最終回に待っていたメイクドラマ!「逆転の鳴門」夏の徳島県大会3連覇!

3年連続夏の徳島県大会を制し抱き合う鳴門・藤中壮太(3年・投手)・原田力輝(3年・捕手)バッテリー

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 5回までの主導権を握ったのは完全に鳴門。「ストレスがたまっている。スカッとしてほしい」

 チーム打率試合前の囲み会見で森脇 稔監督が苦笑いしながらチーム打率.259の打線に出した要望に初回二死一塁から4番・岡崎 凛(2年・一塁手・右投右打・173センチ80キロ・小松島市立南中出身)が右中間を深々と破る先制三塁打を放つと、3回表にも二死二塁から5番・原田 力輝(3年・捕手・176センチ79キロ・右投左打・徳島東リトルシニア)の適時打、5回表には2番・岸本 拓也(2年・二塁手・168センチ66キロ・右投右打・上板町立上板中出身)が左翼ポール上部にぶつける大会第8号ソロアーチで3点をリード。

 投げても準々決勝・鳴門渦潮戦と準決勝・生光学園戦で「ボールのキレを増すことを意識して練習してきた」最速143キロのストレートと多彩な変化球を駆使し2試合連続完封を果たした右腕・藤中 壮太(3年・右投右打・169センチ71キロ・三好市立三好中出身)が、5回までわずか54球で3安打無四球無失点とこの日も持ち味を存分に発揮した。

 「鳴門・盤石の3連覇か?」しかし、そんなムードは6回裏から一変する。徳島商は一死から3番・栗林 凌生(2年・中堅手・176センチ68キロ・右投右打・徳島市川内中出身)が死球で出塁すると、4連打を含む怒涛の6単打を集中させ5得点。特に5番の代打・米澤 知希(2年・内野手・左投左打・176センチ77キロ・阿南市立阿南中出身)と6番・楠本 凌生(3年・一塁手・174センチ71キロ・右投右打・板野町立板野中出身)とによる連続適時打は、二死満塁から9番・松原 翔瑛(2年・遊撃手・右投右打・徳島市加茂名中出身)による右前逆転2点打につなげるムードを完全に作った。

 こうして鮮やかな逆転を飾った徳島商は続く7回裏にも三塁コーチャーから代走・左翼手に入っていた6番・宮崎 拓海(3年・右投右打・176センチ73キロ・板野町立板野中出身)の左中間二塁打と楠本の適時打で6対3。「3年間の想いを出してくれた」と主将の髙岡 宏聖(3年・右翼手・右投左打・165センチ64キロ・徳島市立富田中出身)も感動する一打で、今度は徳島商が11年ぶりに夏の徳島県を制したかと思われた。

 しかし、野球の神様は最終回にメイクドラマを用意していた。「最後まであきらめず鳴門の野球をする」を誓い合った彼らは9回表一死一・二塁から1番・主将の田口 史樹(3年・遊撃手・右投左打・徳島東リトルシニア出身)の右前打で1点を返すと、続く岸本が右中間を破る二塁打で同点。さらに敵失で勝ち越すと、最後は再びマウンドに立った藤中が3人締め。終わってみれば伝統の「逆転の鳴門」を発揮した王者が、徳島県夏の大会3連覇を達成した。

 かくして過去10年間を振り返っても3本の指に入る激闘となった決勝戦、高いレベルの攻防戦が展開された準決勝・鳴門vs生光学園戦など、甲子園をかけた闘いにも勝るとも劣らない試合を積み重ねて幕を閉じた「徳島県高等学校優勝野球大会」。最大の目標を失っても、なおも前を向こうとする高校球児たちの姿勢は、新型コロナウイルス感染拡大により「とくしまアラート」が鳴り響く状況にある徳島県民にとっても、闘いに打ち克つ推進力にきっとなるはずだ。

(取材=寺下 友徳)