小さな子どもがかかりやすい夏かぜ、水いぼ、とびひ。
夏の感染症のほとんどはウイルスが原因。特効薬はなく、対症療法と家庭のケアで自然治癒を待つ。

高熱やのどの痛み、発疹(ほっしん)、結膜炎などの症状が

夏は、子どもが感染症に悩まされることの多い季節です。保育所、幼稚園などの集団生活やプール遊びなど、感染する機会はいろいろあります。今回は、夏に気をつけたい子どもの主な感染症を取り上げます。

夏にもかぜがはやります。いわゆる「夏かぜ」で、ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱が代表的です。

●ヘルパンギーナ 6月ごろから5歳以下の子どもが多くかかります。急に39度ほどの熱が出て、のどの奥に周りが赤い小さな水疱(すいほう=水ぶくれ)ができます。鼻水やせきのように冬のかぜにみられる症状はありませんが、高熱とのどの痛みで食欲が低下します。
2〜3日すると水疱はつぶれて潰瘍(かいよう)になり、このころ熱も下がってきます。やがて1週間前後で、口の中の潰瘍も治まります。

●手足口病 手のひらや指、足の裏や指、お尻などに赤い小さな発疹(ほっしん)や水疱が出ます。痛みやかゆみはありませんが、口の中の粘膜にできる水疱は破れて潰瘍になるため、痛みを伴います。38度前後の熱が出ることがありますが、出ないこともあります。ふつうは1週間前後で症状は治まるので、特に治療をする必要はありませんが、せきやくしゃみで人に感染させる病気なので、医師の診察は必ず受けてください。
便や水疱の中味からも感染するので、さわったあとには家族の方は石けんで手洗いをしてください。

●プール熱(咽頭結膜熱=いんとうけつまくねつ) プールに入る機会のある幼児や小学校低学年の子どもによくおこるので、「プール熱」の名があります。急な高熱とともに、目の充血、目やに、涙目などの結膜炎の症状があらわれます。のどの腫れと痛み、鼻水やせきが出たり、おなかの痛みや下痢など消化器の症状が出ることもあります。
熱は4〜5日で下がり、経過も悪くありません。結膜炎は家族にうつるので、タオルや洗面器は別にする必要があります。

脱水症に気をつけ、頭痛や嘔吐(おうと)があれば早めに受診を

これらの夏かぜは、高温多湿を好み夏に増殖するエンテロウイルスとアデノウイルスが原因で、特効薬はなく、抗生物質も効きません。ですから治療は、症状を和らげる対症療法(熱が高いときは解熱剤、下痢のときは整腸剤や下痢止め、目の症状には結膜炎の治療など)が行われます。あとは家庭でのケアが大切です。

小さい子どもが高熱を出すと親は心配でたまりません。でもかぜなどの感染症の場合、ウイルスや細菌と戦う免疫抗体は、熱が上がるときにつくられ、38度前後でもっともさかんにつくられるといわれます。38度台でも子どもが元気なら少し様子をみて、38.5度以上で元気がないときに解熱剤を使うのが目安とされています。解熱剤はむやみに使わず、医師の指示に従いましょう。
熱が高いときは、わきの下やもものつけ根、額などを冷却シートなどで冷やしてあげると気持ちがよいでしょう。エアコンを使うときは冷やし過ぎないようにして、風が直接体に当たらないように注意しましょう。

のどの痛みや口内炎で痛みがあると食欲が低下します。熱いもの、硬いもの、すっぱいもの、塩辛いものはのどにしみて痛いので、スープ類やおかゆ、豆腐、ゼリーなど水分の多い軟らかいものを、薄めの味つけで食べさせてあげるとよいでしょう。
また、熱があるときや食欲がないときは、脱水症に注意する必要があります。こまめに水分補給をするようにしてください。

夏かぜと一緒に無菌性髄膜炎(ずいまくえん)をおこすことがありますが、細菌性の髄膜炎に比べて比較的症状は軽く、後遺症を残すことはほとんどありません。高熱に吐き気や嘔吐、頭痛などを伴い、後頭部が突っ張るので、寝ているところを抱き起こすと泣きます。このようなときには、すぐに医師に診てもらう必要があります。

いぼや水疱が次から次へとできる

夏かぜ以外に、次のような感染症にも気をつけましょう。

●水いぼ 伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)ウイルスの感染です。プールなどで肌と肌が直接触れることで感染します。1〜5mm程度の半球状で、中央がへそのようにへこんでいるいぼが、体のあちこちにできます。
いぼは自然に治るので放っておいてもいいのですが、感染を広げないためには早めに取り除いたほうがよいでしょう。特殊なピンセットで一つずつつぶしていきますが、取るときに痛いので、いぼがたくさんできないうちに受診したほうが賢明です。

●とびひ あせも・虫さされ・湿疹などをひっかいたところに、主に黄色ブドウ球菌が感染しておこるもので、水疱が突然、体のあちこちにできます。水疱は破れやすいため、次々にできてしまいます。破れた水疱は、やがて黄色いかさぶたになります。医療機関での治療は、抗生物質入りの軟こうを塗るか、内服薬を服用することもあります。皮膚を清潔にして、子どもの爪は短く切っておきましょう。

(『目で見るパパとママの小児科入門』川上 義監修、法研より)

【監修】川上 義(ただし)先生
日本赤十字社医療センター新生児科部長
1947年新潟生まれ。73年千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部小児科学教室を経て、日本赤十字社医療センターに勤務。98年新生児科部長。医学博士。日本小児科学会専門医、日本小児神経学会専門医。専門領域は新生児医療、発達神経学。著書に『目で見るパパとママの小児科入門』(法研)、『最新安産大百科(共著)』(ベネッセ・ムック)など。

※この記事は2008年7月に掲載された記事です。