東邦がしっかり打ち返す打撃で享栄を、まさかのコールドで下して決勝進出

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<第104回全国高校野球選手権愛知大会:東邦9−2享栄>◇28日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンド

 今春の県大会優勝校の東邦と、昨秋の県大会優勝校の享栄との一騎打ちとなった準決勝。この勝者が、昨年夏の愛知大会優勝校で、2連覇を狙う愛工大名電に挑むという形になった。まさに、激戦愛知大会で、現状の勢力構図が、そのまま頂点へ向けて勝ち残ってきているというところでもあった。

 享栄の先発は、昨秋の県大会はエースとして大活躍して優勝に導いた左腕・藤本 逸希投手(3年)。その後、東海大会前に腰を傷めて調子を崩していた。それでも、春先から徐々に復活してきて調子も上がってきているということで、夏に照準を合わすことができてここまできた。この大会の享栄は、2年生左腕の東松 快征投手が背番号1を背負ったが、藤本と両左腕がチームを引っ張ってきていた。

 東邦も投手陣は層が厚く、この日は経験値も高く前チームから内野手をしたり、マウンドに立っていたりして、今大会では1番をつけた三浦 心空投手(3年)が先発。その後には、全国的にも注目を集めている逸材の2年生・宮國 凌空投手が控えるという形でスタートした。

 ただ、お互いに攻撃力も高いので、4、5点をめぐる戦いになるのではないかと思われた。

 享栄は初回、先頭の西田 翔哉外野手(3年)が中前打するも、送りバント失敗。その後に4番吉田 遥哉内野手(3年)の安打が出るなどで一、三塁になるという、少しちぐはぐさがあった。東邦も、2番中村 騎士内野手(2年)が中前打したが得点には至らず。そんな試合の立ち上がりだったが2回、享栄は6番関 颯太捕手(3年)が左中間へ二塁打すると、四球もあって2死一、三塁となったところで、1番西田が左前打して先制。さらに、二盗後、山本 絃登内野手(3年)も中前へはじき返して、享栄としてはいい形での先制点となった。

 これで試合が動き出す。3回には東邦が三浦が左前打するとわずかな野手のスキを突いて二塁まで進み、バントで1死三塁となって内野ゴロで生還。1点を返す。

 この1点は、享栄にとっては展開上は「やってもいい1点」だったかもしれないが、失策がなければ「やらなくてもいい1点」でもあったということにもなる。そして、そうした1点の機微が、その後の試合展開にも影響していくことになっていく。

 4回の東邦は1死から4番城(たち) 幸佑外野手(3年)の内野安打と網代 琉聖外野手(3年)の左前打に四球で1死満塁。ここで、享栄の大藤敏行監督は思い切って藤本を下げて、東松を投入することとなった。ところが、東松は真辺 麗生内野手(2年)に対してフルカウントから三振を獲りに行った球が内側に外れてボールの判定で押し出し。同点となる。さらに、1死満塁で三浦は初球スクイズで逆転。このあたりは、東邦・山田祐輔監督の巧みな采配判断でもあった。

 享栄バッテリーとしては、「まさか、初球スクイズとは…」というところもあったであろう。

 逆転した東邦は、5回にも1死二塁から加藤、城の連打で1点を追加する。こうして、試合の流れは徐々に東邦に傾いていく。その背景には、3回から、三浦がそれまで直球中心の配球だったのを切り替えて変化球主体としていったことで、享栄打線を上手にかわして行ったことも大きかった。
結局、享栄打線は3回以降は無安打で、三浦を攻略しきれなかった。

 逆に東邦打線は、長打を狙うのではなく、コンパクトなスイングでバチン、バチンと捉えて行って、単打を重ねていく形だった。それに、享栄には守りのミスも出てしまい、それも致命傷となった。

 7回には1死から死球後、城の左前打に、併殺を急いだ内野陣が乱れ、落合 智哉捕手(3年)の左前打で野手がファンブルする間に生還。さらに3人目となった安藤 瑠騎飛投手(3年)からも、真辺がバチンと一、二塁間を破る安打で満塁とすると、三浦の一打は中越え三塁打となり走者が一掃されてこの回5点目が入る。こうして、試合開始前には予想だにしなかったまさかの東邦のコールドゲーム勝ちとなってしまった。

 東邦の山田監督は、「本当に、出来過ぎですね。大振りしないでコンパクトに振っていこうというように、やって行こうとしていたことを皆がきちんとやれていて、結果につながったことが嬉しい」と、素直に喜びを表していた。そして、勝因としては、「相手としては、間違いなくいい投手なので、こちらも守りに入らないで攻めて行って、積極的に行ったことがで、しっかり点を獲れたこと」を挙げていた。先発して完投した三浦投手に関しては、「今日は100点をあげていいでしょう」と称えていた。

 享栄の大藤監督は、「安打12本と5本、エラーが4つのウチと1つの東邦。その差がそのまま得点差になった。3回から、明らかに配球を変えてきたところを対応しきれずに、同じように打って行こうとしていて、それが3回以降のノーヒットにもなってしまった。そんなところを徹底できんかったのは、監督がいかんということです」と、肩を落としていた。そして、「野球は難しいね。なかなか思うようにはならん」と、この夏も長く閉ざされている享栄の甲子園への扉を開けきれなかったことを残念がっていた。

 これで、夏の愛知大会決勝は、春季県大会と同じカードということになった。それだけ、今年の愛知県では両校の戦力が安定しているということの証でもあろう。

(取材=手束 仁)