【役に立つオモシロ医学論文】

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用が心理的な健康面に悪い影響を及ぼす可能性を報告した研究データは少なくありません。とはいえ、SNSと言ってもさまざまな種類があり、利用している年齢層や背景も大きく異なっています。そのような中、SNSの利用頻度と心理的な健康状態の関連性を検討した研究論文が、科学と医学分野の国際誌である「プロスワン」に2021年3月3日付で掲載されました。

 この研究では東京都に在住している8576人が対象となりました。研究参加者に対してアンケート調査を行い、代表的なSNSである「LINE」「Facebook」「Twitter」「Instagram」の利用(メッセージや画像の投稿、もしくは確認)頻度と、幸福感、苦痛感、孤独感との統計的な関連性が検討されました。

 その結果、SNSの利用頻度と幸福感の関連性は年齢層ごとに異なることが分かりました。高齢層(65〜97歳)ではLINEへの投稿や確認の頻度が高い人で、中年層(40〜64歳)ではFacebookへの投稿頻度が高い人で、若年層(18〜39歳)ではInstagramの確認頻度が高い人で、幸福感と関連していました。他方でTwitterへの投稿頻度が高いことは、中年層と高齢層で孤独感と、若年層と中年層で苦痛感と関連していました。

 SNSの種類によって利用している人の背景はもちろん、コミュニケーション相手や、その相手との距離感が異なるように思います。LINEの利用頻度が高い人は、親しい友人や家族とのつながりが強く、孤独を感じていない人が多いのかもしれません。他方でTwitterはその逆かもしれません。

 したがって、LINEやFacebookに投稿すれば幸福になれる……ということではないように思います。とはいえ、人と会う機会が少ないコロナ禍だからこそ、SNSを上手に利用できるとよいですね。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)