昨年は3年連続の二けた勝利となる13勝をあげ、福岡ソフトバンクホークスの2年連続日本一に大きく貢献。今季もエース格としての活躍が期待される千賀 滉大投手。2017年、侍ジャパンの一員としてWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の大舞台で奮闘した姿は、今でも私たちの記憶に強く残っている。

 今回のインタビューでは、力強いストレートやお化けフォークを投げ切る原動力となっている「足下」に特化し、前後編に渡って千賀投手に高校球児へのアドバイス含めて語ってもらった。前編ではWBCの裏側で起こっていたスパイクの奮闘を中心に普段は見逃されがち「投手のスパイク」に対する考え方について、千賀投手の流儀が明かされる。

高校時代「全く気にしなかった」スパイクが…

コウノエベルトスパイクと共に2019年シーズンに臨む千賀滉大投手(福岡ソフトバンクホークス)

―― 今回、千賀投手に伺うテーマは「投手のスパイクについて」ですが、まずは高校時代から投手に転向した当時、自分の中でスパイクに対する考えはありましたか?

千賀 滉大投手(以下、千賀) 「ナッシング」でした。スパイクはちゃんと履けて、投げる時に支障がなければ特に何でもいいと思っていました。

―― そこから2011年のプロ入り後、投手スパイクの重要性に気付いたと思います。たとえば、プレートを使って投げる時、スパイクで蹴れるかどうかとか。

千賀 今、僕はスパイクにベルトが付いている「コウノエベルトスパイク」を使っていますが、これを始めようと思ったきっかけが1つあるんです。実はこのスパイクを使うまで僕は足首にベルトを巻いていたんですが、(2015年に)先発に転向したらベルトのところで血が止まって足首がしびれる状態が続いていたんです。
 中継ぎをしていた時は登板前にベルトを締めて投げた後に外せばよかったんですが、先発だと長い時間締めていなければいけないので、ベルトを使うのをやめようと思っていたんです。そこに「スパイクにベルトを付ける」という発想が出てきたので、履くようになりました。
 僕は投げるときに足首を固めたいので、そこを感じられるようになるのがいい部分ですし、継続して使うようになった理由です。

―― 「足首を固める」というのは、これも説明が難しい感覚かもしれませんが、もう少し詳しくお話頂いていいですか?

千賀 たとえばこの「コウノエベルトスパイク」の場合、ベルトを巻いていた時ほどではないしにしてもベルトが付いていることで足首とかかとで骨を感じることができるんです。それによってマウンドでも地面をつかむ感覚を持つことができる。ベルトも僕にとってはフィット感を得るための1つのツールです。

―― その中でベルトがいかに締まるか。

千賀 「ベルトが締まる」という感覚は僕にとっては異なる感覚ですね。ベルト感があると逆にフィットはしないと思うし、「ベルトは付いているけどフィットしている」。これが伝わっているから自分は使っているんです。「フィットしているけど、そういやベルトが付いていたな」。こういう表現になりますね。

―― プレートをつかむ感覚にも影響はありますか?

千賀 僕はプレートはつかんでいないんです。プレートの横に足を置いて投げているんですが、それでも地面はすごく感じることができます。「地面に立っている。踏んでいる」感覚は普段の生活ではなかなか感じられない感覚だと思いますが、それを投球の中で知ることができますね。

―― 「地面を押さえつけて、ポンと投げる」感覚に近いですか?

千賀 そこまで意識しなくても、この「コウノエベルトスパイク」ならば脚を使っていることを意識できると思います。普通ならばそこまで考えませんが。立ったときの姿勢もすごくよくなりましたし、地面も感じられるようになりましたし、ベルトを使うまではなかった感覚です。

「地面を感じる」中で下したWBCでの決断

コウノエベルトスパイクの良さを力説する千賀滉大投手(福岡ソフトバンクホークス)

―― それともう1つ、今はNPBもマウンドがMLB仕様で固くなっていますがいますが、マウンド状況に対応する上でも「コウノエベルトスパイク」は役に立っていますか?

千賀 地面を把握する上でもいいスパイクだと思います。高校生の場合はほぼ柔らかいグラウンドに対してスパイクを扱うことになると思いますが、そこにもベルトがあることによって合わせられると思います。理想は「コウノエベルトスパイク」に足首ベルトが加わった形。そうすれば、もっと細かく地面を感じられると思います。

―― 1つ例をあげると2017年のWBCの場合、日本のマウンドとアメリカMLB仕様のマウンドには違いはありましたか?

千賀 全然違いました。アメリカは全くスパイクの歯が刺さらないんです。歯が入っていかず、単に地面に足を乗せて投げているだけ。実際には少しだけ歯が刺さっていましたけど、「浮いて投げている」イメージ。それくらい固かったです。

―― 「足首を固める」というのは、これも説明が難しい感覚かもしれませんが、もう少し詳しくお話頂いていいですか?

千賀 たとえばこの「コウノエベルトスパイク」の場合、ベルトを巻いていた時ほどではないしにしてもベルトが付いていることで足首とかかとで骨を感じることができるんです。それによってマウンドでも地面をつかむ感覚を持つことができる。ベルトも僕にとってはフィット感を得るための1つのツールです。

―― その時はどういった対応をしたんですか?

千賀 デサントの方にその場でスパイクの歯を長めに変えてもらいました。あの時は本当に固くて難しかったですが、歯のところ以外はスパイクについてはスムーズに使えましたね。

 前編はここまで。後編では今季から本格導入する「コウノエベルトスパイク」の特長と、高校球児へのメッセージを千賀投手自身から語って頂きます。

文=寺下 友徳