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大会の詳細・応援メッセージ
・第104回 全国高等学校野球選手権大会

 コロナ禍も3年目。最後の夏までコロナの影響を受けた3年生は、気の毒でならない。それでも3年ぶりに聖地・明治神宮野球場 をメイン球場として開催され、一部の球場を除き、ブラバンの応援も認められ、高校野球の日常がかなり戻ってきた。

離島の球児の力を示した都立八丈の健闘

マウンドに集まる都立八丈ナイン

 この夏から継続試合が導入されたが、都立紅葉川ー成城の一戦は、試合が2度中止になり、3日がかりで勝負がついた。参加校が多く、それでなくても複雑な東京の大会運営に、さらに複雑な要素が加わった感じだが、不公平感や、雨天コールドによる心残りをなくすという点で、継続試合の制度自体は良かったと思う。

 参加チームの減少傾向が続く中、品川翔英が新たに加わったことは、喜ばしいことだ。最初の試合は、明治神宮野球場 で行われた。聖地に立った石田寛監督は涙が出たという。初戦は上野学園に大敗したが、その情熱で、チームを大きく育ててほしい。

 この大会では都立勢の健闘が光った。中でも選手登録12人の都立八丈が、都立の実力校である都立小岩などを破り4回戦に進出したのは、驚きだった。コロナ禍で島外に出るのも容易でない中での成果だけに、価値のある快挙だ。3年生が抜けると、連合チームとなるのだろうが、伝統を受け継ぎ、また単独チームで戻ってきてほしい。

都立勢3校が準々決勝に進出

都立城東・峯岸 叶

 昨夏と同カードになった修徳と都立雪谷の試合はまたも好試合となり、修徳が勝った。その修徳に都立葛飾野が勝利したことも驚きだった。葛飾野は昨年中日にドラフト1位で入団したブライト 健太外野手の母校でもある。

 今年はベスト8に都立城東、都立小山台、都立文京の3校が残った。これは、都立雪谷、都立小山台、都立総合工科がベスト8に残った第91回大会以来13年ぶりで、現在の区割りになってからは初めてのことだ。文京は、夏は初のベスト8になる。岩倉などを破っての堂々の快挙だ。

 都立城東と都立小山台は秋、春の都大会でベスト16なので、ベスト8も順当なところ。それでも、城東が関東一を破ったのは、今大会最大のサプライズであった。丁寧で粘り強い投球をしたエースの峯岸 叶投手(3年)を、チーム全体で盛り立てた、「下町の野球小僧」たちが起こした快挙だった。

1、2年の選手の活躍が目立つ

帝京戦でソロ本塁打を放った二松学舎大附4番・片井 海斗(1年)

 全国的な傾向だが、東東京大会でも1、2年生の活躍が目立った。中でも二松学舎大附の1年生・片井 海斗内野手は、いきなり4番に抜擢され、準決勝の帝京戦で本塁打を放つなど、チームの優勝に貢献した。

 日体大荏原の1年生・吉田 健汰投手は、ナックルカーブなど駆使した緩急のある投球で、初先発の都立王子総合戦で完封勝利を挙げた。都立文京の1年生で上一色中出身の水野 燿喜投手は、岩倉戦で好リリーフをして、チームの勝利に貢献した。

 長身の篠崎 国忠投手(修徳)、中村 海斗投手(明大中野)に、高橋 蒼人投手(帝京)といった2年生は既に実績を挙げており、あと1年でドラフト候補に挙がってくるか、注目だ。

 二松学舎大附で投打二刀流の活躍をした大矢 青葉外野手と抑えの重川 創思投手や、関東一戦で本塁打を放った都立城東の藤森 晴久外野手、打撃のうまさをみせた日体大荏原の千葉 輝夏内野手、都立雪谷の大型投手・御園 拓摩らは2年生であり、この夏、光を放った球児たちが、さらに成長することを期待したい。

帝京・日体大荏原など名門校復活の兆し

準優勝の日体大荏原

 今大会の話題の一つが、日体大荏原の43年ぶりの決勝進出だ。日体大荏原は、第1回大会の予選の準優勝校であり、大正時代から強豪の地位にあるのは東京では早稲田実業と日体大荏原くらいであり、東京を代表する伝統校だ。近年は結果を残せず、忘れられた強豪という感じがあったが、小金井 凌生投手(3年)、石井 祥太投手(2年)といった投手陣を、しっかりとした守りで支え、手堅く得点する伝統校らしい野球で頂点にあと1歩と迫った。

 堀越も4年ぶりのベスト8。センバツで準優勝や準決勝に進出した過去に比べればまだ寂しいが、小田川雅彦監督の下で確実に力をつけている。

 そして金田優哉監督の下、新しい時代を迎えた帝京である。10年以上甲子園から遠ざかっているが、強力打線の破壊力は、甲子園に戻って来る日もそう遠くないと感じさせる力強さがあった。

 一方、関東一は投手力、打力、走塁、守備など、あらゆる面で東東京では抜き出ていた。しかしその分、接戦の経験が不足しており、同点の勝負でやや受け身に回ったのが惜しまれる。

3季連続甲子園出場を成し遂げたチーム作りの起承転結

胴上げされる小林幸男主将(二松学舎大附)

 二松学舎大附は昨年の夏、今年の春に続き、3季続けて甲子園出場を成し遂げた。昨夏の甲子園大会は雨で日程が延び、新チーム作りは大幅に遅れた。布施 東海投手(3年)、瀬谷 大夢外野手(3年)、親富祖 凪人外野手(3年)ら、夏のメンバーを中心に秋季都大会に臨み準優勝。本来夏休み中に行う連係プレーの練習は秋季大会後に行った。

 秋季大会のメンバーを中心に挑んだセンバツは初戦敗退。その後、コロナの感染もあり、春季大会出場も危ぶまれる状況であったが、何とか出場し、準優勝。この春季大会の時期は、センバツまでの「承」から「転」に移行する時期だった。関東大会出場をかけた準決勝の日大三戦を辻 大雅投手(3年)、重川のリレーで勝利した。そして関東大会では、片井のほか、岡部 雄大内野手、五十嵐 将斗内野手といった1年生をスタメン起用した。

 そして東東京大会では、準々決勝以後、布施は登板せず、秋の主軸であった大矢や主将の小林 幸男内野手(3年)はスタメンから外れている。秋からセンバツにかけての「起承」から完全に「転」になっている。

 チームが勝ち続けるためには、安心感が怖い。といって刺激を与え過ぎると疲弊することがある。ベテランの市原勝人監督は、そのあたりの差配が絶妙である。「結」となる甲子園では、東東京大会では目立たなかった秋の主力が、活躍するかもしれない。どんな形であれ、良い「結」を迎えることを期待したい。

(文=大島 裕史)