佐々木麟太郎、4打数無安打。チームも強打が沈黙。夏に復活なるか?

3番ファースト・佐々木 麟太郎(花巻東)

<春季東北地区高校野球大会:東北3−1花巻東>◇9日◇準々決勝◇県営あづま

 今年の花巻東(岩手)は高校通算69本塁打の佐々木 麟太郎内野手(2年)を中心とした破壊力抜群の攻撃力が持ち味である。昨秋は東北大会で優勝して、明治神宮大会ベスト4に入った。今センバツでは初戦敗退を喫したが、春季県大会4試合で46得点と高い得点力を誇る。

 しかし東北大会初戦で、わずか2安打1得点に終わった。その1得点もバッテリーミスから奪ったもので、適時打はなかった。完敗といっていい内容だった。

 佐々木は4打数0安打。明らかに調子を落としており、ヒッチが大きく、全体的に始動が遅めで、130キロ台の直球でも差し込まれていた。今まで見た佐々木の中で一番悪く見えた。

 佐々木は「完全に実力不足です。チームを勝たせる打撃をすることを心がけているのに、全くできなかった」と肩を落とす。特に6回裏のチャンスの場面で三振したことを一番悔やんでいた。

 東北の投手陣は確かに良い投手ではあるものの、好調時の花巻東打線ならば打ち崩してもおかしくない。主将の田代 旭捕手(3年)は「本当にフライばかりを打ち上げてしまって、この試合についてうちの良いところはまったくない」と振り返る。

 フライアウトは12個。昨秋の公式戦で見せた鋭いライナー性の打球が次々と飛び出し、軽快な走塁で得点を重ねていく様子とはまるで別人だ。
 田代主将は「当時は1人1人が自分の役割を理解していて、振り回して長打を狙うのは佐々木だけでいいぐらい。あとは自分の役割に徹することができていました。
 今日の試合は、ただ打ち上げるだけで何もできなかった。県大会、練習試合で打てていたので、どこか甘さがあったかもしれません。このままでは本当に行けないと思っています」と危機感を露わにしていた。

 自分の持ち味を発揮できずに完封負けに近い敗れ方だった。この負けをきっかけに秋に見せたしつこさと佐々木の強打がかみ合った野球の復活を目指す。

東北、エースで4番が投打で躍動 花巻東を下しベスト4

リリーフで活躍する伊藤 千浩選手

<春季東北地区高校野球大会:東北3−1花巻東>◇9日◇準々決勝◇県営あづま

 東北(宮城)vs花巻東(岩手)の一戦は東北が終盤に逆転して勝利を収めた。逆転した打撃に目がいきがちだが、実は東北の守備力の高さが一番の勝因だったといえる。

 この試合は両チームともに無失策だったが、東北の捕手、内野外野ともに動きともに良く、終盤まで緊張感のある動きができていた。この点について富澤監督は、「県大会決勝で中盤で一気に点を取られてしまいました。東北大会では最後まで粘り切る戦いをしようと。東北大会に出場するチームはどこも力があるので、どんな相手にも互角以上の勝負をしないと、夏では戦えないと。そのために普段の私生活などをしっかりと行う必要があるとも話しました。選手たちはそのことを自覚して、取り組みができていましたし、県大会よりも間違いなくレベルアップしています」

 鍛えられた守備陣の動きは、宮城大会決勝で仙台育英に1対8で敗れたチームとは思えなかった。投げては先発の小倉 勝貴投手(3年)が130キロ前半の速球を高低に投げ分け、5回1失点の力投を演じた。

 6回途中からは左翼手としてスタメン出場していた4番伊藤 一浩投手(3年)が登板。188センチの大型右腕で、真上から振り下ろす直球は常時130キロ中盤〜後半ぐらいだが、角度があり、打者は打ちにくそうにしていた。6回のピンチでは佐々木 麟太郎内野手(2年)から三振を奪うなど、ターニングポイントの場面で実力を発揮。スライダー、フォーク、チェンジアップの精度も高く、まとまりがあった。

 伊藤は「かなり打てる打線なので、特に佐々木選手については自分の持てる力をすべて発揮して、勝負していきました」。攻める気持ちがあったからこそ、130キロ台でも次々と詰まらせることができた。9回までの4回で無安打、3奪三振、無失点に抑えてみせた。

 さらに打者としても非凡な面を披露した。高校通算18本塁打のスラッガーとしても注目される伊藤は、初回から安打、5回には同点に追いついた後にチャンスを広げる左中間を破る二塁打、そして8回表には貴重な左前適時打と猛打賞をマークして存在感を示した。この体格なのだが、対応力が高い。

 「変化球がよい投手が多いので、かわしてくれるのは想定していました。変化球やストレートと低めに来ましたが、しっかりと合わせることができました」

 低めの球にも体が突っ込まず、しっかりと球を待ってレベルスイングで打ち返していた。投手としても最速142キロを誇る強肩を持つだけに有望選手といえる。

 「花巻東は非常に強い相手なので、こういう勝ち方ができるのは自信となります」と振り返った伊藤。投打の軸がしっかりと仕事を行い、勝利をモノにした。東北ナインはさらに進化しそうだ。

(記事:河嶋 宗一)