「アンジュヴィオレ広島存続に向けて」ホームページ発表、その中に「詳細は中国新聞記事をご覧ください」しかし「どうしてあんな記事を書いたのか?」の声上がる


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「アンジュ存続へ奔走」
「プロリーグ参入巡り揺れる広島女子サッカー」
「アマで運営 企業傘下も視野」

以上のヘッドラインで9月18日付中国新聞17面「スポーツ最前線」の枠にアンジュヴィオレ広島の存続に巡る動きと、それに関連するサンフレッチェ広島の記事が掲載された。署名記事で、矢野匡洋、貞末恭之とある。


本文中には、以下の見出しもある。

「J1広島が翻意」
「新たな資金必要」

 

18日午後2時までの段階で広島県内のサッカー関係者複数人に確認できた声は以下のようなものだ。

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「この書き方では、サンフレッチェ広島が悪者?我々が聞いている話と違う」

「聞けば中国新聞記者だけがNPO法人(アンジュヴィオレ広島の運営母体、広島横川スポーツ・カルチャークラブ)の臨時総会を取材したというが、なぜ1社だけなのか?この記事の客観性が疑われる」

さらに、署名にある記者の名を挙げ「どうして、あんな記事を書いたのか?」という関係者もおり、記事に対する具体的な”間違い”を指摘する声もあがった。次のようなものだ。



「記事の最初のところですが、アンジュヴィオレ広島は当初、WEリーグへの参入を視野に入れていた、と書いてあります。これは間違い。その次に、7月にJI広島が手を上げたことで協力を打診と書いてありますがこれも事実とは違う。それと、サンフレッチェ広島が協力しないことを今月になって告げられた、とあります。これもおかしい。7月がWEリーグ参加申請の締め切りでした。もう、その時点で結論は出ていますからこういう話にはならない」

 

これらの関係者の話を確認するため、サンフレッチェ広島に問い合わせた。


以下、サンフレッチェ広島側から確認できた点は次の通り。

 

・アンジュヴィオレ広島さんから、自分たちの資金力や組織力を考えると女子プロサッカーリーグの参入に手を上げるるのは難しいので、アンジュヴィオレ広島がこれまで頑張ってきた広島の女子サッカーを盛り上げようという活動を途絶えさせないためにも、サンフレッチェ広島に手を上げて欲しいと話があった。その段階ではサンフレッチェ広島としては、女子プロサッカーリーグへの参入は考えていないとお答えした。

・女子プロサッカーリーグの話が具体化する中でサンフレッチェ広島としても様々なことを考えた上で、女子プロリーグ参入に手を上げることを決め、それをアンジュヴィオレ広島さんにお伝えした。その際にはアンジュヴィオレ広島さんは、これまで自分たちがやってきたことが無駄にならず、広島の女子サッカーが途絶えずに済んだ、と喜んでおられた。


・アンジュヴィオレ広島さんからは、トップチームの監督、コーチ、選手の受け入れを要請されたが、日本最高峰の女子プロサッカーリーグで戦えるチームを整備したいという判断からお断わりした。


・7月下旬、アンジュヴィオレ広島さんの首脳陣がサンフレッチェ広島事務所に訪ねて来られて、アカデミー(育成 U18 U15)チームとその指導者、そしてスクールの受け入れについて話をした。その場では、この件について、はっきりとは回答せず、あくまで検討させて欲しいという形で回答した。


アンジュヴィオレ広島さんからは、支援者への説明が必要なので早めに回答をお願いしたいと言われたので、アンジュヴィオレ広島さんの志を引き継ごうという思いはあることはお伝えし、アカデミー(育成 U18 U15)チームとその指導者を引き継ぐのは難しいと思うが、スクールを受け入れることはできると方向性はお伝えした。


またその時に、アンジュヴィオレ広島さんは女子プロリーグ発足の構想が持ち上がった段階において、女子プロリーグが発足するとなでしこリーグ自体の運営予算が減らされ、参加クラブの負担額が増えることから財政的に対応が難しいことや、アンジュヴィオレ広島を運営する側の高齢化により体力的にも厳しいことから、サンフレッチェ広島が女子プロリーグ参入に手を上げても、手を上げなくても、これを機にアンジュヴィオレ広島の活動をやめようという話が内部であったと言われた。

・9月初旬にアンジュヴィオレ広島さんの首脳陣が再度来られ、検討結果を教えて欲しいと言うことだったので、女子サッカー普及という面から、月謝を頂いて運営するスクールはお受けすることはできるが、アカデミー(育成 U18 U15)チームはプロチーム予備軍であり、先行投資的な面もあるチームなので、アンジュヴィオレ広島さんからアカデミー(育成 U18 U15)チームをそのまま引き継ぐことはせず、自社でイチから立ち上げたいとお伝えし、よってアカデミー(育成 U18 U15)チームの指導者を受け入れることもできないとお伝えした。そこからはアンジュヴィオレ広島さんとは話をしていない。

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サンフレッチェ広島側の話をもとに広島県サッカー協会にも確認した。これといってサンフレッチェ広島側の話す内容について不合理な点はないことが分かった。

 

