早真之介とともに今年のドラフト候補として注目を集めている釣寿生。高校通算25本塁打のパワフルな打撃と二塁送球1.85秒の強肩を武器にしている。

 2年春にレギュラーを掴む前から小牧憲継監督が2020年のドラフト候補に推薦していた逸材がついにその才能を開花させようとしている。今回はプロ入りを目指す釣にこれまでの取り組みについて伺った。

素材型捕手・釣の覚醒の鍵はスローイングだった

釣寿生(京都国際)

 兵庫県姫路市出身の釣は小学2年生の時に飾磨インパルスで野球を始めた。当時から周囲よりも体格が大きく、肩が強かったため、野球を始めた当初からずっと捕手をやってきたという。中学では飾磨インパルスの先輩の父親が監督をしていた姫路西リトルシニアに所属。チームでは目立った結果を残せなかったが、4番捕手として活躍を見せていた。

 そんな釣を熱心に見ていたのが京都国際でスカウトを担当している岩淵雄太コーチだった。岩淵コーチから1年生から全体練習ができると聞いた釣は「しっかりアピールできるかなと思って選びました」と進学を決断。親元を離れて高校野球生活をスタートさせた。

 入学時から将来の中心選手として期待されていたが、「最初はずっと緊張していて、先輩に話しかけられても上手く返せなかった」と気後れしていた面があった。同期の早と森下結翔が1年夏からレギュラーを勝ち取った一方で1年生の間はレギュラーになれなかった。

 小牧監督は入学当初からプロを狙える選手であると認識していたが、「素材型なので、我慢しないといけないと思っていました」と即戦力としては捉えていなかった。2年生から正捕手として活躍できるために、1年生の間に捕手として必要なスキルを小牧監督は叩き込んできた。

 特に力を入れてきたのがスローイングだ。「中学生の時はスローイングが全然まとまっていなかった」と以前は苦手意識を感じていたが、ネットスローを行うことによってそれを克服。地肩には以前から定評があったが、ステップを工夫することによって、安定したスローイングを身に付けた。

自粛期間を経て、捕手として覚醒する

釣寿生(京都国際)

 そして、満を持して2年春に正捕手の座を獲得。「最初は緊張していた」と話すが、公式戦に慣れるに従って、徐々に実力を発揮する。先輩投手である酒井 海央(現日体大)と生駒 拓也(現京都先端科学大)を懸命にリードし、学校として始めて京都の頂点に立った。「嬉しい気持ちがありましたし、近畿大会にも出られたのは大きかったと思います」と昨春は自身を掴む大会となった。

 夏は決勝戦でサヨナラ負けを喫し、秋に巻き返しを誓ったが、準々決勝で敗退。「自分の代でセンバツ狙っていましたが、全然ダメな結果に終わってしまって、先輩にも申し訳なかったですし、自分にも腹が立ちました。取り組みが甘かったのかなと思います」と悔やんだ。

 秋の悔しさを晴らすべく、「助けてくれる先輩もいなくて自分でやらないといけないと自覚していたので、誰よりも努力しようと考えていました」と冬場は懸命に努力を重ねた。春にはパワーアップした姿を見せるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、春季大会は中止。最後の夏に全てを懸けることになった。

 4月に緊急事態宣言が出されてから5月24日までは全体練習ができず、実家に帰ることになった。近所のバッティングセンターも閉鎖されていて、思うような練習はできなかったが、「動画見たり、考えたりする時間があったので、キャッチャーとして一皮むけたのは感じましたね」と小牧監督が話すように大きく成長する期間にできた。特にスローイングは3月に就任した青山友紀コーチの指導を取り入れ、創意工夫を重ねてきたという。その中でも意識して取り組んでいたのが足の運び方だ。

 「スローイングの足の運びを相手打者の左右で変えています。右バッターだったらノーステップで投げ、左バッターではステップしやすいので、ステップして投げています。今は右バッターの時にノーステップでいかに早く投げられるかを考えて練習しています」

 自粛期間に家で地道に足運びのトレーニングを行ったことで、二塁送球のタイムが大幅に改善。これまで2秒前後かかっていたのが、現在は1.85秒まで短縮された。昨年と比べても動きが俊敏に見え、より捕手らしくなった印象を受ける。現在の姿を多くの人に見てもらえれば、評価はさらに上がることだろう。

(記事=馬場 遼)


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