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 第104回全国高校野球選手権鹿児島大会は7月2日から24日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で熱戦が繰り広げられた。64チーム70校が出場し、鹿児島実が4年ぶり20度目となる夏の甲子園への切符を手にした。コロナ禍で過去2年間なかった開会式が3年ぶりに開催され、コロナが依然猛威を振るう中でも、ほぼ通常通りの夏が戻ってきた。何かと話題も満載だった今大会を振り返る。

 優勝した鹿児島実は10年ぶりとなるノーシードで大会に臨んだ。初戦で優勝候補の最右翼に挙げられたシード神村学園を延長戦で下し、勢いづいた。この1年間は昨秋2回戦敗退、今春準々決勝敗退、NHK旗1回戦敗退と結果を残せなかった。昨夏の決勝戦で登板した左腕・赤崎 智哉投手(3年)の故障が響いた。宮下 正一監督は夏だけを見据えて赤嵜の回復に万全を期した。その我慢が花開いた。

 準決勝では昨秋2回戦で苦杯をなめた鹿屋中央に雪辱して決勝進出。決勝は赤嵜と大島・大野 稼頭央投手(3年)、大会屈指の好左腕同士の見応えある投手戦となり、9回に追い上げられたものの1点差で競り勝ち、鹿児島を代表する名門の意地と勝負強さをみせた。チーム打率は3割に満たないが、中軸の永井 琳内野手(3年)、濵﨑 綜馬捕手(3年)らを中心に長打力があり、ここぞという場面の集中打が光る。甲子園での初戦は明秀日立(茨城)。くしくも今センバツで大島が敗れた相手。鹿児島勢の意地を見せるためにも奮起を期待したい。

 春夏連続の甲子園はかなわなかった大島だが、今大会を大いに盛り上げた。センバツ以降、春の九州大会、NHK旗と初戦敗退が続き、調子がなかなか上がらなかったが、最後の夏に昨秋鹿児島を制し、九州準優勝した粘り強さを取り戻した。準々決勝・出水中央戦では9回裏に2点差を逆転サヨナラ勝ち。決勝戦も9回2死まで0対3と劣勢だったが、そこから2点を返し「あわや」という試合をやってのけた。

 好投手・大野だけでなくチーム全体にまとまりがあり、離島のチームでもやれることを示したことは大きい。決勝戦は開場前から長蛇の列ができ、試合が始まっても球場に収容しきれず、6回から外野席を無料開放する異例の措置がとられた。鹿児島を代表する名門・鹿児島実と離島勢初の決勝進出を果たした大島。注目のカードを一目見ようと大勢の観客が鴨池に駆けつけ、歴史的な決勝戦となった。


鹿屋中央の選手たち

 ベスト4は鹿屋中央と国分中央。鹿屋中央もノーシードだったが鹿児島玉龍、鹿児島城西とシード校を倒して4強入りを勝ち取った。2年生左腕・郡山 一心投手の活躍が光り、打線は途中から4番に座った川井田 利気内野手(3年)がけん引した。3回戦では9回まで1対6のビハインドだった試合を一気にひっくり返して逆転サヨナラ勝ちした。準決勝・鹿児島実戦も終盤粘りをみせて延長戦に持ち込み、夏の強さを印象付けた。

 第4シード国分中央はシード校らしい安定した戦いぶりが光った。左腕エース安藤 奈々利投手(3年)を中心に守備が安定しており、打線も4強の中で一番の高打率を残すなど力強さを発揮した。準決勝・大島戦はコロナ感染でベストメンバーが組めずに点差がついたが、ベストメンバーで戦っていれば試合はもっと接戦になっていただろう。近年、夏に結果を残す国分中央だが、この1年間は昨秋ベスト4、今春準優勝、NHK旗ベスト8と年間を通して安定した強さを示した。

 8強では出水中央とれいめい、北薩のノーシード2校の健闘ぶりが光った。出水中央は2回戦で大隅の雄・尚志館に競り勝ち、3回戦では樟南の夏連覇を阻んだ。右腕エース坂口 颯翔投手(3年)が大黒柱で、準優勝・大島を終盤まで追い詰めた粘り強さは本物だった。れいめいは初戦でライバルのシード川内を下して勢いづいた。途中で主力選手のコロナ欠場という逆境もあったが、3回戦では鹿屋農と延長15回の死闘を演じて勝利するなど、精神的なたくましさを発揮した。

 これまで部内でコロナ感染が出れば、出場辞退となるケースが多かったが、今大会は該当選手のみを入れ替えるという措置がとられた。いくつかのチームで大会当日のメンバー変更がなされた。ベストメンバーが組めずに涙をのんだチームもあったが、これまでのような出場辞退ではなく、試合ができたことは、大きな前進といえるだろう。

 暑さ対策として、5回終了後のグラウンド整備以外にも3回、7回終了時点で給水タイムを設けた。途中、足がつるなどで選手が治療する際は全員をベンチに引き揚げさせて休憩をとるなどの工夫もなされていた。継続試合も導入され、今大会では大会2日目の2試合が継続試合となった。

 出口の見えないコロナ禍、暑さ対策、困難な課題が様々ある中でも、選手ファーストを考えた対応策がとられていたのが見えた点でも、有意義な大会だった。

(文=政 純一郎)