また広島のサッカーについて精通する、中でもスクールやアカデミー活動に詳しい関係者(サンフレッチェ広島関係者ではない)はこう”解説”する。


「サンフレッチェ広島が仮にアカデミーを引き継いでも、サンフレッチェ広島が新たに集めるメンバーと、アンジュヴィオレ広島のアカデミーの選手ではその力量に大きな差異が生じるはずで、そうなるとけっきょくやめていかざるえを得なくなるなど、子どもたちが一番大変な目に遭う。J1のクラブと現在の女子リーグ3部のクラブでは、求めるチーム力の水準が違い過ぎて、そもそも論になるが引継ぎとかそういう問題ではない」

 

 

さて、ここで時系列について整理する。

・7月14日の出来事

女子サッカープロリーグのWEリーグ関連で最初の記事を書いたのは中国新聞だ。7月14日付の18面で「女子WEリーグ参入へ、サンフレ」の見出しで、サンフレッチェ広島がWEリーグ参入を目指している、と報じた。

サンフレッチェ広島が「主語」のこの記事の中に、サンフレッチェ広島はアンジュヴィオレ広島との連携も検討したが単独での道を選んだとちゃんと書いてある。署名記事で記者は貞末恭之となっている。

 

ひろスポ!ではこの記事が出たのを受けて以下の記事をアップした。記事の中で「アンジュヴィオレ広島では中国新聞の報道を受け、関係者に向け状況を説明する事態となった。サンフレッチェ広島との協議を続ける中で、おそらくうまく折り合いがつかずに今回の報道に行き着いたであろうことは、この記事の”出し方”から容易に想像できる。」とこの時点で断じてある。

アンジュヴィオレ悲願のプロリーグ参加に黄信号?中国新聞がサンフレッチェ広島の女子プロリーグ参入報じる(2020年7月14日掲載)

 

9月4日の出来事

9月4日、広島横川スポーツ・カルチャークラブが臨時の総会を開催した。この時期、まさに異例の開催だった。異例なのには当然、理由がある。

その場には、メディア関係者としては中国新聞記者のみが居合わせたことが確認できている。(9月18日付記事に撮影された写真も掲載されている)

 

9月5日の出来事

中国新聞は取材した総会のニュースを紙面で報じなかった。ニュース扱いなら報道するので、ニュース取材ではなかった?

ひろスポ!は以下の記事をアップした。

広島女子サッカーの星!WEリーグ断念のアンジュヴィオレ広島、運営資金集まらなければ衝撃の12月解散決定…(2020年9月5日掲載)

 

9月13日の出来事

アンジュヴィオレ広島は、関係者や下部組織の保護者と選手を対象とした説明会を開催した。その中で、ひろスポ!に「12月解散決定…」が報じられたことで今回の説明会開催となったこと、スポンサーを10月末までに新たに見つけてアンジュヴィオレ広島を存続させたい、などの話があった。

また、父兄からは「ひろスポ!に掲載されてこういうことが分かって良かった!」の声があがった。

 

9月18日の出来事

中国新聞に「アンジュ存続へ奔走」の見出しの記事が掲載され、サンフレッチェ広島にも広島県サッカー協会にも多くの問い合わせがあった。

さらに午後になってアンジュヴィオレ広島のホームページに「アンジュヴィオレ広島存続に向けて」という告知がアップされた。

 

そこには次のような一文がある。

 

(ネット記事の記者はクラブへの取材はされておりません)本日、中国新聞に掲載のあった内容につきましては、記者の方がクラブに取材をいただいたものです。
詳細は中国新聞をご覧ください。

 

 

また、ひろスポ!には以下のメールも届いた。

 チームに取材せず、内容が雑…
チームから出禁されてる、あなたがアンジュヴィオレの記事を書かないで下さい。
迷惑です。
今日リリースされた、チームオフィシャルのリリース、そして中国新聞さんの記事と真逆の内容に、腹立ってます。。。

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取材手法は様々で、大事なのは報じられている内容の客観性だ。またメディアに接する側は、報じる側に対して…

 

・信頼性
・速報性
・確実性
・平等性
・わかりやすさ

 

…などを求める。

 

それでいけば、9月4日の臨時総会での内容はアンジュヴィオレ広島とそれを支える人たちやアカデミー、スクールの親や子どもたちにとって非常に大切であり、報じる側の「速報性」が求められる。

もし年内で活動停止となれば、次のステップを目指す子供たちへの影響が計り知れないからだ。

 

わかりやすく言えば、アンジュヴィオレ広島を運営する側にはすでにアンジュヴィオレ広島をNPO法人の活動から切り離そうとする強い流れがあり、一方で地元横川の関係者らのように、これまで手塩にかけてチームを育ててきた人々の間で中国新聞記事にあるように「存続へ奔走」する動きが急速に強まった、ということになる。

なお、ひろスポ!がサンフレッチェ広島に確認したところ、中国新聞からの取材については9月4日の臨時総会前後に受けたのが最後で、18日付の記事に関する取材はどの部署も受けていない、ということだった。もちろん取材方法に、こうでないといけない、という型があるわけではない。(広スタ特命取材班・田辺一球)