山田vs浅野の力比べは浅野に軍配も...近江がエラーを突いて4強へ

山田陽翔、浅野翔吾

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<第104回全国高校野球選手権大会:近江7−6高松商>◇18日◇準々決勝◇甲子園

 この試合は大会No.1投手、近江(滋賀)・山田 陽翔投手(3年)VS大会No.1スラッガー、高松商(香川)・浅野 翔吾外野手(3年)の力比べに焦点が当てられ、試合が始まると予想通り2人の対戦の結果が試合の流れを揺り動かした。

 山田のピッチングは非常に個性的だ。多くの投手は、できるだけ打者の近くで球をリリースしようとするが、山田は違う。できるだけ高い位置で球をリリースする、それが山田の他の投手と異なる個性なのだ。これは昔、大塚晶文氏(当時近鉄、現在は中日投手コーチ)や黒木知宏氏(当時ロッテ)が実践していた投げ方で、大塚氏は球を高い位置で「握り潰す」、黒木氏は「真下にたたきつける」と表現し、そのリリースによって「直球が低めにぐんと伸びる」とその効果を口にした。

 1回表は浅野に133キロのスライダーを左翼への二塁打にされたが、それ以降、再び浅野と対戦するまでに8人の打者と対戦して被安打0、与四球1に抑えた。浅野との2度目の対戦は3回表に訪れた。初球が146キロの直球、2球目が138キロのシュートで入り、カウント1−1から3球目に投じたのが146キロの直球。これを浅野は「何の躊躇もなく」と言ってもいいくらい迷いのないスイングで振り抜くと、打球はセンターバックスクリーンに飛び込む一時同点とする2ランとなった。

 3回目の対決は2死一塁の5回にやってきた。山田は浅野に6球投げ、そのうちの5球はシュートという極端な配球で、それを浅野は苦もなく左前に運んだ。これほど完璧に打たれると「力対力」へのこだわりはなくなるのではないか。7回の1死一、二塁の場面では浅野に申告敬遠が宣告され、ここから興味は「個人VS個人」から「チームVSチーム」へと移行していく。

 山田のピッチングは「ヘロヘロ」だった。初回からここまでリリースで球を抑え込んできた(握り潰してきた)ので、リストが効かなくなっているのがわかった。浅野を申告敬遠したあと、2番井櫻 悠人外野手(3年)、3番渡邊 升翔内野手(3年)に連続適時打を打たれ、結局8回途中で降板した。

 マウンドに上がった近江の2番手、左腕の星野 世那投手(3年)はひょうひょうと投げた。いきなり浅野と対戦してスライダーで左飛に打ち取り、2番を安打で出したあとは、3番を二塁ゴロに打ち取った。〝力対力″とか〝超高校級″という縛りがないので、山田にくらべ楽に投げる姿が印象的だった。

 高松商が6対5とリードして迎えた7回裏、高松商の2番手、左腕の渡辺 和大投手(3年)は1死二塁の場面を迎え、1番津田 基内野手(3年)に中前へ運ばれ、二塁走者が生還して同点。バックホームの球がそれる間に打者走者は3塁に。バックホームの球がそれる間に打者走者は三塁に。さらに2死後、3番中瀬 樹内野手(3年)が139キロの直球を左前に弾き返し、勝ち越す。試合はここで決着するのだが、続く4、5番の打球をエラーするなど、高松商のエラーの総数は4個になった。打たせて取る技巧派揃いの陣容なので、高松商がもう1つ上に勝ち進むためには内・外野の守りの強化が必要になるだろう。

(記事=小関 順二)