2019年4月、中学軟式野球界を超えて日本野球界に驚きをもたらした15歳右腕が、いよいよ高校野球の世界に足跡を刻む。高知中に春夏中学野球連覇をもたらし、自らも日本中学野球史上初となる最速150キロをマークした森木 大智(もりき・だいち)がその人だ。
 すでに高知高校への内部進学を決め、11月25日(日)に行われた同校の紅白戦初登板で早くも最速141キロをマークするなど着々と高校野球への準備を順調に整えている森木。その紅白戦直後に、全国中学校野球大会後に考えていることや高校での意気込みを聴いた。

高校入学までは「試す時期」

高知高校の紅白戦に登板した森木大智(高知中)

―― 高知高校の紅白戦初出場はマウンドでは3回被安打1無四球4奪三振で1失点(最速141キロ)。打撃は2打数1安打。遊撃手での守備機会もありました。これまでも練習には参加していたと思いますが、改めて硬球で試合をやってみて気づいたことはありましたか?

森木 大智(以下、森木) まず守備ではノックを含めて打球が速いので、一歩目のスタートが大事になることを感じましたし、バッティングも軟式であれば詰まっても遅れても大丈夫な部分も硬式の場合はなるべく前の方で叩かないといけない。ポイントが後ろなのはボールを最後まで見れていいことだと思うんですが、そこは捉えた時に強く叩かなくてはいけないということを感じます。課題が見つかりました。
 投げる方はストレートのシュート回転がものすごく多かった。もうちょっと(リリースを)前で離せるように、前に出して強くボールを弾くことと、バランスなどをしっかりやりたいです。

―― 紅白戦ではピッチングでボールが抜ける場面も多かったですね。やはりブルペンでしっかり投げられていても、マウンドでの感覚は誓うものですか?

森木 そうですね。試合感覚はブルペンとは違うものがありますが、実際に試合となれば投げ続けなければいけないですから、イニング間にキャッチボールをするなどして肩を温めておかないといけないことを感じました。ボールを離す感覚を忘れない意味でも「ボールにずっと触っておく」ことをやっていくのが大事だと思います。

―― 硬式球にも秋口から触れてはいると思いますが、そこはもう慣れましたか?

森木 大きさなどはもう慣れましたが、あとはボールの回転を縦回転にできるように、力を抜いてからリリースの時に弾くことに取り組みたいです。自分の持ち味であるカーブも横に曲がる形になっているので、いかに「ドロップ系」にしていくか。そこをやっていきたいです。

―― ブルペンや紅白戦でもランナーがいなくてもクイックで投げたり、リリースの位置を変えたり……。いろいろと試していますね。

森木 はい。今の時期はいろいろと試す時期だと思うので、自分でも硬式ボールで合う投げ方を探している状態です。

―― バッティングについても少し聞かせてください。紅白戦、2打席目に三塁線を破った二塁打は、詰まった遊ゴロに終わった1打席目からの修正が見られた一打でした。

森木 先輩方と話をした時「ちょっと(スイングが)遅れている」と言われましたし、次の打席まで考える時間もあったので「ポイントを後ろにしてファウルにしかできないのなら、前で手首を使って強く叩こう」と思いました。タイミングを早く取っていったことが成果として出ました。

―― 練習で常にバットを持ち歩いているのも、スイングを刷り込ませたい意識があるのですか?

森木 バッティングは高校で力を入れたいと思っているんですが「それならば人一倍やらないとダメだろう」と。練習や試合をやった後などに「ここはこうだった」と思い返しながら、少しでも空いた時間にスイングができるようにバットを持ち歩いています。

―― 紅白戦の前にはメデシンボール投げ(14メートル)、三段跳び(8メートル)なども行って、冬から春に取り組むことの体力的指針もおぼろげながら見えてきたと思います。

森木 軟式球から硬式球になることによって全てのことが「重く」なるので、今は184センチ81キロなんですが体幹を鍛えて筋肉量も一気に上げると負担がかかるので、少しずつ増やしていきたいです。レッドコードとか、思っていることに対応できるトレーニングもあるので、積極的に取り組んでいきたいです。

静岡・伊豆の地から「高校野球」を意識して

ブルペンでピッチングを行う森木大智(高知中)

―― 変化球もブルペンではいろいろと投げていましたね。あれも今は試して、高校までに集約したいイメージを持って取り組んでいるのですか?

森木 軟式球で投げていたボールは一通り投げています。その中で硬式球で出る軌道を見ながら「どのような意図をもって、どのボールを投げるか」を考えています。硬式球で投げられるボールを探して、いいものは伸ばし、ダメなものは集約していく感じです。

―― 「高校野球」の雰囲気はまだ紅白戦とはいえ、感じるところはありましたか?

森木 最初に言った、打球が速いことにより簡単に点が入る場合があるので、ランナーが出ると一瞬で流れが変わることを感じました。自分がマウンドで失点した2回も先頭打者にレフト前ヒットを打たれて、そこから相手の思惑通りに送りバントを決められて(暴投で)失点しました。ここを簡単にやらせないように、相手が嫌がることを自分がしていきたいです。

―― そのベースには高知県選抜の一員として硬式球により近いM号球で全国と対戦し、ベスト4に入った「第18回全国中学生都道府県対抗野球大会in伊豆」(9月22日(土)〜26日(水)・静岡県開催)の経験があると思います。

森木 高知中のチームからは引退していたので、なかなか満足な練習はできませんでしたし、自分の思い通りにはいきませんでした。でも、大会中はスタッフの方と話をしてバッティングに軸足を置いた形で試合に出場させて頂いた中、いい投手とも対戦できましたし、いい経験ができました。

―― そこが先ほど話があった「どのようにボールを捉えるか」にもつながっているわけですね。

森木 M号球とはいえ、芯で捉えないとボールが飛んでいかったので、なるべく芯で捉えるようにしました。

―― ちなみに秋の四国大会とかはTVなどでは見たのですか?

森木 高知高の試合はたまたま練習と重なってしまって見ることができなかったんですが、他の学校の試合はTVで見ました。まだ、走塁面は秋ということもあって未完成な部分もありましたが、そこは夏に向かって上がってくると思うので、自分たちの守備が大事になってくることを感じました。それを夏は自分が表現しないといけないと思います。

 前編はここまで。後編では、高校野球に向けての意気込みや具体的な目標についても迫っていきます。後編もどうぞお楽しみに。

文=寺下 友徳