今年のドラフト戦線は、高校生ではここまで野手が優勢だった。

 これまで高校野球ドットコムで配信している期待度ランキングの1月、7月でも野手を1位にしてきたが、夏の甲子園大会で「野手の年」と確定した感がある。

ドラ1評価を確実とした浅野翔吾 驚異的な2ホーマーを振り返る

浅野 翔吾(高松商)

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 新年度の期待度ランキングで1位だった浅野 翔吾外野手(3年=高松商)。初戦の佐久長聖(長野)戦では規格外の本塁打2本を放った。3打席目の1本目は詰まりながらも右中間へ本塁打。本人も「感触はよくなくて、ライトフライだと思った」と手応えはなかった。しかし、右中間への本塁打の滞空時間は6秒ほどと滞空時間が長く、インパクトも強い本塁打が打てる点で本物としかいいようがない。逆に、2本目は7回表に左翼席へ弾丸ライナー。測ってみると4秒20ほどの高速打球だった。

 浅野は自分の打つポイントについてこう語る。

 「ホームランを狙いすぎると、力んで、バットが下からでてしまい、あまり良い当たりができないので、低い打球を打つために、やや軽く振る」と語るように、ホームランを狙わず、低い打球を打つことがこの結果につながっている。スイングを見てもレベルスイングとなっているが、強靭なフィジカルによって高速となり、並外れた飛距離を生んでいると思われる。

 注目される中で結果を残すのはかなり大変なこと。自分なりのポイントで結果を残したことは高く評価されるのも必然だろう。ドラ1評価という声も挙がっているが、これまで1位で指名されたスラッガーと比較しても負けていないので、それに値する選手ではないか。

大阪桐蔭の松尾&海老根のスラッガーコンビや、初戦で躍動した大型野手たち

松尾 汐恩(大阪桐蔭)

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 大阪桐蔭勢も頼もしい活躍を見せている。

 松尾 汐恩捕手(3年)は初戦で右前適時打を放った。旭川大高(北北海道)・池田 翔哉投手(3年)の絶妙なコーナーワークを生かした配球に対して強引な打撃をすると術中にはまるが、欲張らずにしっかりと右前安打を打ち返した松尾の打撃はポイントが高い。守っても調子が上がらない川原 嗣貴投手(3年)に発破をかけながら、相手の弱点をうまく突いたリードを心がけた。最少失点で切り抜け、捕手として、より凄みを見せた試合だったといえる。打撃に対する意識は高く、2回戦以降は本塁打も期待できるのではないか。

 また、海老根 優大外野手(3年)も最後の夏となるこの甲子園で、本塁打を放った。海老根は脚力を生かした外野守備、走塁、圧倒的な強肩、詰まっても本塁打にできる強靭なパワーなどは、すでにドラフト指名レベル。公式戦でコンスタントに結果を残せるかが鍵だった。苦しい試合でチームを救う本塁打を打てたことは、かなりポイントが高い。2回戦では聖望学園(埼玉)と対戦。エース・岡部 大輝投手(3年)はコーナーワークを存分に生かした好投手で、海老根にとっては苦手なタイプ。そういう投手を打ち崩せば、評価はさらにプラスされる。

 天理の大型遊撃手・戸井 零士内野手(3年)は、好投手を擁する山梨学院相手に3安打をマークした。内角速球、外角速球に対して立ち遅れせずに、インサイドアウトのスイングで球を捉え、高速打球で広角に打ち返す打撃技術の高さは見事だった。貴重な大型遊撃手タイプだけに、守備面でもアピールをしてもらいたい。

 市立船橋(千葉)の片野 優羽捕手(3年)も興南(沖縄)戦でホームランを放った。千葉大会序盤はタイミングがうまく取れず凡退した打席が続き、「うまくタイミングが取れなかったことが反省点です。しっかりと修正していきたいと思います」とコメントしていたが、準決勝以降からは修正した跡が見えていた。そして甲子園でホームラン。抜群の強肩を披露しており、スケール抜群の大型捕手として評価されるのではないか。

 スラッガー揃いの明秀日立(茨城)の中で、個人的にドラフト候補として推したいのが、佐藤 光成外野手(3年)。1歩目が速い外野守備に、強肩、抜群の脚力、長打力と、今年の外野手ではトップレベルの逸材だ。

 鶴岡東の土屋 奏人捕手(3年)も無駄のないスイングで、大会第1号&2号を放った。打撃技術はハイレベルで、注目の逸材だ。聖光学院(福島)の山浅 龍之介捕手(3年)もパンチ力のある打撃に加え、守っても抜群のスローイング、安定したキャッチング、投手の持ち味を引き出す好リードも光った。

 大型野手たちが躍動している今年の夏の甲子園。今後の試合でも、多くの選手たちが躍動することを期待したい

(文=河嶋 宗一)