激戦区・東部地区を勝ち抜き、メットライフドームに勝ち進んだ昌平。準決勝では浦和学院との死闘を制して決勝へ進んだが、狭山ヶ丘に前に2対5で敗戦。惜しくも準優勝に終わったが、4季連続ベスト8の成績も踏まえ、埼玉に新時代の幕開けを予感させる戦いだった。

 先輩たちの悔しさを晴らすべく、2年生スラッガー・吉野 創士は攻守で牽引する存在となるだろう。

 埼玉大会ではホームラン1本を含む打率.409、打点5、長打率.682と課題だった対応力が向上し、唯一、2年生のベンチ入り選手として、勝利に貢献した。高校通算26本塁打(取材時点)を積み重ねた次世代のスラッガーに迫った。

下半身主導の打撃フォーム習得を目指して

吉野創士(昌平)

 1年生の春から試合に抜擢されて来た吉野。1年間高校野球のステージで戦い続け、見つかった課題はタイミングの取り方をはじめとした下半身の使い方だった。

 「タイミングの取り方はテーマにしていました。ですが他にも下半身のブレであったり、手打ちになることも多かったです。特にホームランにできない時は手打ちになってしまうことが多かったんです。だから、それらを改善できるようにしました」

 その上でいかに上半身を連動させるのか。吉野の課題はそこにあった。この課題を克服すべく、吉野が取り組んだのはブルペン入りだった。

 「とにかくブルペンに入って、タイミングを合わせる練習をしました。タイミングを合わせて素振りをして、そこでタイミングをとってからバッティング練習をするようにしました」

 加えてスクワットをはじめとしたウエイトトレーニングに取り組み、下半身を強化してきた。「100キロちょっとだったのですが、今は130、140キロくらいでトレーニングが出来るようになりました」と吉野は成長を感じていた。

 その成長は打球の伸びにも還元され、吉野のバッティングは確実に向上してきた。そしてもう1つの課題。手打ちの改善として吉野が大事にしたのは股関節の使い方だ。

 「とにかく股関節から動かしていくようにしました。軸足にためたものを回転させて、左の股関節に送り出す。その回転に連動して腕が遅れて動き出すような感じです」

 阪神のルーキー・井上 広大、さらに広島の主砲・鈴木 誠也のバッティングフォームの動画をスロー再生で自身のフォームと重ね合わせて研究した。

前川、徳丸には負けない打撃を!

吉野創士(昌平)

 確実にレベルアップをし、吉野の中でも手ごたえを感じていた中で、新型コロナウイルスの影響で練習自粛。全体練習ができない日々を過ごすこととなった。

 吉野は「下半身がなまっていました」ということで、ジムが開いている期間は再びスクワットを中心に下半身を強化。加えてランニングをするなど、身体の切れを維持することを大事に練習に取り組んできた。

 こうして6月から徐々にチームは練習を再開。吉野も下半身を鍛え続けたことで、自身でもわかる成長し、一冬を通じて磨いてきた技術の成果も「打球も伸びています」と確実に感じていた。

 ただ、体重維持に努めてきたことで、少しばかり減量してしまったとのこと。また身長185センチ75キロという体格の吉野だが、「体重が軽い」と感じていることを考え、右手の押し込みにも新たに意識を持つようになった。

 「自粛明けから意識をするようにしました。体重が軽いですし、右方向に打ちたいときは押し込むことを利用して打つようにしていきました」

 自分の打撃の課題と修正方法など、吉野と話をしていて気づくのは頭の良さだ。そこに関しては黒坂洋介監督も感じていることだった。 「吉野は癖を理解していますし、研究熱心なのでフォームを良く変えるんです。野球に対する考え方、特に打撃フォームに関する研究は熱心です。よりよいものを目指して変化していくので、まだまだ伸びしろがあって、楽しみです」

 吉野をはじめ、2003年世代は投打ともに実力者が揃っている。吉野も全国の同世代の活躍は意識している。

「前川 右京、徳丸 天晴にはホームラン数も技術でも負けたくないです。ただ身体の使い方をはじめ、未熟だと思っています」

 目指すは高校通算45本塁打。

 今回のインタビューを通じて打撃への探求心の高さが強く印象に残った。最後の1年間も試行錯誤を続けていくだろうが、これからの成長が楽しみでしかない。夏準優勝の悔しさをバネに秋に躍進することを楽しみにしたい。

(取材=田中 裕毅)


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