今年の高校生スラッガーでトップレベルの実力を持ったのが杉崎 成(東海大菅生)だ。2年秋までかさねた本塁打は48本。高校通算53本塁打の西川に迫る数字である。そんな杉崎の決意に迫った。

大学生のクリーンナップに負けない打撃を見せる高校2年生

杉崎成(東海大菅生)

 衝撃的だった。
 2月下旬の東海大菅生の打撃練習。選手たちを見ると、木製バットを使って練習をしている。東海大菅生は次のステージに備えて、木製バットで練習をするが、そう簡単に飛ばせるわけではない。

 だが、杉崎は違った。マシンから放たれる変化球、ストレートを次々とミートして、鋭い金属音を響かせてライナー性の打球を外野奥深くへ飛ばしていく。角度がつけばスタンドインしてしまう。そして外角球をおっつけて、ライト方向へスタンドインさせた打撃は驚きだった。

 まさにモノの違いを感じさせる打撃だが、チームメイトに訊いても、打撃練習では連日、木製バットで、さく越えを記録しているという。

 東海大菅生取材の後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、高校野球部の取材ができず、大学野球の取材に行く機会は多かった。改めて杉崎の打撃を振り返ると、スイングスピード、打球速度、飛距離は大学生のクリーンナップに負けていないものがあった。打撃練習の内容、高校通算本塁打の多さを見れば、高校トップクラスのスラッガーと評してもおかしくない。

 そんな杉崎の2年を振り返ると、満足いくものではなかった。昨春の都大会準々決勝・日大三戦で二打席連続弾。7打点の活躍を見せた。この試合を機に大きく注目を集めた杉崎だが、「できすぎな結果で、なぜ打てたかわからないんです。それが分かるまでに理解できれば、もっと打てると思うんです。去年は公式戦で全然打てなかったです」

 甲子園を狙った2年夏では思うような活躍はできず、自分たちの代となった2年秋の都大会は11打数2安打2打点に終わり、悔しい結果に終わった。「本当に悔しかったですし、自分の実力がないことに気づきました」
 そして冬場ではもう一度、打撃フォームを見直すために、木製バットで練習をするが、最初から金属バットのように飛ばせるわけではない。試行錯誤をしながら、微調整をする日々が続いた。


木製バットでも本塁打を打てるようになった理想的な打撃ポイント

打撃練習中の杉崎成(東海大菅生)

 そして2月、ようやく理想の打撃のポイントが見つかる。

「打つポイントはあまり変わっていません。ただバットと体の位置を近づけて、腕に力の入る位置でインパクトをさせることを心掛けました。とても良い感覚で捉えることができています」
 この打撃ポイントをつかむことができたのは、スイングスピードを測る機会があり、そこで自分の打撃ポイントを可視化できて、修正できる機会があったことだ。

「良いポイントのスイングではないと速いスイングスピードが出ないので、そこを求めていった結果、つかむことができました」

 このように自分から試しながら修正して、進化できる杉崎のクレバーさがうかがえる。その姿勢について、元プロの若林弘泰監督も高く評価している。
「彼は現状に満足せずやっているので、全く心配はしていません。ヘッドスピードはかなり速くなってきましたね」

 また過去の教え子の中でもかなり高い評価をしている。

「私が過去に教えてきた選手の中でも3本の指に入る選手だと思います。打撃練習では勝俣翔貴(オリックス)、片山昂星(青山学院大)に匹敵するものはあります。彼らは木製バットでも遠くへ飛ばしていました。ただ勝俣は柔らかさと土壇場でも力を発揮できる勝負強さがあり片山については勝俣以上の飛距離がありました。

 杉崎は良いものを持っていますが、まだ大事なところで結果を残せているのかというと疑問視がつくところがあるので、公式戦で結果を残せるメンタルが欲しいと思っています」

 公式戦で結果を残せていない。それは杉崎も「一番の課題」だととらえている。
「公式戦になると飛ばそうという気持ちが無意識に出てしまい、体が開き、結果を残せない試合が続きました。打撃練習では右中間に長打性の打球を打てた時は自分にとっても良い感覚だったので、それを継続していきたいです」

そして今年の公式戦に向けてこう意気込んでいた。
「練習試合を合わせた通算本塁打ではなく、公式戦で本塁打を打てる選手になりたいです。一大会は3本塁打が目標です」

 春の都大会は中止になってしまったが、夏の大会の開催が実現すれば、今までの練習の成果を発揮していきたい。その時、多くの高校野球ファンを驚かせる打撃を見せてくれるはずだ。 

(記事=河嶋 宗一)



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