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東洋大姫路・森、磨き続けた回転数の高い直球で智辯学園打線を完封

先発・森健人(東洋大姫路)

 東洋大姫路は、長年指揮をとってきた藤田監督が3月末で退任予定。有終の美を飾ろうと選手が奮起し、兵庫大会を勝ち抜き、近畿大会まで駒を進めた。

 智辯学園は前チームから選手を総入れ替えし県大会優勝を果たすも、選手、小阪監督共々まだ力がないチームと見ているが、それでも総合力は同世代の中でも高いものがある。

 そんな一戦は1点を争う勝負となった。

 智辯学園のエース・大坪 廉は決して上背はないのだが、ワインドアップからバランスよく上げていき、滑らかな体重移動で、投げ込む姿は正統派右腕と形容したくなる投手だ。大坪の丁寧な投球の前になかなか東洋大姫路打線は捉えることができない。

 常時130キロ〜133キロ程度だが、両サイドへのコントロールは安定しており、スライダー、カーブ、チェンジアップを丁寧に、さらにテンポ良く組み立てることができる。見ていて心地よい投手だ。村上 頌樹タイプという声があるが、将来的にはそんな投手となりそうだ。

 一方、東洋大姫路のエース・森 健人は東洋大姫路の投手らしく、テークバックを大きくとって、トップを作って、上体を鋭く振り下ろす投球フォーム。大坪は無駄を削ぎ落とした安定したフォームだが、森は躍動感のある投球フォームで対照的だ。

 ストレートは常時130キロ〜135キロ程度。スピンがかかった高回転のストレートを投げ込み、120キロ前半のスライダーを中心に投げ分け、ゲームメイクする。基本的に直球主体なのだが、際どいソーンに強いボールを投げ込むので、智辯学園は詰まらされる事が多い。

 森は詰まらせる投球を得意としている。
「際どいコースに投げる制球力、そして威力あるボールを投げることは自信にしていて、今日はそれができました」

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先発・大坪廉(智辯学園)

 その投球を実現できるためにこだわってきたのが、回転数が高いストレートを投げること。実際に測定するわけではないが、森の感覚としてスピンがかかったストレートを投げられればと考えている。投球の際にこだわっているのが、強く叩いたリリースをすること。遠投や指を鍛えるトレーニングを行って、土台を築いていた。そのストレートを思い通りに投げることができており、智辯学園打線を封じていた。

 打線は2番・千代 凱登がストレートを打って、適時二塁打で1点を先制。さらに8回表、一死一、三塁から4番實川 新太が二塁打を放ち、貴重な1点を追加する。

 森は最後までコントロールが衰えることなく、智辯学園を6安打完封に抑え、勝利。準々決勝進出を決めた。藤田監督は「森に尽きます。うちは打てるチームではないですし、ここまで打撃に力を入れて練習をしてきましたが、どうしても近畿大会はこういう試合になりますので、森が良く投げて、よく守り、またバントも決まった試合でした」とエースの好投、守備、犠打の成功ぶりを称えた。次は大阪桐蔭との試合。引き続き、森は強気の投球で封じることができるか注目だ。

 完封負けの智辯学園は当面、打力強化が課題となるだろう。レベルが高い投手と対戦すると、決定打が出ない。決してタレント力が低いわけではないので、腰を据えて強化できる期間がやってきたといえる。守備、投手力も悪くないので、驚くような成長を見せれば、来年夏も甲子園を狙えるチームになるはずだ。

(取材=河嶋 宗一)


校歌を歌う東洋大姫路ナイン
試合スコア
勝利の瞬間