トーナメント表
・沖縄大会の組み合わせ

 6月18日より第104回全国高校野球選手権沖縄大会が開幕する。7日に行われた抽選会で各校の初戦の相手は決まった。春の県大会を制した古豪・沖縄水産、ノーシードからスタートする名門・興南、そして2021年に続いて夏の甲子園出場の期待がかかる沖縄尚学らが注目される。

 昨年の夏の甲子園からメンバーがほぼ総入れ替えで今年の沖縄尚学は始まったが、昨年秋の県大会がベスト8、今春県大会では準優勝と優勝には手が届いていないが、経験者がほとんどいない状態から着実にチームの力を高め、夏に向けて仕上げてきた。

ノーノー達成者、元U-15投手のWエースに注目

沖縄尚学・吉山 太陽

 特に沖縄尚学の躍進を支えているのはエース・吉山 太陽投手(3年)だろう。準決勝・宮古戦でノーヒットノーランを達成した。170センチ、64キロの小柄な体をしなやかに使いながら、開きを抑えたフォームで、キレのあるスライダーなどを武器に打者を翻弄し、エースとしてチームをけん引した。

 毎年、好投手を輩出してきた沖縄尚学。2021年の夏の甲子園ではベンチに入っていなかった吉山が春の県大会で偉業を達成したことで、今年も高い投手力が健在であることを証明してみせた。夏の大会でも主力投手として、大車輪の活躍が期待される。

 同校OBで投手出身の比嘉監督も吉山に対しては「技術的にはまだまだですが、『安定してある程度やってくれるだろう』というのはあった」と安定感、そしてゲームメイク能力の高さには信頼を寄せている。

 「あとは他の投手で試合を作れるか。それができれば夏の大会も1人に頼らなくていいと思います」と投手層の底上げを連覇に向けてのキーポイントに挙げた。

 取材時も投手陣の指導に熱が入っていたが、特に時間を割いていたのは仲宗根 大斗投手(3年)だった。中学時代はU-15代表に選出されるなど実力は十分で、2021年の夏の甲子園では登板機会はなかったが、控え投手としてベンチ入り。吉山と比較すれば、早くから主力投手としてチームを支え、エースナンバーを背負っていてもおかしくない。

 控え投手という立ち位置ではあるものの、180センチ、75キロの恵まれた体格を生かした投球には威力があり、現在直球は140キロまで計測している。比嘉監督も仲宗根のポテンシャルの高さは評価している。その潜在能力を余すことなく最後の夏に発揮することができれば、吉山とともにWエースとして沖縄尚学の投手陣を引っ張ることは間違いない。

強肩強打の捕手に下級生スラッガーなど 夏連覇へのキーマン

沖縄尚学・前盛 魁来

 投手陣は吉山、仲宗根のWエースが投手陣の柱となるが、野手陣では主将で3番・捕手と、チームの屋台骨を担う前盛 魁来捕手(3年)が注目だろう。

 唯一、旧チームでスタメンで出場している。遠投99メートルを記録するという地肩の強さを生かした二塁送球は最速1.85秒をマークする。握り替え、フットワークも軽く、早くからスタメンマスクを任されるのもうなずける。

 打者としては取材時点で高校通算2本塁打と本数そのものは多くないが、木製バットでも広角へ長打を連発。力強く左足を踏み込んで地面の力を生かすことができているため、力強いスイングとなっている。強打の捕手として活躍が期待される。

 遊撃を守る金城 良輔内野手(3年)は、守備の中心を担う。遠投105mの強肩と軽い身のこなしが魅力。176センチ、70キロと体はまだまだ細身だが、野球センスの高さはチームでも頭一つ抜けており、華麗なプレーが光る。打撃では予めトップを作ったところから、無駄のないシャープなスイングで球を捉える。堅守巧打の内野手として夏はチームを支えることになりそうだ。

  前盛とともにチームを支える打者として、2年生ながら取材時はチーム最多4本塁打を記録する主砲の玉那覇 世生外野手が見逃せない。172センチ、78キロとがっちりとした体型から力強いスイングを見せる。滑らかなレベルスイングで球を捉えたところから左手で強く押し込むフォロースイングも大きいフォームが特徴的なスラッガー。春の県大会で2年生ながら4番を任されるのもうなずける。

 5番に座る川満 渚生内野手(2年)も取材時点で通算3本塁打を記録する強打者で、玉那覇と同じく中軸を早くから任されており、前盛とともにチームを支えるスラッガーとして期待される。

 総入れ替えでスタートした沖縄尚学だが、1年間かけて投打ともに逸材が揃ってきた。2021年に続く甲子園出場へ、今回紹介した選手のみならず、全員が台頭して来ればぐっと聖地に近づくはずだ。

(文=河嶋 宗一)