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控え選手中心の中学時代からプロ注目の大型捕手へ。田所宗大(いなべ総合)の着実な成長ステップ【前編】

打撃フォームの研究を怠らず、才能開花

田所 宗大

 高校1年生までは捕手に専念するために下位打線を打っていたが、尾崎監督が中学時代から田所の潜在能力を高く評価しているようにポテンシャルはあった。ただそれを活かす技術がまだ備わっていなかった。そこで参考にしたのが、山田 哲人(履正社-東京ヤクルト)だった。
「坂本 勇人さんの映像なども見ていたんですけど、タイミングのとり方、スイング軌道など感覚的なところが自分と共通したところがあって、参考にしながら素振りをしていきました」

 すると次々と打球が飛んでいく。高校2年春には5番を打つまでに成長し、本塁打も、高校1年まで2本塁打だったが、2年春から秋まで20本以上を放ち、高校通算30本塁打に達した。尾崎監督が目をかけていた打撃の才能が開花しはじめていたのだ。そして捕手としてもチームメイトからの評価も高く、エースの伊東は
「やはり安心感があります。どんな球でも捕球してくれますし、出たとしても、盗塁されたとしても刺してくれるので、安心して投げられます」と全幅の信頼を置く。そして主将としてもチームをまとめ、チームの大黒柱として成長をしていた。

 ただ田所自身、課題として考えたいたのが本塁打を伸ばし続けていた打撃だった。本人曰く、調子自体は良くなく、思い通りの結果は残せなかった。そこで冬の練習ではロングティーを多めにしてタイミングのとり方を変えたり、打撃フォームの修正を行った。
「自分は打つ時に前かがみになる癖がありました。そのため軸足にしっかりと体重を乗せて、打つことを心がけました」

 また映像を見直して、自分がなぜそのコースが打てないのか。そのコースが打てないのはスイング軌道、身体の使い方、タイミングのとり方に問題がないのかを1つずつチェックし、あるときは動画を撮ってもらいながら、修正を測っていった。このような地道な修正作業により、少しずつ感覚を掴んでいった。

どんな相手が来ても独自大会優勝を目指す

田所 宗大 

 また新型コロナウイルス感染拡大の影響で、公式戦の中止だけではなく学校が休校になっても前向きに練習に取り組んだ。素振りをしたり、フォームチェック。尾崎監督から「焦らずに基礎練習は怠るな」とスローイングの練習でステップワークの確認を行ってきた。

 守備の基礎を見直したことにより、対外試合が再開した6月では守備面で難なくプレーができたと手応えを実感している。

 

 課題の打撃については「やはり実戦が空いたばかりですので、しっかりと今後の練習試合で感覚を取り戻していきたい」と本番へ向けて調整をしている。

 また練習試合ではエースの伊東とともにプロのスカウトから注目を受ける存在となっている。そのことについて、「注目されることはとてもありがたいことです。ただ進路については非常に迷っています。子供のときから夢だったプロ野球を高校から目指すのか、そしてその確率を高めるために大学で腕を磨くのか。それはしっかりと考えていきたいと思っています」と結論はまだ出ないが、まずは三重の独自大会で優勝することを目指し、そこから考えたいと考えている。

 尾崎監督は田所の成長についてこう語る。
「負けん気が強い選手で、この3年間で徐々に成長してきたという感じです。彼の良さは運動能力が高く、なんでも卒なくこなせるところだと思います」
 小学校に取り組んだレスリングによって培われた運動能力が今、野球に生きているのだろう。

 中学時代は控え選手だった志高く取り組んで今では三重県屈指の捕手へ成長した。初戦の相手は東海大会出場の津商と対戦する。
 いきなり田所の真価が問われる試合となりそうだが、それを乗り越え、選手として一段階上のステージへ到達する。

(取材=河嶋 宗一)

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