川口翔大朗(上尾)、山田翼(山村学園)、宮城誇南(浦和学院)、藤田大清(花咲徳栄)

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 今大会はセンバツベスト4、春季関東大会制覇、埼玉県公式戦25連勝中、5季連続の県大会制覇を狙う優勝候補の大本命・浦和学院を止める高校は果たして現れるのか。今年の埼玉大会は「STOP THE 浦和学院」。これがメインテーマとなる。

【浦和学院―浦和実】

宮城誇南(浦和学院)

 何といっても戦力的にAシード・浦和学院が圧倒的な存在。投手陣は、もはや説明不要の宮城 誇南投手(3年)、金田 優太内野手(3年)の左右両輪に秋季県大会や関東大会で浅田 康成投手(3年)、芳野 大輝投手(3年)が成長。この4本柱に、最速147キロ右腕・小田部 夏行投手(3年)も虎視眈々とその座を狙う。

 野手陣では伊丹 一博外野手(3年)、金田、鍋倉 和弘内野手(3年)、高山 維月捕手(3年)の2〜5番はどこからも1発が飛び出し、6番にはクラッチヒッターの八谷 晟歩内野手(3年)が控える。関東大会の桐蔭学園(神奈川)戦では9番・大内 碧真内野手(3年)も1発を放つなど打線に切れ目がない。さらに、1年生の三井 雄心内野手や、代打の切り札・三上 栞汰内野手(3年)なども出場の機会を狙う。

 唯一、不安要素を挙げるとすれば森大監督が夏監督として臨むのは初めてであることと、春季関東大会でやや守備が乱れた部分だが、大きな懸念点とは言えない。いずれにせよ、主力にアクシデントなどがない限りは死角はないと言って良いであろう。

 このブロックで立ちはだかるのは試合巧者Cシード・浦和実だ。2年生エース清田 光投手がゲームを作り、終盤には3年生の右サイド・佐々木 潤也投手が控える。打線は大物打ちこそいないが、機動力があり集中打が出てビッグイニングが作れる。

 同ブロックには他にもノーシードながら主砲・金子 永内野手(3年)、浅見 龍彦外野手(3年)、木村 優成内野手(3年)など、強力打線を武器に昨夏の浦和学院戦で好投した桶本 頼投手(3年)を擁する立教新座、2年生長身エース加藤 健太投手を擁する狭山ヶ丘も虎視眈々と浦和学院との挑戦権を狙う。他に、北部地区の実力校、共に打線が活発な本庄東、Dシード・早大本庄や、西部地区の山村国際、Dシード・春日部東も侮れない。









【花咲徳栄―市立川越】

藤田大清(花咲徳栄)

 浦和学院の対抗馬として挙がるのは永遠のライバル、Cシードの花咲徳栄。例年に比べプロ注目選手はいないが、藤田 大清外野手(3年)、前田 空内野手(3年)、山田 愼之介内野手(3年)、増田 空内野手(2年)、柴田 樹捕手(2年)など強力打線は健在。投手陣も昨夏を経験した最速145キロ右腕・金子 翔柾投手(3年)を擁するが、旧チームと比べ金子以降の投手陣がやや不安定である。2年生左腕・飯島 大聖投手、鈴木 羚也投手(3年)、左サイド・熊倉 柚投手(3年)など、他の投手の成長と守備力の向上が課題だろう。場合によっては投打に2年生の比率が増える可能性もある。

 花咲徳栄の初戦は投打の柱、左腕・林 雄介投手を中心に粘りのある武蔵越生が相手になる。その後は140キロ近い直球を投げる2年生右腕・木村 一輝投手と左サイド・五十嵐 航大投手(3年)を擁する正智深谷と、好左腕・小櫃 辰也投手(3年)を擁する北本の勝者との対戦する可能性が高い。

 さらに、このブロックでは昨秋ベスト8へ進出したプロ注目左腕・吉川 悠斗投手(3年)を擁する浦和麗明にも注目だ。ただし、浦和麗明は旧チームほど打線の爆発力がない。まずは秩父農工科の140キロ右腕・岸岡 翼投手(3年)との好投手対決を制し、勢いに乗りたいところだろう。主砲・田木 海晴内野手(3年)にも期待したい。

