2019年度の広陵のエース・河野 佳。下半身主導の投球フォームから投じる直球は、常時140キロ〜145キロで最速148キロ。130キロ前後のカットボール。1つ1つのボールが超高校級の逸材である。来年、西 純矢とともに中国地区を代表する右腕となりそうな河野について迫っていきたい。

球種を限定して、強いストレートを投げることにこだわった

河野佳(広陵)

 強いストレートと低めの制球力。

 河野が2年生になってからテーマにしてきたことだ。入学当時の最速は135キロ弱。だが、ストレートの球速がなかなか伸びなかった。そこで中井監督からアドバイスされたことは球種を限定することだった。
 「中井先生からストレート、スライダーだけにしろと。ストレートを磨くことにこだわりました」

 今までスライダー2種類、ツーシーム、フォークを投げていたが、投げるのはスライダーのみ。変化球投手を辞めて、強いストレートを投げることにこだわったのだ。すると、夏の甲子園では145キロを計測。確かな成長が見えた。そして、新チームになって低めの制球力にこだわるようになった。

 「夏までは先輩の森悠佑さんの速球を見て、自分もより速球を投げたい気持ちになりましたが、中井先生から言われて、低めの制球力を大事するようになりました」

 低めの制球力を磨くための練習法として、普段の投球練習では、打者を立たせてひざ元に投げていき、さらにしっかりとしたストレートが投げられているか、捕手にボールの回転、軌道を聞きながら修正を図った。そして投球フォームで意識していたことは軸足の使い方だ。

 「軸足側の股関節にしっかりとためて、うまく体重を乗せて体重移動に入ると、低めに投げることができるので、その感覚を大事にしています」
 日頃の投球練習の成果が実り、低めへ投げられる精度が増し、安定感あるピッチングができるようになった河野。チームを県大会優勝に導き、中国大会の鳥取商戦では最速148キロを計測。準決勝の創志学園戦では西との投げ合いを制し、完封勝利。中国大会優勝を決め、神宮大会の舞台に乗り込んだ。

 神宮大会ではリリーフでの待機。先発ではない悔しさはあったが、出番を待った。すると4回表に登場した河野は2失点したものの、低めへ常時140キロ〜145キロ前後の速球を投げ込んだ。

 ただストライクコールがあまり宣告されず、「まだ低めへの伸びが足りないのかな」と悔やんだ。また投げ合った奥川 恭伸(星稜)の投球を見て、「速球、変化球もすごい投手」と刺激を受けたことは貴重な経験だ。

 冬へ向けての課題はもちろん「低めへの制球力」だ。
 「自分は野村佑輔さんとはタイプは違うと思いますが、野村さんは低めへの制球力はすごかった投手でしたので、そういうところは見習ってと思います」

 これから迎える冬の鍛錬を乗り越え、2003年選抜以来の優勝を狙えるエースへ成長して見せる。

取材=河嶋 宗一