間の県大会で優勝はなく、第5シードだった樟南だが、好左腕・西田 恒河(3年)を軸に安定した守備をベースに、打線も徐々に調子を上げ、決勝ではライバル鹿児島実を投打に圧倒し7−0で勝利して県勢最多となる20回目の夏の甲子園への切符を手にした。

「1週間500球」という球数制限が導入されたため、3回戦までは連日開催。3回戦と準々決勝、準々決勝と準決勝の間に間隔を空け、準決勝と決勝も中1日の休養日を設ける長丁場の開催となった。このため、全6試合をほぼ1人で投げた西田は球数制限を考えることなく全力投球できた。

この時期はコロナ禍も落ち着いていたため、一般客を入れての開催が実現。県高野連も通常の倍以上の人員を割いて感染症対策に万全を尽くした中、通常に近い雰囲気の大会が実現した。

第1位 大島、県大会初優勝&九州大会準優勝

県大会初優勝を果たした大島

 2021年最大のビッグニュースは何といっても大島の秋の第149回九州地区高校野球県大会初優勝、九州大会準優勝に尽きるだろう。いずれも鹿児島の離島勢初の快挙だった。

 県大会6試合のうち3試合が延長、4試合がサヨナラ勝ちという粘り強さ、勝負強さを発揮した。1年秋からエース番号を背負う左腕・大野 稼頭央(2年)は6試合を1人で投げ抜き、イニングの失点を1以下で切り抜け、試合を作った。準決勝は樟南、決勝は鹿児島城西、甲子園経験のある強豪私学を相手にタイブレークまでもつれた延長13回、3時間を超える死闘を制した。これまで大島は毎年のように県大会8強、4強に勝ち上がる実績を残しながら、なかなか決勝に勝ち進むことができなかった中、初めてその壁を破り、一気に頂点に上り詰めた。

 快進撃は九州大会でも続く。初戦は大分舞鶴と雨による延長10回引き分け再試合を制して8強入り。準々決勝では全国制覇の経験もある興南(沖縄)を3−0で完封し、2014年に21世紀枠で出場して以来となるセンバツ甲子園出場に大きく前進した。準決勝以降はエース大野が「1週間500球以内」の球数制限の影響で投げられない中、初の九州大会のマウンドとなった右腕・武田 涼雅主将(2年)が好投。準決勝・有田工(佐賀)戦は序盤の5点のビハインドを跳ね返し、11−7で逆転勝ちして決勝に勝ち進んだ。

 決勝戦では優勝した九州国際大付(福岡)の強打に序盤つかまり、10点差をつけられるも、武田の好投で試合を立て直し、9回に一挙5点を返す粘りをみせた。

 地元・鹿児島での開催ということもあって、大島のスタンドは連日大勢の応援が駆けつけチームを後押し。本来なら沖縄で開催予定だった九州大会だが、コロナ禍のため鹿児島開催に変更になった。大島もコロナ禍の影響で春の大会の後、夏の大会前に長期練習ができなくなるなど、様々な逆境はあったが、最後はコロナ禍さえも味方につけた形となった。奄美群島は長年の悲願だった世界自然遺産登録が今年7月に実現。その記念すべき年に大島野球部が大きな華を添えた。

(記事:政 純一郎)