東海大菅生が誇るスラッガー・杉崎 成。昨秋の時点で1年生ながら高校通算20本塁打を誇る。若林監督は「取り組む姿勢の良さ、精神的な強さでいえば、小山 翔暉、成瀬 脩人の2人より上。学校生活の評判も良いですよ」と絶賛する。そんな杉崎が毎日行っている日課が黒板消しだ。
 杉崎は「入学した時、指導者の方々から学校生活や私生活の取り組みが野球や勝負強さにつながると聞いて、実践をしています」

 すべてはプロや強豪大学でプレーするため。野球も、学校生活も自分の目標に向かって真面目に取り組む若林監督は「勝負強いですし、志が違います」と評価する。そんな実直さが垣間見える杉崎の成長の軌跡に迫る。

落合博満の理論に出会い、中学通算27本塁打を記録

笑顔でポーズをとる杉崎成

 杉崎の野球人生の始まりは小学校1年生から始まった。小学校の時のポジションは一塁手。最初は東海JBCに所属していたが、チームの休部に伴い、小学校5年生に中小田井ジュニアベースボールクラブへ移籍する。

 そして中学に進み、兄・杉崎蒼太(東邦)の影響で、愛知西シニアに入部する。まだ入部当初は長打力自体はなく、コンタクトバッターだと振り返る杉崎。中学2年生になり、飛距離が伸び始め、本塁打を打てるようになったが、きっかけとなったのは平日にバッティングスクールを通うようになったことがきっかけだ。

 「近くに硬式球を打てるバッティングセンターがなかったんです。バッティングスクールでは硬式球を打てる練習ができますし、そこでは木製バットを使って練習をし続けたら、飛ぶようになりました」

 木製バットを使う中で参考にしたのは落合博満氏の打撃理論だ。
 「打球に回転をかける意識でやっています。落合さんがバラエティー番組で教えているところがあったんですけど、それを参考にしました」

 その理論を習得したのは中学3年。これまで17本塁打を放っていたが、中学3年になってから10本を放ち、中学3年間で27本塁打を放った。そして2017年夏の甲子園で4強まで勝ち進んだ東海大菅生の戦いぶりに憧れ、東海大菅生への入学を決めた杉崎。



身振り手振りを交えてインタビューに答える杉崎成

 入学当初、東海大菅生のレベルの高さ、練習量の多さに痛感した杉崎。首脳陣からの評価は非常に高く、春季大会後の練習試合の上田西戦ではすぐに4番に抜擢される。

「驚きでした。片山 昂星さん(青山学院大)もいるのに、僕が4番を打つとは思いませんでした」

 先輩たちも驚きの抜擢だったが、さらに驚かせる活躍を見せる。なんとこの試合で本塁打と二塁打を打ってしまう。ど派手なデビューに先輩たちも「すごいな」と褒められた。

 杉崎は片山を目標にして取り組んできた。その中で参考にしたのが片山が自主練習で取り組んでいたティーバッティング。

 「片山さんは後ろからボールを投げてもらって打つティー、ワンバウンドで打つティーなどいろいろな種類のティーバッティングを行っていました。定期的にやるわけではないですが、調子が悪い時に調整をするために行うようになりました」

 杉崎はAチームの試合でも打ち続け、夏の公式戦では5番を任される。デビュー戦となった都立東村山西戦ではコールドを決める右中間を破る二塁打を放つ。

 この場面について
 「結果を残そうと無我夢中だったので覚えていないです」と振り返る杉崎。さらに5回戦の都立八王子北戦で試合を決める2ランを放つ。

「1年夏の大会でホームランを放ちたいと思っていたので良かったです」

 デビューした夏は上々の内容となった。

得点圏打率10割を目指して

昨秋の国士舘との決勝戦での杉崎成

 見事に目標を達成した杉崎はこの夏の活躍で秋では4番打者を任される。秋にテーマにしていたことは勝負強さ。

「夏までの打撃は確実性を欠いていたのでチャンスで1本 得点圏打率を意識して行っていました」

秋季大会では22打数9安打、4打点の活躍を見せたが、杉崎自身、打点の数には満足していない。
 「調子が悪かったですし、チャンスで1本を打つことができなかった。4番打者として納得できるパフォーマンスではなかったです」と厳しく自己評価をした。

 さらなるパワーアップを目指して、冬場はパワー系のトレーニングに取り組んできた。今ではベンチプレス110キロ、スクワット160キロを持ち上げるようになった。トレーニングの成果はスイングスピードとなって表れている。



杉崎成のスイングスピードは驚異の143.6キロをマークしていた!

 ミズノ社の計測アプリ「スイングトレーサー」では143.6キロと、高校生としてハイレベルな数値。さらにヘッド角度は−22.7°と出ており、杉崎はボールの下側を捉え、高速スイングとウエイトトレーニングで培った頑強な肉体によって打球を遠くへ飛ばすことができている。

 一冬超えて今年最初の練習試合となった暁星国際戦では同点に持ち込む適時打が飛び出すなど勝負強さは見せ、そして公式戦に入っても2回戦の八王子戦では先制の2点適時打、さらに4回戦の二松学舎大附戦では特大の本塁打を放ち、順調に成長を見せている。

  最後に今後の意気込みを語ってもらった。

 「4番打者を打たせてもらっているので、得点圏打率は10割を目指し、しっかりと打点を挙げられる打者になり、最終的には高校通算70本塁打を達成したいです」

 これまで物事に対し、実直に取り組み、成果となって表れている杉崎の志の強さを見れば、高校通算70本塁打も夢の数字ではない。

文=河嶋 宗一