 同ブロックで最後に待ち構えるのはBシード・市立川越。順当に行くと花咲徳栄と準々決勝で対戦することとなる。春季大会では初戦で聖望学園を破り勢いに乗ると、その後も武南や浦和実との接戦を制し、ベスト4まで駆け上がった。左腕・関盛 宏投手(3年)、右腕・藤井 七生投手(3年)の2枚看板を武器に打線は畠山 敦志外野手、南 創太外野手、田島 翔大捕手など2年生に好素材が多い。

 ただし、同ブロックには長身左腕・伊藤 匠海投手(3年)を擁する昨秋ベスト8の川越東がいる。川越東は種田 太一外野手(3年)、神保 直希内野手(3年)、白水 大陸捕手(3年)を中心とした強力打線に、投手陣もエース伊藤の他に名取 由晃投手、津村 佳典投手の両2年生もおり枚数が揃っている。昨秋は直接対決で川越東に敗れているだけに、市立川越にとっては花咲徳栄戦の前にまず越えなければならない壁となる。

 その他、同ブロックでは南部地区の実力校・川口市立や、粘りが信条のDシード・星野も忘れてはいけない。








【山村学園―西武台】

山田翼(山村学園)

 昨夏のスタメンが多く残るAシード・山村学園。昨秋は守乱などがあって、地区予選で市立川越に敗退したこともあり、春季大会はノーシードでの出場となったが、川越東を破るとそこから勢いに乗っていった。準々決勝では優勝候補の花咲徳栄に対し、昨夏に続き勝利するなど決勝進出し浦和学院には敗れたもののAシードを獲得した。その後の関東大会でも勢いそのままに市立船橋や作新学院を破りベスト4まで進出した。

 山村学園は何といっても右サイドのエース・山田 翼投手(3年)が春季大会で一本立ちしたのが大きい。元々、中学時代は有名な選手ではなかったが、春季大会で濃密な経験を積んだことで化けた。ここに、昨夏の経験者佐藤 実倫投手(3年)、盲腸の影響で出遅れていた田中 翔太投手(3年)、1年生西川 歩投手と左3枚が加わる。さらに右が1枚加われば今年もマシンガン継投ができる陣容となる。

 また、昨夏の経験者の多い攻撃陣は関東大会でも2本塁打を放った坪井 蒼汰内野手(3年)、酒井 大輝外野手(3年)の3、4番を中心とし、勢いに乗ると手が付けられない。どこかでビッグイニングを作る印象が強く、ここぞの場面で畳み掛けてくるのが特徴だ。

 その前に立ちはだかるのが、プロ注目最速145キロ右腕・渡邊 新太投手(3年)を擁するCシード・西武台だ。単純な攻撃力、打線で見ると、おそらく山村学園より上であろう。リードオフマン金田 幸大内野手(2年)を筆頭に、青山 廣大内野手(3年)や内藤 暖稀外野手(3年)、杉本 誉士外野手(2年)、渡邊に春は故障で出遅れていた正捕手・一郷 瑠輝(3年)も戻ってくると強力布陣となる。他の選手の成長もあり昨秋までエースで4番の渡邊への攻撃面での負担が減った。

 課題は投手力か。夏は渡邊一人では勝てない。浦和学院戦で登板した福本や左サイドの松原 康介投手(3年)、岩崎 寛太投手(3年)らが、どれだけ夏の大会で長いイニングを投げ、渡邊への負担を軽減することができるかが鍵だ。

 その他同ブロックでは埼玉栄がやや目立つ。昨春から主戦で投げている倉林 優介投手(3年)に加え、高橋 碧生外野手(3年)、五関 玲大内野手(3年)を中心とした打撃陣も潜在能力が高い。ただし、このブロックにはDシード・東農大三、昨秋花咲徳栄戦で好投したエース松村 修斗投手(3年)を擁する川越工、エース服部 大我投手と主砲・畠中 雄崇外野手(2年)がチームを引っ張る所沢商や、慶應志木がおり予断は許さない。その他Dシード・市立浦和、叡明も虎視眈々と上位を伺う。








【狭山清陵―上尾】

川口翔大朗(上尾)

 このブロックは最激戦ブロックである。もちろん公立の雄、昨秋、今春と共に浦和学院に敗れたものの、きっちりベスト4まで進出したBシード・上尾が中心ではあるが、今大会は苦戦が予想される。というのも、同ブロックに昨夏準優勝校・昌平、昨夏ベスト4の春日部共栄、昨秋ベスト4の聖望学園と、常に上位シードに絡み優勝候補に必ず名前が挙がる3校が春季大会で早期敗退し、ことごとくこのブロックに集まってしまったからだ。特に春日部共栄が初戦突破すれば、2回戦屈指の好カードとなる「春日部共栄vs昌平」の一戦は今大会序盤最大の山であり、このブロックの行方を占う大きな一番となりそうだ。

