そこに「使命と意思」はあったのか

公式戦初登板で6回無失点の明徳義塾・新地智也(2年)

 「球速は120キロ台だが初速と終速との差が2〜3キロしかない」(馬淵 史郎監督)左腕・新地 智也(2年・左投左打・176センチ71キロ・ヤング岡山メッツ出身)は先発6回で81球1四球4奪三振無失点。

 打線も1番に復帰した古澤 怜大(3年・中堅手・171センチ76キロ・右投右打・横浜市立岡野中出身)をはじめ5人がマルチヒットをマークして6回裏一死までに10安打10得点。明徳義塾が圧倒的強さを発揮したことについては異論の余地がない。ただ、それらを差し引いたとしても四国大会準決勝にふさわしくないスコアとなった要因の多くは松山聖陵の側にあった。

 根本 大蓮(3年主将・188センチ84キロ・右投右打・松山市立拓南中出身)は、3回3分の2・68球5失点で降板した四学大香川西戦のリベンジを期待され再び先発マウンドを託されるも2回で打者9人に対し36球で被安打2・1四球・盗塁も2つ許す乱調ぶり。

 失点こそ「1」に留まったが「『3回までは頑張れ』と言っていたが『これは話にならない』と思った」と中本 恭平監督が「根本を育てる大会」から軌道修正しエース主将の交代を決意した時点で、彼らは試合の流れを失ってしまった。

 それに呼応するように松山聖陵打線も4回表一死まで無安打。唯一の見せ場は0対4の5回表二死から四学大香川西戦大逆転の立役者だった7番・本永 大(3年・左翼手・173センチ88キロ・左投左打・浦添市立浦添中<沖縄>出身)、8番・後藤 響(3年・遊撃手・167センチ59キロ・右投右打・松山市立雄新中出身)の連打で作った二死一・三塁のみ。

 「1失点で済めばいいものを複数失点してしまう。そうさせてしまうのが明徳義塾の野球」と馬淵監督のおい。かつ自身が明徳義塾OBでもある中本監督・敗戦の弁そのままの展開だった。

 ただ、ここであえて苦言を呈すれば、松山聖陵はセンバツ出場四国地区3代表校の一員として、かつ夏の第101回全国高等学校野球選手権愛媛大会トップシードも決定している中、当人たちが望まなくても2019年・愛媛県高校野球の牽引車たる「使命」が課せられる立場にある。

 さらに接戦を演じれば相手の対応も変化するはず。しかも相手は明徳義塾。未知の領域を学ぶ機会は必ず訪れたはず。その「意思」を明確に示せぬまま86分を終えてしまったことは大いに反省してほしい。

 この春季四国大会を通じ、勝敗云々以前に他3県とのレベル差が露になった愛媛県高校野球。一朝一夕にその差は詰められないとはいえ、向上への「使命」を感じ「意思」を示すことは、今からでもできるはずだ。

(文=寺下 友徳)