この絵面(えづら)を見て、どれだけの人が楽しいと感じるだろうか?(トップ画像)大鳥居の向こうには、旧広島市民球場ライトスタンド残存部が確認できる、まさにお役所仕事のハーモニー

 

広島市の旧広島市民球場で「ひろしまはなのわ2020」が始まった。

その様子を地元局のひとつ、広島ホームテレビでは「花と緑の祭典、ひろしまはなのわ2020が静かに開幕」と伝えている。「静かに」はなかなかいい表現だ。

先に押さえておかなければいけない事実がある。

2019年1月21日、大多数の広島市民、県民には寝耳に水、の話が飛び込んできた。この日の広島市議会建設委員会で、全国都市緑化ひろしまフェアの開催が発表されたのである。メーン会場は旧広島市民球場跡地で、県内全域開催だ。

まだこのタイミングでは旧広島市民球場跡地はサッカースタジアム建設候補地のひとつだった。サンフレッチェ広島、広島市、県、広島商工会議所のトップ4者でスタジアム建設場所を広島中央公園に決めたのはそのあと、2月6日のことだ。

要するに広島県も広島市も最初から旧広島市民球場跡地へサッカースタジアムを建設するという、広島市民・県民・サンフレッチェ広島関係者・県サッカー協会関係者の一番の望みに対してハナから向き合っていなかったことになる。水面下でどんどん緑化フェア開催に向け準備を進めていた。

お役所しごとの典型だ。勝手に決めて事後報告。そうやって旧広島市民球場もぶっ壊した。

その”成れの果て”が新型コロナウイルスの警戒態勢が続く中での「静かな開幕」だ。

会場には、ほとんど人の姿がない時間帯がある。

旧広島市民球場からマツダスタジアムにカープが移転した時、当時の秋葉忠利市長は「跡地には年間150万人が集まる施設を作る」と約束した。そのあと、松井一実市長が引き継いだが未だに市民への約束は果たされていない。

市の担当者はこのイベント開催にあたり、毎日の来場者数を発表したらどうか?

規模を縮小しての開催、ではあるが、そうでなくても何で旧広島市民球場跡地でこんなイベントをなぜ開催するのか、その意義が非常に伝わりにくい。

旧広島市民球場跡地には、旧広島市民球場の遺産である「ライトスタンド」がそのまま残されている。宮島の大鳥居や原爆ドームの模型もある。

何でもレイアウトすればいい、というものでもないだろう。

広島ホームテレビのニュースでは「メイン会場の旧市民球場跡地では、瀬戸内海をイメージした花壇など、およそ300種類18万本の花が咲き誇っています」と紹介されていたが、このコンセプトのわかりづらい会場からどれだけの感動や楽しさが来場者に伝わるだろうか?

そもそも、緑化フェアなるイベントを短期間のうちに広島で2度も開催する意味がよく分からない。

全国都市緑化フェアの開催は今回が37回目。1997年、第14回開催は広島市中区の広島大学本部跡地がメーン会場で、広島中央公園ほかがサブ会場だった。

市と県の違いはあるとはいえ、37回の歴史の中で開催地が”かぶる”のは広島以外でもわずかしかない。緑化フェア開催の是非は別にして、同じイベントを引っ張ってこなくても、もっとやるべきことがたくさんあるだろうに…

平和大通りにはイベント告知のバナーが掲げられているが、これまたデザインのせいでぜんぜん目立たない。

あらゆる意味において中途半端、やっつけ仕事の感は否めない。

行政任せにすると、こういう落ちになることが多い。

こんなことするぐらいなら、ほかにもっとやることが…それがひろスタ特命取材班の考えである。

なお、前回、緑化フェアを開催した広大本部跡地は一部にマンション施設などが建てられた以外、単なる犬の散歩や市民のウォーキング場所となり、「緑化」の遺産は何ひとつ残されてはいない。

ひろスタ特命取材班