日本完敗の要因はゾーンだけの問題なのか?日本、台湾の投手陣のスタイルから見えた国際大会で活躍できる投手の条件

先発・香西一希(九州国際大付)

 米国・フロリダで行われている第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップで台湾との第5戦に臨んだ日本は2対9で完敗。オープニングラウンドの成績は4勝1敗となり、グループ2位でスーパーラウンドに臨む。

 完敗としかいいようがない結果だった。

 前回王者の台湾は、すべてにおいて日本を上回っていた。
 球の見逃し方、打者有利のカウントに持っていってからの攻撃、走塁、各種の打撃技術、投手のレベル。すべてにおいて上回っていた。

 日本の先発・香西 一希投手(九州国際大付=福岡)に対し、速球、変化球を悠然に見送る姿を見て、日本バッテリーが追い詰められていく。

 香西の投球スタイルはコーナーギリギリに攻めて、打ち気をそらしながら打たせて取る。台湾打線はそこには手を出さず、ファウルで粘りながら、ストライクゾーンに入った球には強引な振りにならず、センター返しを心がける技巧派左腕の攻略を実践できていた。

 ゾーンの問題は確かにある。ただ、打者を焦らせるには、一定の球の強さが必要だ。今回の香西についてはそこの球の強さがなかった。日本のアマチュア野球、プロ野球を見ると、レベルが高くなるにつれて、特徴がない技巧派左腕が淘汰されるのは、香西の例からみても伺える。

 また、2番手の宮原 明弥投手(海星)も全く球が走らず、135キロ前後の速球を投げ分けるのみ。疲れが出ていたと思うが、台湾打線にしっかりと捉えられ、ミスも絡み、3回にも4失点。試合は完全に決した。

 ただ、3番手の吉村 優聖歩投手(明徳義塾=高知)の投げ方は変則で、角度が見にくい。高めに浮いた球はあったものの、インコースに攻める気持ちがあった。コーナーで勝負するのではなく、自分でできる限りのベストボールを投げる姿勢があった。スーパーラウンドではキーマンになってくれそうだ。

 台湾の先発・林盛恩投手は最速154キロを誇るといわれる速球派右腕。常時140キロ前半〜148キロの直球は球威があり、スライダー、カーブを丁寧に投げ分ける。林の場合はアバウトながら、ベース上に勢いがあり、うまく緩急を使いながら勝負できていた。

 国際大会で勝負できる投手は審判の相性で結果が委ねられる投手ではなく、審判の判定に関わらず、ストライクゾーンで強い球、切れのある変化球で勝負できる投手なのかもしれない。

 オーストラリア戦で93マイル(150キロ)を記録した生盛 亜勇太投手(興南=沖縄)、川原 嗣貴投手(大阪桐蔭=大阪)はベース上の直球の強さがあり、空振りを奪える変化球の精度も素晴らしかった。国際大会で勝負できる投手は有している。

 スーパーラウンドは、上位3位チームの対戦結果が持ち越しになるので、1敗した状態でスタートする日本は決勝進出のためには負けは許されない。頼みのスラッガー・浅野 翔吾外野手(高松商=香川)も負傷退場となり、スーパーラウンドの出場は不透明。攻撃力がダウンした状態で臨む可能性は高い。スーパーラウンドは投手起用も大きな鍵となる。

【台湾戦 日本投手陣の球数】
香西 一希  32球(連投可能)
宮原 明弥  54球(中1日)
吉村 優聖歩 34球 2連投 ※
野田 海人  19球(連投可能)

(記事=河嶋 宗一/撮影=藤木 拓弥)