奇襲スクイズの松藤が5回以降は無失点の力投で日大三4年ぶり18回目の優勝を決める

2ラン本塁打を放つ日大三6番・村上太一

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<第104回全国高校野球選手権西東京大会:日大三6−2東海大菅生>◇31日◇決勝◇神宮

 前日までに全国48の代表が決まり、甲子園への切符はあと1枚。最後の1枚を決める戦いは、日大三と東海大菅生という、西東京の横綱対決になった。晴天の日曜日。最寄りの外苑前駅から熱気があふれ、2万3000人の観客が集まった。

 日大三と東海大菅生は昨年の秋と今年の春にも対戦。いずれも1点差で日大三が勝っている。しかし東海大菅生はエースの鈴木 泰成投手(3年)が、秋は少し投げたものの、ほぼ投げられない状態だった。今回は万全に近い状態で投げることができる。一方、日大三は、秋や春の対戦では投げていない松藤 孝介投手(3年)がエースとして台頭。結局、過去2回の対戦ではほとんど投げていない、2人のエースが勝敗の行方を左右することになった。

 試合開始早々、先攻の日大三の1番・藤巻 一洸外野手(3年)が右翼線に二塁打を放ち、捕逸で三塁に進んだが、3番・富塚 隼介内野手(3年)の三ゴロに飛び出し得点できない。

 その裏、東海大菅生は1番・鈴木 悠平外野手(3年)が遊失で出塁し二塁に進む。2番・小山 凌暉内野手(3年)が送り、3番・福原 聖矢捕手(3年)の三ゴロで鈴木悠がアウトになるという、似たような展開。それでも残った福原は暴投で二塁に進み、4番・酒井 成真外野手(3年)の左前安打で生還し、東海大菅生が1点を先制した。

 勝敗の分岐点になったのは、4回裏の東海大菅生の攻撃。この回先頭の6番・金谷 竜汰内野手(3年)が右翼線の二塁打を放ち、7番・多井 耶雲内野手(3年)の左前安打で一、三塁。8番・藤井 颯太外野手(3年)の内野安打で1点を追加する。さらに9番・鈴木泰が送り1死二、三塁。松藤を攻略する絶好機であると同時に、松藤にとっては踏ん張りどころだ。1番・鈴木悠の三ゴロで走者が入れ替わり、2番・小山の四球で2死満塁となった。打席には3番で主将の福原が入る。「初球からカーブを投げました」と松藤。福原はその球を打ち上げ捕飛に終わる。「あそこで打っていれば、試合は分からなかったので悔いはあります」と福原は語る。この回1点止まりだったことが、日大三の後半の逆転劇につながる。

 5回終了後のグラウンド整備が終わり、6回表が始まると、試合の流れがガラッと変わる。6回表この回先頭の浅倉 大聖内野手(3年)が左中間を破る二塁打を放つと、5番・金澤 海斗内野手(3年)は死球、6番・村上 太一外野手(3年)が送り1死二、三塁。7番・川崎 広翔捕手(3年)が右前安打を放ち2人が生還。同点に追いつく。川崎は強肩の捕手として知られているが、攻撃面ではあまり目立たなかった。しかしこの大事な一戦で、しっかり活躍した。8番・寒川 忠内野手(3年)の中前安打で1死一、三塁とし、打席には松藤が入る。松藤らは朝の自主練習でしっかりバント練習に取り組んでいたという。その成果が出る。

 1ボール、1ストライクからの3球目、スクイズを敢行する。「フォークだったので落ちてくれと願いました」と鈴木泰。しかし松藤はしっかりバットに当てて三塁側に転がす。これを鈴木泰が一塁に悪送球。2人が還って日大三が逆転した。「あせって、いつも通りの守備ができませんでした」と鈴木泰は言う。鈴木泰は、球威などは故障前の状態に戻り、むしろ球威が増したともいう。バント処理の練習などもしっかりしていたはずだ。しかし、1年以上、実戦からほぼ遠ざかっていたゆえに、試合運びの感覚や体力は十分に戻っていなかったのではないか。

 鈴木泰は7回表には日大三の6番・村上に2ランを浴びて、東海大菅生にとっては、形勢はかなり悪くなった。村上は秋の東海大菅生ではサヨナラ打を打っている。そして鈴木泰は7回で降板した。

 一方、日大三の松藤は、5回以降は味方の守備にも助けられ、安打すら打たれない。「カーブが外から入ってきて、そこから対角で、真っ直ぐが来るので、的を絞りにくかったです」と東海大菅生の福原は言う。9回裏も2死後、鈴木悠が右前安打を放ったものの、反撃もこれまで。2番・小山は左飛に倒れ、試合終了。日大三が4年ぶり18回目の優勝を決めた。

 敗れた東海大菅生は、昨年の夏、雨の甲子園でコールド負けをした悔しさを知るメンバーが多く残り、戦力的には東京でトップクラスであった。ただエースの鈴木泰はこの1年、故障に苦しんだ。若林弘泰監督は、「今年の高校生の中で素質ではナンバーワンだと思う」と評価する。その素質が開花し、プロに行くのは4年後か?いずれにしても、今後の活躍が楽しみである。福原や小池 祐吏など、このチームに力があったことは、彼らの今後が証明するのではないか。

 日大三は秋季都大会の準々決勝で東海大菅生に勝ったものの、準決勝で國學院久我山に5回コールドという屈辱の敗戦をしている。「秋にあんなみっともない試合をしてしまいました」と日大三の小倉全由監督は言う。あの屈辱がこのチームの原点であり、そこからチームを立て直し、強くするところに日大三のすごさがある。エースの松藤は、2011年の全国制覇をみて日大三に憧れたという。秋の屈辱を経チームは強くなっているだけに、三高のユニホームが躍動する、甲子園での活躍を期待したい。

(取材=大島 裕史)