現地時間の12月18日のキューバ代表の第2戦。強力なキューバ代表相手に7.2回を投げて、自責点0の快投を見せたのが細野 晴希投手(東亜学園)だ。細身の体系から最速139キロのストレートとキレのあるスライダーをコンビネーションに、キューバ代表を手玉に取るピッチングは代表首脳陣だけではなく、高野連関係者からも称賛が相次いだ。そんな細野の快投を振り返りつつ、細野の絶対的な武器になりつつある一塁けん制の秘密についても探った。

相手打線の傾向に応じたピッチング

第2戦で好投を見せた細野 晴希(東亜学園)

 まさに窮地を救うピッチングだった。2回表から登板した細野は4点目を献上する二塁打(記録上は自責点0)を打たれるものの、そこからピッチングを切り替えた。細野といえば、手足が長く、脱力した投球フォームから繰り出すストレートが持ち味だ。夏から5〜10キロ速くなり、常時130キロ中盤の速球は回転数が高く、キューバ打線を押し込むピッチングを見せる。それでも細野は「体が開いていて思うように腕が振れなかった」と、日本にいたときのようにストレートだけでは簡単に通用しないと察知し、変化球中心のピッチングを展開。

 自信のある130キロ前後のカットボール、120キロ中盤のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、スプリットを低めに集めていった。7.2回を投げて、自責点0に抑えたが、キューバ打線の対応力の高さを実感していた。
 「カットボールは最初通用していたんですけど、自分の中では甘くないカットボールをバックスクリーンのフェンス際まで飛ばされたのは非常に驚きました」
 それでも最後まで自分のピッチングを貫いた。前田監督は「細野君はコントロールが良いし、低めに変化球が集まったのが良かったですね」と投球内容を評価していた。

走者2人も刺した高いけん制技術!その秘密は?
細野 晴希(東亜学園)

 また、細野を語るうえで外せないのが一塁けん制である。「けん制には自信があります」と語るように、この日は2つもけん制で刺した。
 「個人としてはより多くの打者と対戦したい気持ちがありました。これはチームにいたときからいわれることで、いずれけん制で勝負できない世界がやってくるといわれているので、多くの打者と勝負したい。ただミーティングでも絶対に勝利したいと確かめ合ったので、勝つためにけん制で刺しました」
 とはいっても簡単にけん制で刺せるものではない。なぜそんなに一塁けん制が得意なのか?それは監督として東亜学園を名門校に育て上げた上田助監督の指導があった。

 「上田先生から走者は走りたいと思うと力みが出る。それは動作になって現れるからベンチからずっと観察してみろと」

 細野はできるだけベンチから一塁走者を観察するようになった。見続けていくうちに上田助監督の言葉の意味が理解できた。

 「確かに一塁走者は走りたいと思うと、動作に表れているんです。走らないときと比べてもその違いはすごい表れていました。上級者になるとなかなか動作に出ないですけど、キューバの走者はあかさらまに走る気持ちが見えて、動きとしてはっきり出るので、日本の時よりも楽でした」

 これまで盗塁ができるプロ野球選手をインタビューさせていただいたり、編集作業を担当したりすると、投手の癖を盗むために、観察法を工夫していたことを明かしていたが、実は投手も一塁走者の走り方の癖を研究していたのだ。高校生ではなかなかない気づきを2年夏に得られた細野は、けん制に絶対的な自信を持つようになった。

 過去に細野のスピードアップの背景を話をしたが、けん制の話を聞いてわかることは繊細な感覚を持った投手であることだ。キューバ入りしてからバットを使って、軽くシャドーピッチングしている姿があった。
 「あれは腕が外回りしたときに、それを修正するためにやっています。バットだと内回りをしないと回せないじゃないですか」

 ちなみに自チームでは普通のバットより小さいバットでシャドーピッチングを行うようだ。また、体の開きを抑えるために半身になったキャッチボールを行ったり、練習から工夫している細野。そういったことの積み重ねがキューバ打線を抑えるまでの投手へ成長させたのだ。

 ただ悔やむべきは9回表の失点。味方の失策とはいえ、細野は「自分の悪い癖である最後まで投げきれないこと。それは東亜学園にいたときから指摘されているのですが、練習の時も最後までやりきれていないからだと。今日はそれが出てしまいました」と気持ちのスタミナを課題に挙げていた。
 自分を大きく成長させてくれた東亜学園。そんなチームのためにキューバ遠征では「いろんな選手から多くものを学んで、それを持ち帰っていきたいです」と還元していく姿勢だ。

 この秋、都大会ベスト4入りし、都内でも屈指の左腕へ成長した細野。このキューバ遠征は細野をさらに成長させる材料が多く揃っている。

文=河嶋 宗一


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