高校日本代表、韓国にも完敗。フィジカル、野球の技術でも大きな差を痛感する試合に

山田 陽翔(近江)

 米国・フロリダで行われている第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ。16日(日本時間)からスーパーラウンドに突入し、初戦で韓国と対戦した。

 1勝1敗でスーパーラウンドへ進出している日本代表にとっては負けられない一戦となったが、投打で圧倒され、0対8の完封負けを喫した。

台湾 2vs9
韓国 0vs8

 アジアを代表する野球強豪国に投打で圧倒され、大敗。スコア以上に差を実感した。

 日本はキャプテンの山田 陽翔投手(近江=滋賀)が先発。立ち上がりからヒットを打たれ、さらにボール先行になるという悪循環。最速148キロをマークするなど、ストレートの調子自体はパナマ戦と比べると良かった。

 ただ、バッテリーミスやエラーもあったとはいえ、山田 陽翔投手(近江=滋賀)は1.2回を投げ、被安打5、6失点。完全に適応されたとしかいいようがない。

 また2番手・吉村 優聖歩投手(明徳義塾=高知)も痛烈な適時二塁打を浴びた。甲子園では、打ちにくい角度で翻弄していた吉村でさえも、ストライクゾーンに入ったストレートを思い切り振り抜かれる。対応力、スイングスピードの差を実感した。

 最も良かったのは生盛 亜勇太投手(興南=沖縄)。しなやかな腕の振りから繰り出す常時145キロ前後(最速150キロ)の速球、切れのあるスライダーを投げ分け、2回無失点に抑える投球。生盛は例年ならば日本代表エースくらいの実力なのだが、このレベルにならないと現在の韓国打線を抑えられないほどレベルが高まっている。

 また、4番手に宮原 明弥投手(海星=長崎)も145キロ前後の速球を投げ込み、台湾戦よりも改善が見えたものの、適時打を浴び、投手陣は計8失点となった。

 今年の高校日本代表の投手陣は例年より悪いかといえば、そうではなく、過去の代表と比べると標準レベルといえる。ただ、韓国の代表選手のレベルがかなり上がっているため、打ち込まれているのだ。

 スイングスピード、守備範囲の広さ、捕球してから送球に移行するまでのスピードは高校生のレベルを超えており、フィジカルのレベルが非常に高かった。

 韓国、台湾は長年、木製バットを使用して公式戦を行っている。国際試合に向けて取り組みもしっかり行う国である。それでも高校日本代表は、接戦の試合が多かったが、ここまで力負けした大会はなかなかない。ここまで差が付くのはある意味、ショックである。

 大きく差を実感するのはクリーンナップ以外の打者の実力差や、ヒットの内容だ。まだクリーンナップや注目スラッガーに痛打されるのならば、諦めがつくのだが、今年の韓国、台湾は下位打線の選手も強く振れて、鋭い打球でのヒットが多い。また詰まってもヒット性の打球が多い。木製バットに切り替えたばかりの高校日本代表の選手は詰まったら、だいたいが凡フライに終わる。

 日本の強みは、スピードを生かした野球だと語る。しかし、ここまでの大会を見ると、台湾、韓国がそれを実践をしている状況だ。つまり日本がやりたい野球を実践するには一定以上のフィジカルが必要ということがいえる。

 緻密な采配を実践する馬淵監督の采配力を発揮しないまま終わっている。

 大会での総括は大会が終わってからになると思うが、U-18代表派遣の目的をしっかりと再設定して、準備するべきと考える。

 単純に世界一になりたいならば、NPBも巻き込むべきであるが、高校球児を代表するということであれば、トーナメント制の高校野球では重宝された選手のタイプがU-18大会では全く通用しない事態が起こっているのを考えると、世界基準に合った選手を選ぶべきだ。

163キロを出した剛腕や、李大浩の高校の後輩スラッガーなど韓国にも魅力的な選手がたくさん!

U-18ワールドカップは、日本だけではなく、世界の逸材にも目を向けるべきだと考える。日本を圧倒した韓国は非常にレベルが高く、見応えがあった。

 まず右サイドのキム・ジョンウンは最速150キロをマークしたサイドハンドで、スライダーの切れ味もよく、高校日本代表はこれまで対戦したことがない速球投手であった。韓国は毎年、右サイドの速球派がいるが、国際大会ではかなり強みになりそう。

 日本もサイドスローの速球派は需要があると思うので、そのタイプに該当する投手はぜひアピールしてほしい。

 また、左腕のユン・ヨンチョル投手もハイレベルな投手であった。常時140キロ〜145キロ(最速146キロ)の速球は非常に勢いがあり、スライダー、カーブ、チェンジアップの各種変化球の精度もレベルが高い。このレベルが中継ぎで投入されたら短いイニングでは打てようがない。

 そして日本のファンを驚かせたのが、最速157キロ右腕のキム・ソヒョンである。投げ方としては巨人のクローザー・大勢投手(西脇工出身)を彷彿とさせ、大勢の腕を長くさせたような投手であるが、なんと最速163キロをマーク。99マイル〜100マイルをたびたび計測し、高校生のレベルを超えた投手であった。ポテンシャル的には千葉ロッテ・佐々木朗希投手(大船渡出身)と遜色ないレベルを持った投手だ。1イニングで打てるわけがない。

 いずれトップチームでの再戦も十分有り得そうな投手であった。

 打者では4番キム・ボムソクのポテンシャルの高さは素晴らしいものがある。178センチ、95キロのがっちりとした体型で、日本でも活躍した李大浩の高校の後輩で、李大浩のような打撃スタイルで鋭い打球を連発する。たとえ詰まってでも高速打球を打ち返し、適時打を記録するパワーは恐れ入るものがある。

 また、軽快な守備を見せたパク・テワン遊撃手など韓国には投打で魅力的な選手が多くいた。

 チームとして世界で勝つには、いろいろ考えないといけないが、全国の高校球児には世界には同世代でこれほどポテンシャルに満ち溢れた選手がいる事は知ってもらいたいし、現在1,2年生世代も、本気で目の色を変えてフィジカル、スキルアップに励んでいけば、世界でも活躍できる選手が生まれる可能性がある。


(記事=河嶋 宗一)