 昌平は、一昨年秋からの登板経験がある投手陣、エース川島 新大投手(3年)、右サイド・吉川 優一朗投手(3年)、左腕・川久保 匠投手(3年)、最速143キロ右腕・渋谷 真宜投手(3年)と、ほぼ全員残っているのが大きな強みだ。野手陣はドラフト1位でプロ入りした吉野 創士外野手(現楽天)のような大物打ちはいないが、昨夏の経験者である小林 飛雄馬内野手(3年)を筆頭に大園 陽大外野手(3年)や佐藤 蓮捕手(3年)、赤川 薫外野手(3年)、今井 将太内野手(3年)など巧打者タイプが多く機動力も使えて守備も堅い。元々、新チーム結成当初は新人戦で花咲徳栄、春日部共栄を破り地区優勝したが、昨秋は県初戦敗退。今春は地区予選で不戦敗に終わっているだけに今大会に期するものがありそうだ。

 一方の春日部共栄は、昨夏ベスト4のスタメンが山口 叶翔内野手(3年)、吉村 颯外野手(3年)、島崎 凌空外野手(3年)など、野手が半数ほど残っている。だが、今年はエースが不在だ。最速130キロ後半の広瀬 凜人投手(3年)、左腕・橋本 輝太投手(3年)、長身右腕・田村 奨梧投手(3年)ら、枚数はそろっている。今大会をどの投手に任せるのかが課題だ。

 この勝者と順当に行くと4回戦で対戦するのがBシード上尾だ。今年の上尾は昨夏の経験もある右サイド川口 翔大朗投手(3年)が主戦。戸井田 陽投手(3年)、志田 伊吹投手(3年)などへ繋ぐ形となる。1年生左腕・飯島 恒投手なども今後が楽しみな存在だ。打線は持ち味である粘りはもちろんだが、中学時代から名の通った金丸 健司捕手(3年)、駿河 咲希也内野手(2年)の2人が柱となり長打を放てる。そこへ昨夏の経験のある石川 陽己外野手(3年)や中村 峰内野手(3年)などの存在が打線に厚みを持たせる。

 昨秋ベスト4の聖望学園は昨夏の登板経験もあるエース岡部 大輝投手(3年)の存在が大きい。投手陣は他にも左腕・東山 陽紀外野手(3年)や一昨年秋から主戦で登板していた北原 鷹門投手(3年)など頭数はいる。だが、計算ができる投手が現状は岡部のみだ。打線は例年通り強力で主砲・江口 生馬内野手(3年)や双木 琉斗外野手(3年)など、1発長打を放てる打者は多いだけに、岡部以降の投手をどのように最激戦ブロックの中で育てるかが上位進出への鍵となる。

 順当に行くと、4回戦で聖望学園との激突が想定されるのがDシード・大宮東。一昨年秋から主戦で登板している左3枚、清水 慶斗投手(3年)、髙橋 亮匡投手(3年)、吉田 昂生投手(3年)が残っている。打線も主砲・山岸 大悟捕手(3年)や菊谷 伶央外野手(3年)が中心となって強力だ。互角の試合が予想される。

 このブロックはこれでは終わらない。Cシード・狭山清陵には同タイプが多いが、完投能力のある右投手が5人いる。打線も強力で一昨年夏に4番を打っていた武内 優真内野手(3年)や見方 駿平捕手(2年)、井上 尚之内野手(2年)などは一発長打が打てるなど、とても県立高校とは思えない強力布陣である。他にも同ブロックにプロ注目、最速145キロ右腕・石橋 凪仁投手(3年)を擁するDシード・武南や、最速142キロ右腕・金井 颯太投手(3年)を擁する熊谷商なども上位進出は十分可能な存在である。

 今大会、浦和学院を破る高校は現れるのか。現状では浦和学院が圧倒的に有利な状況であるが、夏の大会は負けたら終わりの一発勝負。何が起きるかわからないのが高校野球だ。皆、筋書きのないドラマを期待して今大会も球場に足を運ぶことであろう。








(文=南 英博)